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米FOMCは据え置き、タカ派の声明文とハト派の議長会見!?

2025/01/30 06:23

【ポイント】
・米FOMCは全会一致で政策金利の据え置きを決定
・労働市場の軟化や物価目標に向けた前進の記述が声明文から削除
・パウエル議長は現状に満足!?
・よほどのことがない限り次の利下げは早くても5月??

米FOMCは全会一致で据え置きを決定。長期金利(10年物国債利回り)は上へ往って来い。FOMCの結果を受けて上昇した後、パウエル議長の記者会見を受けて低下。米ドル/円の反応は限定的でした。
FFレート


声明文からは前回の「インフレ目標に向けた前進」の記述が削除されましたが、パウエル議長はその点にメッセージ性はないと市場の反応をけん制しました。

景気は底堅く推移しており、インフレ目標に向けた進展が足踏み状態であるものの、政策金利が抑制的であることで、FOMCが利下げを急ぐ理由はほぼないのでしょう。

トランプ政権の政策に関しては、注視するものの、詳細がほとんど判明していない現状では金融政策の判断材料にはならないとのことのようです。

市場のメインシナリオでは、「3月は据え置き、5月は五分五分、6月までには利下げ」です。

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FOMC声明文

FOMCの票決は全会一致。前回は昨年8月に就任したばかりのハマック・クリーブランド連銀総裁が据え置きを主張して利下げに反対しました。

声明文では、前回から意味のある修正は冒頭の景気と物価の判断に関する部分のみ。労働市場の軟化やインフレの鈍化に関する部分が削除されました。今後の政策に関して「追加的な措置(複数形、利下げのこと)の程度とタイミングを検討するにあたって、FOMCは今後のデータ、変化する見通し、リスクのバランスを考慮する」とされ、前回と全く同じでした。

<声明文の修正箇所>
「今年の早い時点から労働市場の状況は総じて軟化しており、失業率は上昇したが、引き続き低い。インフレはFOMCの2%目標に向けて前進してきたが、依然としていくぶん高い」(24年12月18日)
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「ここ数カ月、失業率は低い水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き底堅い。インフレは依然としていくぶん高い」(25年1月29日)

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パウエル議長の記者会見で興味深かった点は以下。

・政策金利は以前ほど抑制的ではないものの、中立水準を明確に上回っている。
・声明文冒頭のインフレに関する記述の変更に政策的意図はない。
・経済や物価動向、金融政策の状況に満足しており、利下げを急ぐ必要はない。
・移民、関税、減税、エネルギー等の政策に関してスタッフは様々なシナリオを検討。
・ただし、政策の詳細が明らかにならないとそれらの影響は分析できない。
・トランプの利下げ要求に関して「ノーコメント」。
・金融政策の枠組みの見直しを行うが、2%の物価目標をすぐには変更しない。
・DeepSeekに絡む株安がマクロ経済に与える影響は限定的。ただ、注視はしている。
・保有国債を削減するQT(量的引き締め)は継続する。

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29日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む次回3月FOMCでの利下げ確率は2割弱、5月まではほぼ五分五分、6月まではほぼ10割です。

FRB金融政策見通し
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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