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米CPIは上振れ +パウエル議長の議会証言2

2025/02/13 07:05

【ポイント】
・米CPIは総合・コアとも上振れ、利下げ観測は後退
・米長期金利は4.6%台を示現
・パウエル議長の議会証言はトランプ政権の政策に言及、判断は保留・・

米国の1月CPIは上振れました。これを受けて、長期金利(10年物国債利回り)は上昇して1月下旬以来の4.6%台を示現。パウエル議長は議会証言で利下げを急がない点を改めて確認しました。米ドル/円は議長の議会証言後に一時155円ちょうどに接近しました。

米長期金利

12日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む0.25%利下げの確率は今年7月まででほぼ五分五分。9月までで8割弱。25年中の追加利下げの確率は1割未満まで低下しています。

OIS米国

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米国の1月CPIは、総合が前年比3.0%と市場予想および前月(2.9%)から加速しました。エネルギーと食料を除くコアは同3.3%と市場予想(3.1%)および前月(3.2%)を上回りました。CPIコアは前月比0.4%と、24年3月以来の高い伸びとなりました。

米CPI

FRBが労働コストを強く反映するとして注目するCPIコアサービス(住居費を除く)は前年比4.2%と24年春ごろの5.0%近辺から徐々に鈍化していますが、まだ水準は高いと言えそうです。

米CPIコアサービス

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パウエル議長の下院金融サービス委員会での証言は、前日の上院銀行委員会と同一のテキストだったようです。Q&Aで気になった点は以下の通り。

議会証言の約1時間半前に発表された1月CPIが上振れことに触れて、パウエル議長は、インフレ目標に向かって大きく前進しているものの、「やるべき仕事はまだ残っている」ことを改めて強調しました。

パウエル議長は先行きに関して、インフレが2%に回帰すれば、政策金利は中立水準に維持されるとし、ゼロ金利政策への回帰は想定していないとのことでした。

パウエル議長は、後から考えると22年3月に開始した利上げをもっと早くやった方が良かったかもしれないと述べる一方で、それがどれぐらいの差異を生んだかは不明としました。利上げが遅くなった理由は、みんながインフレ圧力は一時的だと考えたからだと説明しました。

パウエル議長は、(関税などの)トランプ政権の政策は詳細が明確になるまで判断を保留するとしました。トランプ政権が進める連邦職員の削減についても、それが労働市場に影響を与えるかどうかは不透明だとしました。

パウエル議長は、マスク氏のDOGE(政府効率化省)からのコンタクトはまだないとしたうえで、あれば議会に報告するとしました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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