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トルコリラ:エルドアン大統領の発言が重石に!?

2024/12/30 09:28

【ポイント】
・米国の長期金利が一段と上昇するか
・大統領がTCMBの金融政策に再び介入するとの懸念が強まるか

(欧米市場レビュー)

12月27日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は157.900円近辺、米ドル/カナダドルは1.44446カナダドルへと上昇し、豪ドル/米ドルは0.67986米ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の長期金利の動向に引き続き注目です。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げペースが今後鈍化するとの観測から米長期金利には上昇圧力が加わっており、26日には一時4.64%へと上昇して5月上旬以来の高値をつけました。

米長期金利の上昇は米ドル高要因になると考えられます。米長期金利が一段と上昇する場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。

米国の12月シカゴ購買部協会景気指数11月住宅販売保留指数が本日発表されます。市場予想はシカゴ購買部協会景気指数が42.8、住宅販売保留指数が前月比0.8%です。市場予想からかい離する結果になれば、材料になるかもしれません。

年末年始の外為市場は参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には、値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。

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TCMB(トルコ中銀)は12月26日の政策会合で2.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を50.00%から47.50%へと引き下げました。

※TCMB会合について詳しくは、27日の『デイリーフラッシュ』[トルコ中銀が利下げ決定!]をご覧ください。

トルコのエルドアン大統領は28日、「経済計画における優先事項はインフレを抑えることだ」と強調。「金利が下がればインフレ率は下がる。インフレを抑えるためには利下げが不可欠であり、われわれはこれを行うだろう。25年は重要な年になる」と述べました。

エルドアン大統領はかつて高金利を「諸悪の根源」と呼び、「金利の敵」と自称。「金利が下がればインフレ率は下がる」との持論のもと、TCMBに対して利下げを要求。要求に従わないTCMB総裁をたびたび解任しました(19年~23年までの4年間で4人を解任)。

その後、エルドアン大統領は23年6月に経済チームを刷新し、それまでの方針を転換。TCMBが積極的に利上げを進めるなか、それを容認する姿勢をエルドアン大統領は示していました。

しかし、エルドアン大統領が再び「金利が下がればインフレ率は下がる」と主張したことで、市場では経済チームが刷新される前のように大統領がTCMBの金融政策に介入するとの懸念が高まるかもしれません。また、インフレを再び加速させかねない急速な利下げをTCMBが行うとの懸念も市場で高まる可能性もあります。トルコリラは上値が重い展開になりそうです。

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※デイリーフラッシュは本日配信分が年内最終です。1年間ご愛読いただき、ありがとうございました。新年は1月3日より再開する予定です。皆様におかれましては良いお年をお迎えください。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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