米ドルが堅調、対カナダドルで4年8カ月ぶりの高値
2024/12/13 09:20
【ポイント】
・米国の長期金利(10年物国債利回り)は一段と上昇するか
・総裁補の講演でRBA(豪中銀)の金融政策について新たなヒントが示されるか
(欧米市場レビュー)
12日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は152.741円、米ドル/カナダドルは1.42245カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.04623ドル、英ポンド/米ドルは1.26657ドルへと下落。米ドル/カナダドルは20年4月以来の高値をつけました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。
「カナダは、トランプ米次期大統領が貿易戦争(※)を開始した場合、対抗措置として米国に輸出するウラン・石油・カリウムなどに課税することを検討している」と報じられ、米ドル/カナダドルに関してはこの報道も上昇要因となりました。
(※)トランプ次期大統領は11月25日、米国への違法薬物や不法移民の流入を理由に「1月20日(大統領就任日)、メキシコとカナダから輸入する全ての製品に25%の関税を課す大統領令に署名する」とSNSに投稿しました。
豪ドル/NZドルは一時1.10547NZドルへと上昇し、11月27日以来およそ2週間ぶりの高値をつけました。豪州の11月の雇用統計で失業率が3.9%、雇用者数が前月比3.56万人増と、市場予想(4.2%と2.50万人増)と比べて強い結果だったことが、豪ドルのプラス材料になりました。
ECB(欧州中銀)は理事会を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。3つの政策金利のうち、ECBが最も重視している下限の中銀預金金利を3.25%から3.00%に引き下げました(残りの2つ、主要リファイナンス金利は3.40%から3.15%に、限界貸出金利は3.65%から3.40%に引き下げ)。
※ECB理事会について詳しくは、本日13日の『ファンダメ・ポイント』[ECB理事会は0.25%利下げ、ドイツ長期金利は上昇もユーロは軟調]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
米国の長期金利(10年物国債利回り)は12日に一時4.34%へと上昇し、およそ2週間ぶりの高い水準をつけました。インフレの指標である米国の11月PPI(生産者物価指数)が市場予想を上回ったことなどが、米長期金利の上昇要因になったようです。
本日は米国の主要な経済指標の発表は予定されていないため、引き続き米長期金利の動向が材料になりそうです。米長期金利が一段と上昇する場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、相場の力を溜め込みつつ方向感を模索する時間帯!]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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RBA(豪中銀)のハンター総裁補がアデレードで講演します。RBAの金融政策の先行きについて、10日の政策会合時の声明やブロック総裁の会見以上の手掛かりが講演で提供されれば、豪ドルが反応する可能性があります。RBAの利下げ観測が後退する場合、豪ドルが堅調に推移しそうです。
政策会合時の声明では、以下などの認識が示されました。
・「インフレに対する上振れリスクは一部緩和したようだ」
・「経済活動に関する最近のデータはマチマチだが、全体としては11月に示した予測よりも弱い」
・「労働市場の状況は緩やかに緩和しているが、依然として引き締まっている」
・「インフレと経済情勢に関する最近のデータは、(RBAの)予測と整合的」
ブロック総裁は会合の会見で、「政策を変更(利下げ)するために、必ずしも四半期のCPI(消費者物価指数)を複数回確認する必要はない(※)」、「2月に利下げするかどうかは分からない」と述べ、次回25年2月17-18日の会合での利下げを否定しませんでした。
(※)11月の会合時の議事録では、「四半期CPIの良好な結果を複数回確認する必要がある」との認識が示されていました。次に四半期(10-12月期)CPIが発表されるのは25年1月29日です。
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