マネースクエア マーケット情報

エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※5月23日更新

2025/05/23 11:11

宮田レポート(短期アップデート) 250523_miyata.pdf

[日経平均]
【当面の想定レンジ】 34,600~39,700円

[NYダウ・S&P500] 
【当面の想定レンジ】 (NYダウ) 36,500~42,800ドル
            (S&P500) 4600~6050
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 (ナスダック100) 17,600~22,000
                                    (ナスダック総合) 15,700~19,900
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 140.000~150.000円

[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 95.000~104.000


[日経平均]


【週足 エリオット波動分析】

日経平均は、重要サポートとしての200週MAを上回って推移しています。同MAを今後も維持する限り、プライマリー上昇➂波は依然継続中とみられます。

日経平均は、インターミディエイト級第(5)波の上昇を展開中とみられます。
順当にいけば、第(5)波は24年7月高値(42,426.77円)を上抜き史上最高値を更新するでしょう
第(5)波は、20年3月コロナショック底(16358.19円)からのラリー中「最後の上昇」に相当します。

ハイテク、自動車、鉄鋼、海運など「トランプ関税」の影響が大きい企業を中心に、今後の業績不透明感が強まっています。遠からず国内景気の後退入りも想定されます。こういった状況からみると、第(5)波の賞味期限はそれほど長くならず、おそらく数カ月~半年という期間にとどまるでしょう。

もっとも当面は、➀旺盛な自社株買い、➁円高傾向を受けての海外マネー流入、などが第(5)波を支援する展開が期待されます。5月第3週(12~16日)に海外投資家は、日本株を6722億円(現物先物の合計)買い越しました。買い越しは5週連続で、この間の買い越し額は2兆3438億円に膨らんでいます。



【日足・時間足 エリオット波動分析】
30,792円(4/7安値)から、インターミディエイト級第(5)波による上昇が進行中とみられます。

TOPIXが13連騰をはたした期間(4月22日~5月13日)には─このとき欧州とアジアの投資家の買いが入ってきたという観測があります─日経平均も切れ目なく上昇しています。この強い上昇は、何らかのディグリーにおける「第3波」とみることができます。
上チャートに表示したように、5月13日に付けた38,494円を仮にミヌエット級の第(iii)波ピークとすれば、そこからの反落は第(iv)波に相当します(それは保ち合い相場かもしれません)。この見方が正しければ、遠からず第(v)波による上昇となり、38,494を上回る展開が予想されます。

(オルタナティブ・カウント)
30,792円を下抜くと以下の波動カウントに切り替えます。
24年8月からの上昇第(5)波は40,398円(12/27高値)を以て終わり─”truncated fifth”(短縮された5波)─プライマリー級の➃波による調整が進行中とみられます。この場合日経平均は、いずれ2万7000円処(PBR1倍水準)を試す可能性があります。

[予想PER別の日経平均水準]
5月22日の日経平均予想PERは15.27倍・予想EPSは2422円。
過去最高のEPSは2564円(2/13)です。



[NYダウ・S&P500] 

【NYダウ日足 エリオット波動分析】 
36,611ドル(4/7安値)からは第(2)波によるリバウンドに当たります。
5月19日高値(42,842ドル)は、第(1)波中レッサー・ディグリー第4波高値[42,821ドル](3/26)に合致しており、第(2)波として合理的な上値メドを満たしたことになります。

5月22日は一時41,714ドルまで下げ、注目された水準である41,777ドル(5/15安値)を下回りました。
これにより最初の弱気トリガーが発動、第(2)波リバウンド終了および第(3)波下げトレンド開始を示唆しています。

引き続き上値試しが続くなら─その可能性は低下していると思われますが─24年高値からの下げに対する76.4%-78.6%戻り[43,076ドル-43,262ドル] を試すことになりそうです。

【S&P500日足 エリオット波動分析】 
(プリファード(優先)・カウント)
4910(4/8安値)からの第(2)波は目先的にも終わり、第(3)波による下落が始まるでしょう。
関税協議で米中が(暫定)合意したのは5月9日。その前日(8日)の高値は5720です。今後5720を終値で下回る動きがみられれば、それは米中合意のサプライズでの上昇分すべてを打ち消すことを意味し、最初の弱気トリガーが発動します。

来る第(3)波の下落スケールは、第(1)波と同程度(1293ポイント)か、(順当なら)より大きなダイナミックなものになるでしょう。

(オルタナティブ・カウント)
2020年底からの五波構成中、今年1月からは第4波の調整局面です。
第2波(21年末~22年10月)が「ダブル・ジグザグ」だったことから、第4波は「トライアングル」「フラット」など複雑な保ち合い構造になるでしょう(オルタネーション)。
試みに「トライアングル」を想定すると、4月からの上昇はパターン中ⓑ波です。まもなくⓒ波の下げに入りますが、それはⓑ波上昇分の60%~70%を打ち消すでしょう。

これは弱気相場に入る前、最後の上昇第5波の可能性を残すシナリオです。




[ナスダック]

【ナスダック100 週足 エリオット波動分析】
ナスダック100は25年1月高値(22,222)以来、サイクル級の調整局面にあるとみられます。

ナスダック100・総合指数はほぼ「全値戻り」となっています。これら二つの指数は近いうちに、1月高値と現行の第(2)波を以て「ダブル・トップ」を形成し、そこから第(3)波の下落に入るでしょう。

オルタナティブ・カウントは、4月安値からの上昇は第(5)波というもので─前の波に比べ第(4)波が大きすぎる点に違和感はありますが─ナスダックは高値を更新することが予想されます。それを以て強気相場は終了し、調整局面を迎えるでしょう。


【ナスダック100 時間足 エリオット波動分析】
16,850(4/9安値)からは第(2)波リバウンドが進行中とみられ─第(1)波の下落トレンドにおいて第5波は短縮されました─そのパターンはジグザグ(A-B-C)です。17,592(4/22安値)からの上昇はC波に当たります。

直近高値21,482(5/21)は、A波とC波が1:1.618のフィボナッチ比率になる水準[21,449]を達成するものでした。今のところ確信は高くありませんが、第(2)波は終わったかもしれません。

第(3)波による下落がスタートする可能性があります。
[20,249](5/8高値)を終値で下回ると、第(3)波入りの最初のトリガーが発動します。

米30年債利回りが1年7カ月ぶり高水準
5月22日、米議会下院がトランプ減税の延長を含む法案を可決。財政赤字の拡大が警戒され、超長期債は売りが優勢となりました。米30年債利回りは一時5.15%まで上昇し、23年10月以来約1年7カ月ぶりの高水準を付けました(終値は5.04%)。
近いうちに30年債利回りは終値でも5.11%を上回り、07年6月(金融危機前)以来の高水準を付けるでしょう。そんな金利上昇は株式にとり明らかに逆風と思われます



[米ドル/円]

【月足・エリオット波動分析】 
151.899円(22/10/21)からⓍ波「円高局面」が進行中です。このⓍ波により米ドル/円(ドル/円)は、2028年4月頃までレンジ相場を形成する、というのが基本シナリオ。24年7月の161.938円は、15年6月・125.860円から9年目に付けた「8年サイクル高値」とみられます。

22年10月以来のⓍ波が描くパターンとして大きくは、➀[ランニング・トライアングル]、➁[エクスパンディッド・フラット]、これら二通りの可能性があります。

➀の場合、現行C波はA波安値(127.158円)を下回りません。C波は三波で構成され、まずは2011年からの上昇チャネルのセンターライン➀136.680円(5月)がサポートレベルとみられます。

もっとも139円処を下抜くとヘッド・アンド・ショルダーズ型の天井パターンから明確に下放れ始め─上述したセンターラインで底入れせずに─フィボナッチ・サポートの[128.945円]を試す展開もありそうです。

➁の場合は、現行C波(五波構成)はチャネル下限(➁)を目指すような、より大きなドル安・円高が見込まれます。➁の水準は117.050円(5月)です。

【週足 エリオット波動分析】 
161.938円(24/7/3)からはC波によるドル安・円高トレンドです。C波は(先ずは)三波構成(ⓐ-ⓑ-ⓒ)が想定され、158.825円(1/10)からⓒ波によるドル安・円高が進行中とみられます。

今年1月からのドル安・円高を第3波に位置付けることもできます。このサブシナリオによれば、先々1ドル=120円試しも視野に入ります。

139.877円(4/22)からのリバウンドは終わったか、終わりつつあります。
遠からずヘッド・アンド・ショルダーズのネックラインをブレイクするかもしれません。そうなると円高基調は一段と鮮明になるでしょう。

【日足 エリオット波動分析】 
4月下旬以降、上向きの拡大三角形を形成していましたが、足元でパターン下辺を下回っています。
148.610円(5/12)を以て、ii波によるリバウンドは終わった可能性があります。

目先的には142.272円の節目に注目しています。同節目を下回ると、139.877円(4/22)を試す展開になるでしょう。

139.877円をブレイクすると、ドル/円下落基調が強まるでしょう。


金利差からのドル/円推計値
足元、日米実質金利差からのドル/円推計値は[146.248円]です。


投機筋の円買い持ち高が縮小(2025年5月13日時点)
IMM通貨先物市場で、投機筋(非商業部門)の円買い持ち高は、前週の155.1億ドルから146.0億ドルへ前週に続き縮小しました。



[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足 エリオット波動分析】 
ドル指数は4月21日安値(97.921)を以て、フィボナッチ・サポート[97.939](08年からのドル高に対する38.2%戻り水準)をちょうど達成しました。そこからは、C波中マルiv波によるリバウンドとみています。

マルii波がジグザグだったことから、マルiv波は保ち合い相場となりやすいでしょう。保ち合いの後には、C波中マルv波のドル安基調が再開し、4月安値を下回るでしょう。さらには[94.976](A=C)を試す可能性があります。

一方、C波自体が終了している可能性もあります。
この場合、22年からのA-B-Cジグザグは完成し、それに続く(X)波に入ったとみられます。この見方に基づくと、ドル指数は当面52週MAを試し、さらにそれを上抜く可能性があります。


エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。

宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ