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米CPIでFRBの利下げ観測後退、米ドル/円は一時154円台後半へ上昇

2025/02/13 09:16

【ポイント】
PPIなどの米経済指標でFRBの利下げ観測は一段と後退するか
・英GDPで市場のBOE金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

12日、欧米時間の外為市場では、が軟調に推移。一時、米ドル/円は154.749円、ユーロ/円は160.906円、豪ドル/円は97.262円、NZドル/円は87.329円へと上昇しました。トランプ米政権が高率の課税を日本に課すことへの懸念が、円安圧力になったとの見方が市場にはあります。

トランプ大統領は10日、米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミに25%の関税を課す大統領令に署名しました。関税は3月12日に発効し、主要な輸入国に設けられている関税の適用除外措置や無関税枠は廃止され、全ての貿易相手国に高率の関税が適用されます。日本産の鉄鋼については、バイデン政権下の22年4月以降、年間125万トンまで関税が課されない無関税枠が設けられています。

米ドル/に関しては、米国の1月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことも上昇要因となりました。

米CPIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
<総合>
・前月比:0.5%(0.3%)
・前年比:3.0%(2.9%)

<コア>
・前月比:0.4%(0.3%)
・前年比:3.3%(3.1%)

※米CPIについては、本日の『ファンダメ・ポイント』[米CPIは上振れ +パウエル議長の議会証言2]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。

ユーロは堅調。一時、ユーロ/米ドルは1.04243ドル、ユーロ/英ポンドは0.83507ポンドへと上昇しました。トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が電話会談し、ロシアとウクライナの戦争終結に向けて交渉を開始することで合意しました。ウクライナでの戦争終結への期待がユーロの支援材料となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の1月PPI(生産者物価指数)先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(いずれも日本時間22:30)。

市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・PPI(前月比):0.3%(0.2%)
・PPI(前年比):3.2%(3.3%)
・PPIコア(前月比):0.3%(0.0%)
・PPIコア(前年比):3.3%(3.5%)

・新規失業保険申請件数:21.5万件(21.9万件)

昨日12日に発表された米CPIの強い結果を受け、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込むFRBの利下げ確率は、3月が約3%、5月までで約12%、6月までで約35%、7月までで約44%です(米中部時間12日17:13時点)。11日時点ではそれぞれ、5%、約2割、約5割、約6割でした。

PPIや新規失業保険申請件数が市場予想と比べて強い結果になれば、FRBの利下げ観測が一段と後退すると考えられます。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上昇し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下落しそうです。

***

英国の24年10-12月期GDP(国内総生産)速報値が本日発表されます(日本時間16:00)。この結果に英ポンドが反応しそうです。

市場では、BOE(英中銀)は5月の政策会合で利下げを行うとの観測があります(次回3月20日の会合については政策金利の据え置きを予想)。

GDPが市場予想の前期比マイナス0.1%と比べて弱い結果になれば、BOEの利下げ観測が強まるとともに、英ポンドが軟調に推移しそう。英ポンド/米ドルは下落し、ユーロ/英ポンドは上昇する可能性があります。ユーロ/英ポンドは、6日高値の0.83729ポンドが目先の上値メドです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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