マネースクエア マーケット情報

米CPIやFRB議長の証言が材料になりそう、関税をめぐる追加報道に注意

2025/02/12 09:00

【ポイント】
・米CPIで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
FRB議長は金融政策の先行きについて新たなヒントを示すか
・米大統領は相互関税について近く発表か

(欧米市場レビュー)

11日、欧米時間の外為市場では、英ポンドが堅調に推移。一時、英ポンド/米ドルは1.24491ドル、英ポンド/円は189.864円へと上昇し、ユーロ/英ポンドは0.83226ポンドへと下落しました。BOE(英中銀)のマン政策委員の発言が英ポンドの支援材料となりました。

マン委員はリーズでの講演で「6日の政策会合では0.50%利下げすることを主張したが、これは連続利下げを望んでいるということや(次回)3月の会合でも0.50%の利下げに投票するという意味ではない」、「依然として(景気)抑制的な政策が必要だ」などと述べました。

BOEは6日の会合で0.25%の利下げを行うことを7対2の賛成多数で決定。マン委員とディングラ委員の2人は、より大幅な0.50%利下げを主張して決定に反対しました。

ノルウェークローネは軟調。一時、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは0.96726スウェーデンクローナへと下落しました。ノルウェーの24年10-12月期GDP(国内総生産)の弱い結果がノルウェークローネの重石となりました。

GDPは前期比マイナス0.6%となり、7-9月期(マイナス1.6%)に続いてマイナス。また、石油・海運部門を除いたGDPメインランドは同マイナス0.4%と、市場予想(プラス0.2%)に反してマイナスになりました。

(本日の相場見通し)

米国の1月CPI(消費者物価指数が本日発表されます(日本時間22:30)。この結果に市場が反応する可能性があります。

CPIの市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
<総合>
・前月比:0.3%(0.4%)
・前年比:2.9%(2.9%)

<コア>
・前月比:0.3%(0.2%)
・前年比:3.1%(3.2%)

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は早ければ6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げを行うとの観測があります(次回3月と次々回5月のFOMCについては政策金利の据え置きを予想)。

CPIが市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が一段と後退しそうです。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になると考えられます。

※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、米1月CPI結果が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

***

パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が下院金融サービス委員会で証言します(日本時間13日午前0時)。前日の上院銀行委員会での証言と同じ内容になるかもしれませんが、質疑応答などでFRBの金融政策の先行きについて新たなヒントが示されれば、材料になりそうです。

※パウエル議長の11日の上院での証言については、本日の『ファンダメ・ポイント』[パウエルFRB議長の議会証言:利下げは急がない、トランプ政権に対して・・・]にて解説していますので、ご覧ください。

***

トランプ米大統領は10日、米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミに25%の関税を課す大統領令に署名しました。関税は3月12日に発効となります。関税の適用は例外なしとされ、カナダやメキシコ・ブラジルなど主要な輸入国に設けられている関税の適用除外措置や無関税枠は廃止されました。ただ、トランプ大統領は、米国が対豪貿易黒字であることを考慮して、豪州に関しては鉄鋼・アルミ関税の適用除外を検討するとしました。なお、米国の鉄鋼とアルミの輸入に占める豪州製品の割合はそれぞれ1%と2%です。

トランプ大統領は同じく10日、貿易相手国が米国製品に課している関税と同じ税率の関税を課す相互関税について「今後2日間で発表する」と述べました。また、「自動車・半導体・医薬品に対する追加関税も検討する」と語りました。

トランプ政権による関税をめぐる報道には引き続き要注意です。市場では関税によって米国内のインフレ圧力が強まるとの見方があります。追加報道によってこの見方が一段と強まる場合、米ドル高材料になりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ