マネースクエア マーケット情報

ECBは利下げか

2025/04/17 09:00

【ポイント】
ECBは利下げすると市場は予想
・声明や総裁会見を受け市場のECB追加利下げ観測は変化するか

(欧米市場レビュー)

16日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。米ドル/円は一時141.619円へと下落し、24年9月中旬以来およそ7カ月ぶりの安値を記録。米ドル/カナダドルは1.38535カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.14073ドル、英ポンド/米ドルは1.32889ドルへと上昇する場面がありました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルへの下押し圧力となりました。

米ドル/カナダドルについては、BOC(カナダ中銀)が政策金利を据え置いた(*詳細は後述)ことも、下落要因になったようです。市場の一部には0.25%の利下げを行うとの観測もありました。

(本日の相場見通し)

本日は、ECB(欧州中銀)理事会が開かれます。理事会の結果は日本時間21時15分に発表され、同21時45分からラガルドECB総裁が会見する予定です。

ECBは前回3月6日の理事会まで5回連続で(24年6月以降では6回)利下げを実施。政策金利は現在、ECBが最も重視している下限の中銀預金金利が2.50%、残りの2つ、主要リファイナンス金利が2.65%、限界貸出金利が2.90%です。

本日の理事会で0.25%の利下げが行われると市場は予想しています。その通りの結果になれば、ECBの声明やラガルド総裁の会見で先行きの金融政策についてどのようなヒントが示されるかに注目です。

市場では、次回6月5日の理事会でも追加利下げが行われるとの観測があります。声明やラガルド総裁の会見によってこの観測が後退すれば、ユーロが堅調に推移して、ユーロ/円やユーロ/英ポンドは上昇する可能性があります。

※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、ECB理事会&ラガルド総裁会見が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

***

TCMB(トルコ中銀)は政策会合を本日開きます。会合の結果は日本時間20時に発表され、総裁会見は予定されていません。

TCMBは24年12月に利下げを開始し、3月6日の会合まで3回連続で利下げを実施しました。

しかしその後、3月19日にトルコの検察当局がイスタンブール市のイマモール市長を拘束しことでトルコリラが急落。TCMBは20日に緊急会合を開き、事実上の金融引き締めを実施。翌日物貸出金利を44.00%から46.00%へと引き上げるとともに、1週間物レポ入札を停止しました(1週間物レポ金利と翌日物借入金利は据え置き)。

※詳しくは、3月21日の『デイリーフラッシュ』[トルコリラ:TCMBは翌日物貸出金利を引き上げ、1週間物レポ入札を停止]をご覧ください。

市場では、本日の会合で政策金利は据え置かれると予想されています。その通りの結果になり、TCMBの声明で先行きの金融政策についてのヒントが示されるかに注目です。

******

BOC(カナダ中銀)は16日に政策会合を開き、政策金利を2.75%に据え置くことを決定しました。BOCは24年6月から前回25年3月の会合まで7回連続で利下げを行いましたが、今回は利下げを見送りました。

マックレムBOC総裁の会見などでは、トランプ関税による不確実性の高さが指摘されるとともに、関税の道筋やその影響がより明確になるまで金融政策において慎重な姿勢が必要との認識が示されました。

BOCの次回会合は6月4日。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む確率は「据え置き」と「0.25%利下げ」でほぼ五分五分です(日本時間17日08:54時点)
***
マックレム総裁は声明原稿で、「米国の通商政策は依然として極めて予測困難であり、貿易摩擦がカナダ経済に及ぼす影響についてもかなりの不確実性がある」と指摘。「どのような関税が発動されるのか、関税の税率が引き下げられるのか、あるいは引き上げられるのか、そして関税がどの程度続くのか、まだ分かっていない」としました。

そして、政策金利を据え置く理由を「米国の関税の道筋とその影響についてより多くの情報を得るため」と説明しました。

声明原稿はまた、「不確実性が蔓延する中、(カナダ経済が直面する)リスクに特に注意を払いつつ、慎重に政策を進めていく」と表明。そのうえで「入手される情報によって明確な方向性が示されれば、断固として行動する用意がある」としました。

マックレム総裁は会合後の会見で、今回の会合では「政策金利の据え置き」と「0.25%の利下げ」の2つの選択肢が検討されたことを明らかにしました。また、“必要な場合には6月の会合で0.50%の利下げを行う可能性があるのか?”との質問には「柔軟かつ順応性を持って対応する必要がある」と答えました。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ