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ジャクソンホール会議、パウエルFRB議長は利下げを示唆するか

2025/08/19 07:50

【ポイント】
・22日にジャクソンホール会議でパウエル議長が講演
・パウエル議長は9月FOMCでの利下げを示唆するか
・過去には同会議で金融政策の変更が示唆されたケースも

今週21-23日にカンザスシティ連銀主催の年次シンポジウム、ジャクソンホール会議が開催されます。目玉は、パウエルFRB議長の講演。22日午前10時(日本時間同午後11時)開始で、「経済見通しとFRBの政策枠組みの見直し」について話す予定です。そこで9月16-17日のFOMCでの利下げを示唆する可能性があると市場は見ています。

18日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、9月のFOMCで0.25%利下げが実施される確率を市場は8割強織り込んでいます。実際にFRBが利下げに傾きつつあるとすれば、パウエル議長が「(雇用統計や物価指標など)今後のデータ次第」と条件を付けながらも、利下げを示唆してもおかしくはないでしょう。

ただし、今回のジャクソンホール会議のテーマは、「移行期の労働市場:人口動態、生産性、マクロ経済政策」なので、非常に悪かった7月雇用統計(5-6月分の大幅下方修正)に関して、過剰反応しないように何らかの注意を促すかもしれません。実際、パウエル議長は7月雇用統計発表の2日前に、FOMC後の記者会見で労働市場を見るうえで最も重要なのは(NFP:非農業部門雇用者数ではなく?)失業率だと語っています。

■8/2付け「米雇用統計:NFPは急失速! パウエル議長が失業率を重視する訳⁉」をご覧ください。

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過去のジャクソンホール会議
ジャクソンホール会議では、期間中にマーケットが大きく動くことがしばしばありました。以下に主なものを振り返っておきましょう。同会議には世界中の中央銀行関係者が参加するため、米国以外の金融政策に関しても何らかの示唆がある可能性もあります。

24年:パウエル議長が利下げを強く示唆
パウエル議長は「金融政策を調整する時が来た」と述べ、9月FOMCでの利下げを示唆。9月FOMCでは20年3月(コロナ・ショック!)以来となる利下げが実施され、政策金利が5.25-5.50%から4.75-5.00%に引き下げられました。

22年:FRB関係者がタカ派発言
パウエル議長は、政策金利が「より高く、より長く(その水準にとどまる)」と述べ、インフレが大幅に減速するまで利上げを継続する意向を明確にしました。また、クリーブランド連銀のメスター総裁(当時)は、「政策金利を来年(23年)の早い段階で4%をやや上回る水準に引き上げ、その水準を維持する必要がある」と発言しました。当時の政策金利は2.25-2.50%。それが4%を超えて、23年7月に5.25-5.50%まで引き上げられ、24年9月まで維持されました。

14年:ドラギECB総裁(当時)が金融緩和を示唆
ECBは14年6月に政策金利をゼロからマイナス(-0.10%)に引き下げていました。8月のジャクソンホール会議でドラギ総裁は「非標準的な手段をも活用する方針」と表明。9月にECBはマイナス金利を深堀りし(-0.10%⇒-0.20%)、16年3月にはさらに-0.40%まで引き下げました。

10年:バーナンキFRB議長(当時)が量的緩和第2弾(QE2)を示唆
FRBは08年9月のリーマン・ショックを受けて大幅な金融緩和を実施。国債やMBS(住宅ローン担保債券)を購入する量的緩和(QE)を導入しました。QEは10年6月にいったん終了しました。しかし、景気低迷が続いたため、8月のジャクソンホール会議でバーナンキ議長がQEの再開を示唆。実際にFRBは11月から第2弾(QE2)を実施しました(11年6月まで)。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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