日本の米国債保有と米ドル/円~グローバルViewへのご質問
2025/02/25 07:54
【ポイント】
・非米国人による米国債の保有額は増加傾向
・日本の米国債保有額・シェアは低下傾向
・背景は、円安への対応、あるいは円高誘導のため!?
21日のM2TV(YouTube)グローバルView「日本の長期金利 米ドル/円の行方」に以下のコメントをいただきました。
日本のアメリカ国債保有率も落ちてきてますよね これって円高にも影響あるんですかね?
「保有比率」がいつの期間の何の指標を指すのか確かではありませんが、筆者なりに考察してみたいと思います。
*******
まず、外国人(非居住者)による米国債の保有額は増加傾向にあります。ただ、国債発行残高に占める外国人保有比率は19年末(コロナ前)の35.2%から24年9月末の33.1%に低下しました。とりわけ、コロナ直後から金融当局(FRB)が量的緩和を実施したことで、金融当局の保有比率が大きく上昇したこともあって、外国人の保有比率は30%そこそこまで低下しました。

日本の米国債保有額は21年11月の1兆3,255億ドルをピークに22年10月の1兆644億ドルまで急減し、その後もほとんど増えていません。そして、外国人が保有する米国債における日本のシェアは徐々に低下しています。中国もほぼ同様かそれ以上のペースでシェアを落としていますが、これは中国の米国離れ、米ドル離れに起因するものでしょう。

日本の米国債保有額が減少し続けている理由ははっきりしません。考えられる理由は主に2つです。1つは、日本の金融機関が米国債保有を減らしている可能性です。米国の金利上昇(=国債価格の下落)により米国債を敬遠しているため、あるいは円安の進行により総資産に占める円換算の米国債のウェイトが高くなり過ぎたためかもしれません。
もう1つは、日本政府が外貨準備の米国債を減らしている可能性。日本の外貨準備総額(金を除く)は21年8月をピークに減少し、足もとでは横ばいで推移しています。なので、日本の米国債保有額の推移とかなり符号しています。米ドル/円の上昇、つまり対米ドルでの円安にある程度ブレーキをかけるためかもしれません。ハッキリしているのは、日本の米国債保有額が22年秋と24年春に大きく減少したことです。これは本邦当局が「円安」に対して為替介入を行ったタイミングです。

最初のご質問「これって円高にも影響あるんですかね?」に戻ると、日本(政府+金融機関?)は円安への対応として米国債の保有額・保有シェアを低下させてきた、あるいは円高へ誘導するために米国債を減らしてきたと考えることはできそうです。
【参考】
・非米国人による米国債の保有額は増加傾向
・日本の米国債保有額・シェアは低下傾向
・背景は、円安への対応、あるいは円高誘導のため!?
21日のM2TV(YouTube)グローバルView「日本の長期金利 米ドル/円の行方」に以下のコメントをいただきました。
日本のアメリカ国債保有率も落ちてきてますよね これって円高にも影響あるんですかね?
「保有比率」がいつの期間の何の指標を指すのか確かではありませんが、筆者なりに考察してみたいと思います。
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まず、外国人(非居住者)による米国債の保有額は増加傾向にあります。ただ、国債発行残高に占める外国人保有比率は19年末(コロナ前)の35.2%から24年9月末の33.1%に低下しました。とりわけ、コロナ直後から金融当局(FRB)が量的緩和を実施したことで、金融当局の保有比率が大きく上昇したこともあって、外国人の保有比率は30%そこそこまで低下しました。

日本の米国債保有額は21年11月の1兆3,255億ドルをピークに22年10月の1兆644億ドルまで急減し、その後もほとんど増えていません。そして、外国人が保有する米国債における日本のシェアは徐々に低下しています。中国もほぼ同様かそれ以上のペースでシェアを落としていますが、これは中国の米国離れ、米ドル離れに起因するものでしょう。

日本の米国債保有額が減少し続けている理由ははっきりしません。考えられる理由は主に2つです。1つは、日本の金融機関が米国債保有を減らしている可能性です。米国の金利上昇(=国債価格の下落)により米国債を敬遠しているため、あるいは円安の進行により総資産に占める円換算の米国債のウェイトが高くなり過ぎたためかもしれません。
もう1つは、日本政府が外貨準備の米国債を減らしている可能性。日本の外貨準備総額(金を除く)は21年8月をピークに減少し、足もとでは横ばいで推移しています。なので、日本の米国債保有額の推移とかなり符号しています。米ドル/円の上昇、つまり対米ドルでの円安にある程度ブレーキをかけるためかもしれません。ハッキリしているのは、日本の米国債保有額が22年秋と24年春に大きく減少したことです。これは本邦当局が「円安」に対して為替介入を行ったタイミングです。

最初のご質問「これって円高にも影響あるんですかね?」に戻ると、日本(政府+金融機関?)は円安への対応として米国債の保有額・保有シェアを低下させてきた、あるいは円高へ誘導するために米国債を減らしてきたと考えることはできそうです。
【参考】

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