市場の注目は相互関税へ!
2025/04/02 09:19
【ポイント】
・相互関税の適用範囲や規模はどうなるか
・RBA(豪中銀)は政策金利の据え置きを決定
(欧米市場レビュー)
1日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は148.982円、米ドル/カナダドルは1.42962カナダドルへと下落し、豪ドル/米ドルは0.62779米ドル、NZドル/米ドルは0.56989米ドルへと上昇しました。米国の3月ISM製造業景況指数は49.0、2月JOLTS(労働動態調査)求人件数は756.8万件と、いずれも市場予想(49.5と761.6万件)を下回りました。また、米国の長期金利(10年物国債利回り)も低下しました。これらが米ドルの重石になりました。
RBA(豪中銀)は政策金利を4.10%に据え置くことを決定しました(*詳細は後述)。この結果やRBAの声明、ブロック総裁の会見内容に対し、豪ドルに大きな反応はみられませんでした。
(本日の相場見通し)
トランプ大統領は米東部時間午後4時(日本時間3日午前5時)、ホワイトハウスで開かれるイベントで演説する予定です。相互関税の詳細について発表するとみられます。
相互関税についてトランプ大統領は3月30日に「全ての国が対象になる」と述べ、ホワイトハウスのレビット報道官は4月1日に「2日に発表後、ただちに発動される」との認識を示しました。また、米メディアは1日、「輸入品の大部分に20%前後の関税を課す案が検討されている」と報じました。
相互関税の適用範囲や規模が実際にどうなるのか注目です。相互関税の内容やそれへの各国の対応次第では、貿易摩擦が激化するとの懸念からリスクオフ(リスク回避)が強まる可能性があります。その場合、円が堅調に推移して米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)に下落圧力が加わりそうです。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[トランプ関税、欧州の対抗措置は??]です。
***
米国の3月ADP雇用統計が本日発表されます(日本時間21:15)。ADP雇用統計が市場予想の前月比12.0万人増からかい離する結果になれば、市場が反応する可能性があります。
*******
RBA(豪中銀)は1日に政策会合を開き、政策金利を4.10%に据え置くことを決定しました。
RBAの声明では、トランプ政権の関税が世界経済に及ぼす悪影響に懸念が示されたほか、前回会合時の追加利下げに慎重であることを明確に示した文言などが削除されました。
今後の状況次第では、RBA(豪中銀)は次回5月19-20日の会合で追加利下げを行うかもしれません。
***
RBAは声明で、「最近の情報は、(豪州の)基調インフレ率が2月の金融政策報告で示した予測に沿って引き続き鈍化していることを示している」としつつも、追加利下げを実施するには「この進展が継続し、インフレ率が持続的に目標中間値(2.5%)に戻ることを確信する必要がある」との認識が示されました。
声明はまた、「海外経済の先行き不透明感は依然として大きい」と指摘。「米国の関税についての最近の発表が世界的に信頼感に影響を与えており、関税の範囲が拡大したり、他国が報復措置をとったりすれば、この影響は増幅される可能性が高い」との見方が示されました。
声明は「金融政策は引き続き(景気)抑制的だ。基調インフレ率の継続的な鈍化は歓迎すべきことだが、リスクは(上下)双方向にあり、理事会は(インフレの)見通しについて慎重だ」と表明しました。
今回の声明では、前回会合時の「金融緩和が早過ぎれば、ディスインフレ(インフレ率が低下していく状況)が停滞し、インフレ率が目標レンジの中間点を上回る水準に落ち着くおそれがある」、「さらなる政策緩和(追加利下げ)の見通しについては慎重だ」が削除されました。そして、「国際情勢が豪州の経済活動やインフレに重大な影響を及ぼす場合、金融政策でそれに対応する用意がある」が追加されました。
市場では、次回5月19-20日の会合で追加利下げが行われるとの観測があります。ブロック総裁は会合後の会見で「将来の利下げをめぐる市場の予想を支持しない」、「5月の利下げは決定していない」と述べる一方で、「上下双方にリスクはあるが、インフレに関する確信が深まっている」、「インフレは全体的にかなり順調」、「もう少しデータを待つのが賢明だ」とも語りました。豪州の1-3月期CPI(消費者物価指数)が4月30日に発表されます。この結果が次回5月会合における重要な政策判断材料になりそうです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。