米英が貿易協定で合意、米ドル/円は一時146円台へ上昇
2025/05/09 08:58
【ポイント】
・10-11日に開かれる米中貿易協議について新たなニュースが出てくるか
・米中貿易協議の結果次第では12日に「窓あけ」の可能性あり
・主要国の株価は堅調に推移するか
・カナダ雇用統計で市場のBOC金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
8日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は146.149円、米ドル/カナダドルは1.39283カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.12100ドル、英ポンド/米ドルは1.32300ドル、豪ドル/米ドルは0.63940米ドルへと下落。米ドル/円は4月10日以来、米ドル/カナダドルは4月16日以来の高値をつけ、ユーロ/米ドルは4月10日以来の安値を記録しました。米国と英国の両政府が二国間の貿易協定を締結することで合意したことが、米ドルの支援材料となりました。
円は軟調。一時ユーロ/円は162.955円、英ポンド/円は193.432円、豪ドル/円は93.479円へと上昇しました。米英貿易協定の合意を好感して米国の主要株価指数が堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)が円に対する下押し圧力となりました。
BOE(英中銀)は0.25%の利下げを行うことを、スウェーデン中銀とノルウェー中銀は政策金利を据え置くことをそれぞれ決定しました。
※BOE会合については本日の『ファンダメ・ポイント』[英中銀は利下げ、8月にも追加利下げ?]を、スウェーデン中銀とノルウェー中銀の会合については8日の『ファンダメ・ポイント』[リクスバンクもノルゲバンクも据え置き、政策金利差は縮小に向かいそう]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
米国と中国は10-11日にスイスで貿易問題に関する閣僚級協議を行います。米国側はベッセント財務長官とグリアUSTR(通商代表部)代表が、中国側は何立峰副首相が協議に参加するもようです。
米中貿易協議について新たなニュースが出てくれば、市場が反応しそうです。新たなニュースによって米中貿易協議の進展への期待が高まる場合、米ドルのさらなるプラス材料になりそうです。
10-11日の米中貿易協議の結果次第では、12日(月)に窓あけ(金曜日の終値と月曜日の始値に著しい差が生じること)が発生する可能性があります。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、米中関税協議が相場動意となりそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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8日の米株式市場では主要な3株価指数がいずれも上昇。ダウは前日比254.48ドル高(0.62%)の41,368.45ドル、ナスダックは同189.98ポイント高(1.07%)の17,928.14ポイント、S&P500は同32.66ポイント高(0.58%)の5,663.94ポイントで取引を終えました。ダウの上げ幅は一時659ドルに達し、 41,773.22ドルへと上昇する場面がありました。
本日は米国など主要国の株価動向に注目です。主要国の株価が堅調に推移すれば、リスクオンがさらに強まるかもしれません。その場合には円安要因となり、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は底堅い展開になりそうです。
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カナダの4月雇用統計が本日発表されます(日本時間21:30)。
雇用統計の市場予想は以下の通り。( )は3月の実績です。失業率は3月から悪化すると予想されている一方で、雇用者数は増加に転じるとみられています。
・失業率:6.8%(6.7%)
・雇用者数(前月比):0.25万人増(3.26万人減)
BOC(カナダ中銀)は24年6月から前々回25年3月の会合まで7回連続で利下げ(合計2.25%)を実施。前回4月16日の会合では「米国の通商政策は依然として極めて予測困難であり、貿易摩擦がカナダ経済に及ぼす影響についてもかなりの不確実性がある」と指摘し、「米国の関税の道筋とその影響についてより多くの情報を得るため」として政策金利を据え置きました。
BOCの次回会合は6月4日。次回会合について市場の見方は、“据え置き”と“0.25%利下げ”で割れているようです。雇用統計が市場予想よりも強い結果になれば、追加利下げ観測が後退するとともにカナダドルのプラス材料になりそう。米ドル/カナダドルの目先のメドとして、下値が1.37456カナダドル(5/6安値)、上値は200日移動平均線(5/9時点で1.40102カナダドル)が挙げられます。
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