英・スウェーデン・南アフリカの中銀会合開催
2025/03/20 09:05
【ポイント】
・BOE、スウェーデン中銀、SARBのいずれも政策金利を据え置きそう
・声明などで金融政策の先行きについてどのようなヒントが示されるかに注目
・米経済指標で市場のFRBの追加利下げ観測が強まるか
(欧米市場レビュー)
19日、欧米時間の外為市場ではトルコリラが急落。対米ドルと対円で過去最安値をつけました。トルコの検察当局がイマモール・イスタンブール市長を拘束したためです。イマモール氏はエルドアン大統領の最大の政敵とみなされており、23日に最大野党CHP(共和人民党)の次期大統領選の候補に指名されるとみられていました。トルコの政治リスクが市場で意識されてトルコリラに対して下押し圧力が加わりました。
※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[トルコリラ急落の背景、一時3.466円に]をご覧ください。
米ドルも軟調。一時米ドル/円は148.624円へと下落し、英ポンド/米ドルは1.30000ドル近辺、豪ドル/米ドルは0.63600米ドル近辺、NZドル/米ドルは0.58100米ドル近辺へと上昇しました。
FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、政策金利を4.25~4.50%に据え置くことを決定しました。これは市場予想通りの結果だったものの、ドットプロット(FOMC参加者個人による政策金利予想)などをハト派的と市場は判断して米ドルの重石になったようです。
※FOMCについては、本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCは据え置き、市場は「ハト派的」と判断!?]で詳しく解説しています。
(本日の相場見通し)
本日は、BOE(英中銀)やスウェーデン中銀、SARB(南アフリカ中銀)の政策会合が開かれます。これらの結果に市場が反応する可能性があります。
<BOE>日本時間21時に会合結果発表
BOEは前回2月の会合で0.25%の利下げを実施しました。BOEの利下げは24年8月以降3回目です(利下げ幅は合計0.75%)。
本日の会合で政策金利は現行の4.50%に据え置かれると市場は予想しています。
その通りの結果になれば、BOEの声明や会合の議事録が材料になりそう。議事録では9人の政策メンバーの投票行動などに注目です。前回会合は7人が0.25%の利下げに賛成し、2人はより大幅な0.50%の利下げを支持しました。
英国の景気は引き続き軟調なものの、賃金やCPI(消費者物価指数)上昇率はやや上向いています。声明や議事録がタカ派的な内容になれば、市場ではBOEの追加利下げ観測が後退して英ポンドが堅調に推移しそう。その場合、ユーロ/英ポンドは2月28日安値の0.82350ポンドに向かって下落する可能性があります。
※英ポンド/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[英ポンド/円、200日MA超えで上昇モメンタムが強まるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
<スウェーデン中銀>日本時間17時30分に会合結果発表
スウェーデン中銀は24年5月以降、6回合計1.75%の利下げを行いました。現在の政策金利は2.25%です。
本日の会合で政策金利は据え置かれると市場は予想しています。
スウェーデン中銀の声明や会合後に行われるテデーン総裁の会見にも注目です。テデーン総裁は前回1月会合時に「政策金利は底に到達したと考えている」とする一方で、「見通しは極めて不確実だ」、「インフレと経済活動の見通しが変われば、行動する用意がある」と述べました。
市場では、スウェーデン中銀の政策金利は25年末まで据え置かれるとの観測があります。スウェーデン中銀の声明などがこの観測を一段と強める内容になれば、スウェーデンクローナのプラス材料になりそう。その場合、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは上値が重い展開になるかもしれません。
<SARB>日本時間22時過ぎに会合結果発表
SARBは前回1月の会合まで3会合連続で利下げを実施しました(利下げ幅はいずれも0.25%)。現在の政策金利は7.50%です。
本日の会合で政策金利は据え置かれる可能性が高そうです。その通りの結果になれば、SARBの声明や会合後に行われるクガニャゴSARB総裁の会見が材料になりそうです。
前回1月の会合では、6人の政策メンバーのうち4人が0.25%利下げすることに賛成し、2人が政策金利の据え置きを支持しました。本日の会合で政策金利が据え置かれた場合、追加利下げを支持したメンバーが何人いたのか注目です。
政策メンバーの投票行動を含めてSARBの声明やクガニャゴ総裁の会見をタカ派的な内容と市場が見なせば、南アフリカランドにとってプラス材料になりそうです。
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米国の3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数や先週分の新規失業保険申請件数、2月中古住宅販売件数が本日発表されます。
市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数:8.5(18.1)
・新規失業保険申請件数:22.4万件(22.0万件)
・中古住宅販売件数(年率換算):395万件(408万件)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は6月のFOMC(米連邦公開市場委員会))で追加利下げを行うとの観測があります(次回5月のFOMCは政策金利の据え置きを予想)。
新規失業保険申請件数などが市場予想と比べて弱い結果になれば、米景気の先行きへの懸念が強まるとともに、FRBの追加利下げ観測が高まる可能性があります。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは上値を試す展開になりそうです。
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