FRBは政策金利据え置き、BOCとスウェーデン中銀は利下げ決定! 本日ECB理事会
2025/01/30 09:30
【ポイント】
・スウェーデン中銀は利下げサイクル終了の可能性を示す
・BOC(カナダ中銀)は不確実性の多さを理由にフォワードガイダンスを示さず
・ECB(欧州中銀)の声明や総裁会見で追加利下げ観測が強まるか
(欧米市場レビュー)
29日、欧米時間の外為市場では、豪ドルが軟調に推移。豪ドル/NZドルは一時1.09880NZドルへと下落し、24年12月11日以来の安値を記録。豪ドル/円は96.481円、豪ドル/米ドルは0.62086米ドルへと下落する場面がありました。豪州の24年10~12月期CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことで、RBA(豪中銀)が次回2月17-18日の政策会合で利下げを行うとの観測が強まり、豪ドルの重石となりました。
豪州の10-12月期CPIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
<総合>
前期比:0.2%(0.3%)
前年比:2.4%(2.5%)
<トリム平均値>
前期比:0.5%(0.6%)
前年比:3.2%(3.3%)
FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、政策金利を4.25~4.50%に据え置くことを決定しました。FOMCの声明文の内容を受けて米ドル高方向に振れたものの、その後パウエルFRB議長の会見が始まると米ドルは反落しました。
※FOMCについては、本日30日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCは据え置き、タカ派の声明文とハト派の議長会見!?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
BOC(カナダ中銀)とスウェーデン中銀はいずれも0.25%の利下げを行うことを決定しました(*両中銀の会合については後述)。
(本日の相場見通し)
本日は、ECB(欧州中銀)理事会が開かれます。理事会の結果は日本時間22時15分に発表され、ラガルドECB総裁が22時45分から会見します。
ECBは24年6月以降4回の利下げを実施。政策金利は現在、ECBが最も重視している下限の中銀預金金利が3.00%、残りの2つ、主要リファイナンス金利が3.15%、限界貸出金利が3.40%です。
本日の理事会でも0.25%の利下げが行われると市場は予想しています。注目点は、ECBの声明やラガルド総裁の会見で、今後の金融政策についてどのようなヒントが示されるかです。
前回24年12月の理事会時の声明では、ユーロ圏の物価動向について「インフレ鈍化のプロセスは軌道に乗っている」、「基調的なインフレの指標はECBの中期目標である2%が持続的に達成されると示唆している」との見解が示されました。また、先行きの金融政策については「会合ごとにデータを分析して適切な金融政策を決定する」とされました。
ECBの声明やラガルド総裁の会見で次回3月6日の理事会でも利下げを行う可能性が示されれば、ユーロが軟調に推移しそうです。
※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、ECB理事会&ラガルド総裁会見が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページのログインが必要です)。
***
スウェーデン中銀は29日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を2.50%から2.25%に引き下げました。利下げは5会合連続で、24年5月以降6回目です。
スウェーデン中銀は声明で利下げについて「インフレ率が過度に高くなるリスクは限定的であり、経済活動が弱いため」と説明しました。
声明は先行きの金融政策について、前回12月会合時の「インフレと経済活動の見通しが変わらなければ、25年前半にもう1回利下げする可能性がある」を修正。「インフレと経済活動の見通しが変われば、行動する用意がある」としました。
スウェーデン中銀のテデーン総裁は会合後の会見で「政策金利は底に到達したと考えている」と述べ、24年5月に開始された利下げサイクルが終了する可能性を示しました。ただし、「見通しは極めて不確実だ」とし、声明の「インフレと経済活動の見通しが変われば、行動する用意がある」を繰り返しました。
***
BOC(カナダ中銀)は29日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を3.25%から3.00%へと引き下げました。利下げは6会合連続で、利下げ幅は直近2会合(24年10月と12月)の0.50%から縮小されました。
BOCは声明で、利下げする理由を「インフレ率が2%付近にあり、(カナダ)経済が供給過剰の状態にあるため」と説明しました。
声明では、前回24年12月会合時の「政策金利のさらなる引き下げの必要性を会合ごとに判断していく」が削除されました。マックレム総裁は会合後の会見で「フォワードガイダンス(先行きの金融政策に関する示唆)には利点があるが、極めて慎重に使用する必要がある」とし、「多くの不確実性があるためフォワードガイダンスを削除した」と述べました。
米国のトランプ大統領は、「2月1日にカナダからの輸入品に25%の関税を課す」考えを示しています。
BOCは声明で「カナダ経済は徐々に強まり、インフレ率は目標に近い水準で推移すると予想される」としつつ、「広範囲かつ大規模な関税が課された場合、カナダ経済の回復力が試されることになる」との認識を示しました。
マックレム総裁は会見で「長期間かつ広範囲にわたる貿易戦争はカナダの経済活動に深刻な打撃を与えるとみられる。同時に、輸入コストの上昇はインフレに上昇圧力を加えることにもなる」と述べました。
マックレム総裁はそのうえで、「金融政策での対応を検討する際には、経済活動の弱さによるインフレへの下押し圧力と、投入価格の上昇などによるインフレへの上昇圧力を比較する必要がある」と指摘。「関税によるインフレへの下押し圧力の方が上昇圧力よりも速く顕在化すれば、金融政策は経済成長の支援に重点を置くことになる」、「インフレの上昇圧力の方が強ければ、金融政策は持続的なインフレの防止に重点を置かざるを得なくなる」と述べました。
仮にトランプ大統領によって高率の対カナダ関税が実行された場合、BOCは難しい金融政策運営を迫られそうです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。