弱め(?)の雇用統計と強めのパウエル講演!?
2025/03/08 06:45
【ポイント】
・2月NFPは前月比15.1万人増とほぼ市場予想通り
・失業率は4.1%と前月の4.0%から上昇
・パウエル議長の講演を受けて、株価・長期金利・米ドルは反発
・市場の利下げ観測はやや後退
米国の2月雇用統計は、NFPがほぼ市場予想通りながら失業率の上昇もあって、直後の市場の反応(米ドルや長期金利が低下)からみれば「弱め」でした。
その後、パウエルFRB議長のNYでの講演を受けて、株価・長期金利(10年物国債利回り)・米ドルは反発しました。パウエル議長は、関税や移民政策などに絡んで先行きの不透明感が増している点を認めつつ、金融政策の調整(=利下げ)を急ぐ必要はないとの見解を改めて表明しました。議長はまた、景気が良好な状態にあることを強調し、ノイズ(短期的なブレ)と基調の変化を区別することが重要だと述べました。

■7日配信のM2TV(YouTube)グローバルView「米国経済は大丈夫か 米ドルの行方」をご覧ください。
雇用統計発表後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は25年末までに0.25%×2.80回の利下げを織り込んでおり、前日の2.97回から利下げ観測がわずかに後退しました。

*******
2月雇用統計では、事業所調査のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比15.1万人増と、市場予想(16.0万人増)を若干下回ったものの、ほぼ予想通り。3カ月移動平均は20.0万人増と、昨年1年間の平均(前月の年次改定※の後で14.3万人)と比較してしっかりしています。NFPは政府部門で1.1万人増、そのうち連邦政府では1.0万人減となっており、DOGE(政府効率化省)による連邦職員削減の動きはまだ本格的に反映されていないようです(調査期間が2月中旬だったせいかも)。
※年次改定の詳細については、2月5日付け「【徹底解説】雇用統計の年次改定について」をご覧ください。

時間当たり賃金は前年比4.0%増と、前月(3.9%)から小幅に伸びが高まり、引き続きインフレ率(1月PCEコアは前年比2.7%)を上回りました。

<雇用者数×週平均労働時間×時間当たり賃金>で求められる総賃金指数は前年比4.6%増で、前月(4.9%)から伸びは鈍化したものの、比較的堅調が続いています。

家計調査に基づく失業率は4.1%。(家計調査上では)労働力人口(=雇用者数+失業者数)38.5万人減、雇用者数58.8万人減、失業者数20.3万人増の結果でした。2月の失業率は厳密には4.14%で、仮に失業者数が1.8万人多かったら失業率は4.2%になっていました。

労働参加率<労働力人口÷生産年齢人口>は62.4%と、前月から0.2%低下。23年1月以来の低い水準となりました。
・2月NFPは前月比15.1万人増とほぼ市場予想通り
・失業率は4.1%と前月の4.0%から上昇
・パウエル議長の講演を受けて、株価・長期金利・米ドルは反発
・市場の利下げ観測はやや後退
米国の2月雇用統計は、NFPがほぼ市場予想通りながら失業率の上昇もあって、直後の市場の反応(米ドルや長期金利が低下)からみれば「弱め」でした。
その後、パウエルFRB議長のNYでの講演を受けて、株価・長期金利(10年物国債利回り)・米ドルは反発しました。パウエル議長は、関税や移民政策などに絡んで先行きの不透明感が増している点を認めつつ、金融政策の調整(=利下げ)を急ぐ必要はないとの見解を改めて表明しました。議長はまた、景気が良好な状態にあることを強調し、ノイズ(短期的なブレ)と基調の変化を区別することが重要だと述べました。

■7日配信のM2TV(YouTube)グローバルView「米国経済は大丈夫か 米ドルの行方」をご覧ください。
雇用統計発表後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は25年末までに0.25%×2.80回の利下げを織り込んでおり、前日の2.97回から利下げ観測がわずかに後退しました。

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2月雇用統計では、事業所調査のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比15.1万人増と、市場予想(16.0万人増)を若干下回ったものの、ほぼ予想通り。3カ月移動平均は20.0万人増と、昨年1年間の平均(前月の年次改定※の後で14.3万人)と比較してしっかりしています。NFPは政府部門で1.1万人増、そのうち連邦政府では1.0万人減となっており、DOGE(政府効率化省)による連邦職員削減の動きはまだ本格的に反映されていないようです(調査期間が2月中旬だったせいかも)。
※年次改定の詳細については、2月5日付け「【徹底解説】雇用統計の年次改定について」をご覧ください。

時間当たり賃金は前年比4.0%増と、前月(3.9%)から小幅に伸びが高まり、引き続きインフレ率(1月PCEコアは前年比2.7%)を上回りました。

<雇用者数×週平均労働時間×時間当たり賃金>で求められる総賃金指数は前年比4.6%増で、前月(4.9%)から伸びは鈍化したものの、比較的堅調が続いています。

家計調査に基づく失業率は4.1%。(家計調査上では)労働力人口(=雇用者数+失業者数)38.5万人減、雇用者数58.8万人減、失業者数20.3万人増の結果でした。2月の失業率は厳密には4.14%で、仮に失業者数が1.8万人多かったら失業率は4.2%になっていました。

労働参加率<労働力人口÷生産年齢人口>は62.4%と、前月から0.2%低下。23年1月以来の低い水準となりました。

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