パウエルFRB議長の議会証言:利下げは急がない、トランプ政権に対して・・・
2025/02/12 07:08
【ポイント】
・パウエル議長は利下げを急がない旨を強調
・市場は25年中に0.25%利下げ×1.4回を予想
・議長は政治とは距離を置きつつも、トランプ政権を一部批判!?
パウエルFRB議長は議会証言で、利下げを急がない旨を改めて強調。議長はまた、FRBは政治の外にいるべきだとしつつも、関税や規制緩和、政府機能の削減などトランプ政権が進める政策に関して否定的なコメントが散見されました。
パウエル議長の議会証言を受けて、市場の反応は限定的でした。ただ、先週の雇用統計の発表後に反発した長期金利(10年物国債利回り)は上昇基調を維持しました。

11日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む0.25%利下げの確率が5割を超えるのは今年6月のFOMC以降。利下げが確実視されるのは9月のFOMCまでで、25年中の追加利下げは4割程度しか織り込まれていません。

パウエル議長は12日には下院金融サービス委員会で同様の証言を行います。証言前に1月CPIが発表されることもあり、メッセージに何らかの変更があるか注目されます。また、下院ではトランプ政権の財政政策に対して財政保守派(フリーダムコーカス)が反発しており、どんな質問が出て、議長がどう答えるかも興味深いところでしょう。
*******
パウエル議長は11日、上院銀行委員会で金融政策について証言。議長は、労働市場の状況は概ねバランスしており、またインフレは過去2年間に大幅に鈍化したものの、2%目標に比べていくぶん高い状態が続いていると評価。そのうえで、「金融政策は以前に比べてかなり抑制的ではなくなり、経済は引き続き堅牢なので、政策スタンスを急いで調整する必要はない」と述べました。
そして、パウエル議長は「追加的な調整(≒利下げ)の程度とタイミングを検討するうえで、今後のデータや見通しの変化、リスクのバランスを評価する」と述べました。
*******
上院議員とのQ&Aで、興味深かった議長の発言は以下の通り。
景気について、議長は労働市場のダウンサイドリスクは概ね減退したと評価しました。景気を過熱も冷やしもしない中立金利は上昇しているかもしれないとする一方で、現在がソフトランディングかどうかとの質問には「答える立場にはない」と回答しました。
トランプ関税に関しては、直接的な評価はしないとしつつ、標準的な自由貿易の擁護は意味が通ると述べました。また、関税は消費者に転嫁されるケースもあれば、そうでないケースもあるとしつつ、影響を測るのは時期尚早でデータを待つとしました。ただ、「インフレ圧力を高める可能性はある」と認めました。一方で、貿易赤字はFRBの目標(である雇用と物価)とは無関係だとしました。
財政収支に関して議長は、「債務の増大を看過すれば痛みは大きくなる」と述べました。また、長期金利が高い理由は金融政策とは関係なく「国債市場の需給」だとし、タームプレミアム(長期金利への上乗せ金利)が上昇した一因は、国債発行の増加かもしれないと指摘しました。
パウエル議長は、FRBは「政治の外にいるべきだ」と述べました。DOGE(政府効率化省)による財務省の一部支払い停止に関して、自分たちより「上流」で決まったことなので、(是非について)判断しないと回答。FRBは財務省の代理で実務を担当しているだけだとしたうえで、FRBのシステムは安全であり、「DOGEはアクセスしていないはずだ」と述べました。
トランプ政権が廃止しようとしているCFPB(消費者金融保護局)に関して、消費者保護の観点から金融機関を規制する組織は「他にない」と回答。また、金融面での規制緩和については、バーゼル3に基づく金融機関の資本規制は有効に機能していると述べました。
FRBについても、議長は(マスク氏が指摘するような)「スタッフが過多なのではなく仕事が過剰だ」と述べました。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)について、議長は自身の在任中には実現しないと述べました。
・パウエル議長は利下げを急がない旨を強調
・市場は25年中に0.25%利下げ×1.4回を予想
・議長は政治とは距離を置きつつも、トランプ政権を一部批判!?
パウエルFRB議長は議会証言で、利下げを急がない旨を改めて強調。議長はまた、FRBは政治の外にいるべきだとしつつも、関税や規制緩和、政府機能の削減などトランプ政権が進める政策に関して否定的なコメントが散見されました。
パウエル議長の議会証言を受けて、市場の反応は限定的でした。ただ、先週の雇用統計の発表後に反発した長期金利(10年物国債利回り)は上昇基調を維持しました。

11日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む0.25%利下げの確率が5割を超えるのは今年6月のFOMC以降。利下げが確実視されるのは9月のFOMCまでで、25年中の追加利下げは4割程度しか織り込まれていません。

パウエル議長は12日には下院金融サービス委員会で同様の証言を行います。証言前に1月CPIが発表されることもあり、メッセージに何らかの変更があるか注目されます。また、下院ではトランプ政権の財政政策に対して財政保守派(フリーダムコーカス)が反発しており、どんな質問が出て、議長がどう答えるかも興味深いところでしょう。
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パウエル議長は11日、上院銀行委員会で金融政策について証言。議長は、労働市場の状況は概ねバランスしており、またインフレは過去2年間に大幅に鈍化したものの、2%目標に比べていくぶん高い状態が続いていると評価。そのうえで、「金融政策は以前に比べてかなり抑制的ではなくなり、経済は引き続き堅牢なので、政策スタンスを急いで調整する必要はない」と述べました。
そして、パウエル議長は「追加的な調整(≒利下げ)の程度とタイミングを検討するうえで、今後のデータや見通しの変化、リスクのバランスを評価する」と述べました。
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上院議員とのQ&Aで、興味深かった議長の発言は以下の通り。
景気について、議長は労働市場のダウンサイドリスクは概ね減退したと評価しました。景気を過熱も冷やしもしない中立金利は上昇しているかもしれないとする一方で、現在がソフトランディングかどうかとの質問には「答える立場にはない」と回答しました。
トランプ関税に関しては、直接的な評価はしないとしつつ、標準的な自由貿易の擁護は意味が通ると述べました。また、関税は消費者に転嫁されるケースもあれば、そうでないケースもあるとしつつ、影響を測るのは時期尚早でデータを待つとしました。ただ、「インフレ圧力を高める可能性はある」と認めました。一方で、貿易赤字はFRBの目標(である雇用と物価)とは無関係だとしました。
財政収支に関して議長は、「債務の増大を看過すれば痛みは大きくなる」と述べました。また、長期金利が高い理由は金融政策とは関係なく「国債市場の需給」だとし、タームプレミアム(長期金利への上乗せ金利)が上昇した一因は、国債発行の増加かもしれないと指摘しました。
パウエル議長は、FRBは「政治の外にいるべきだ」と述べました。DOGE(政府効率化省)による財務省の一部支払い停止に関して、自分たちより「上流」で決まったことなので、(是非について)判断しないと回答。FRBは財務省の代理で実務を担当しているだけだとしたうえで、FRBのシステムは安全であり、「DOGEはアクセスしていないはずだ」と述べました。
トランプ政権が廃止しようとしているCFPB(消費者金融保護局)に関して、消費者保護の観点から金融機関を規制する組織は「他にない」と回答。また、金融面での規制緩和については、バーゼル3に基づく金融機関の資本規制は有効に機能していると述べました。
FRBについても、議長は(マスク氏が指摘するような)「スタッフが過多なのではなく仕事が過剰だ」と述べました。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)について、議長は自身の在任中には実現しないと述べました。
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