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ECB理事会は0.25%利下げ、ドイツ長期金利は上昇もユーロは軟調

2024/12/13 08:06

【ポイント】
・ECBはインフレ目標達成に自信、利下げを継続へ!?
・ドイツ長期金利の上昇は年末を控えたポジション調整か
・ユーロ/米ドルは乱高下、ドイツ債券市場終了後に下落

ECBは13日の理事会で0.25%の利下げを決定。声明やラガルド総裁の会見も追加利下げに含みを持たすハト派的内容でした(後述)。

理事会の決定や総裁会見を受けてドイツの長期金利(10年物国債利回り)はいったん低下しましたが、すぐに反転上昇。ユーロ/米ドルはそれに合わせて上昇する場面がありました。ラガルド総裁の会見が期待ほどハト派でなかったとの指摘もあるようですが、ドイツの長期金利上昇は年内最後のビッグイベントを通過して、材料出尽くしでポジション調整が起きたと解釈するほうがスッキリしそうです。欧州債券市場の終了後にユーロ/米ドルが下落に転じたのはその証左かもしれません(※)。

※ただし、ユーロ/米ドルの下落(米ドルの上昇)は、米国の11月PPI(生産者物価)の上振れなどを受けた米長期金利の上昇も一因だったようです。

ユーロ/米ドル

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ECBは13日の理事会において3会合連続で利下げを決定(6月の利下げ開始から4回目)。中銀預金金利を3.25%から3.00%に引き下げました。

声明では、「インフレ鈍化のプロセスは軌道に乗っている」、「基調的なインフレの指標はECBの中期目標である2%が持続的に達成されると示唆している」として、物価目標の達成に自信を示しました。

フォワードガイダンスは「会合ごとにデータを分析して適切な金融政策を決定する」となり、前回までの「(2%の物価目標を達成するために)必要なだけ長く十分に抑制的な政策金利を維持する」は削除されました。

ラガルド総裁は会見で、0.50%の利下げも検討したと明かしました。景気については、足もとで勢いを失いつつあるとし、景気見通しのリスクは下振れ方向にあると認めました。トランプ次期大統領の関税引き上げ方針など貿易摩擦にも懸念を表明しました。

ラガルド総裁はまた、インフレとの闘いはまだ完了していないとしつつも、インフレ率は25年に2%に落ち着くとの見解を表明しました。総裁の発言からは利下げを続ける意向だと考えて良さそうです。

理事会後には、複数の関係者の話として、次回と次々回の理事会で0.25%ずつ利下げを行う可能性があるとの報道もありました。

ECB経済見通し
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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