11月米雇用統計は22.7万人増加も、失業率は上昇。12月FOMCは利下げか
2024/12/07 07:42
【ポイント】
・NFPが前月の反動で大きく増加した一方、失業率はジリ高
・次回FOMCについて、市場は0.25%利下げを8割超織り込む
・米ドル/円は149円台前半まで下落後に150円ちょうど近辺まで小反発
・カナダの失業率が大幅上昇してカナダドル安、豪ドルやNZドルが連れ安!?
米国の11月雇用統計は強弱まちまちの内容でした(後述)。ただ、市場は失業率の上昇に注目し、次回FOMCでの利下げ観測がやや高まりました。米ドル/円は1円超下落しましたが、その後に発表された12月ミシガン大学消費者マインド指数の改善やボウマンFRB理事の発言(※)を受けて下げ分のほぼ半値を取り戻す形となりました。
※ボウマン理事は、インフレ率は目標の2%を「不快なほど」上回っており、依然として上振れリスクは「顕著」だと述べました。そのうえで、利下げは慎重かつ漸進的に進めたいとの意向を表明しました。
6日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は17-18日のFOMCでの利下げを8割超織り込んでいます(雇用統計発表前の5日時点では約7割、直近で最も確率が低かったのが11月20日時点で約3割)。また、25年10月まで8回のFOMCで計0.25%×3.4回分の利下げが織り込まれています。次回FOMCで公表されるドットプロット(参加者の政策金利見通し)との比較は興味深いものとなりそうです。
なお、米国と同時に発表されたカナダの雇用統計を受けて、カナダドルが下落。雇用者数は5.05万人増と市場予想(2.5万人増)を上回ったものの、失業率が6.8%と前月の6.5%から大きく上昇し(市場予想は6.6%)、12月11日のBOC(カナダ中銀)の政策会合で0.50%の利下げが決定されるとの観測が強まりました。米ドル/カナダドルが上昇し(カナダドル安)、旧英連邦通貨である豪ドルやNZドルも対米ドルで連れ安となったようです(AUD/NZDは続落)。

*******
11月雇用統計では、事業所調査のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比22.7万人増と、市場予想(22.0万人増)とほぼ同じ。ハリケーンやボーイングのストの影響(※)があった10月(3.6万人増←改定前1.2万人増)から大幅に反発しました。9-10月分は計5.6万人上方修正。過去3カ月のNFP平均は17.3万人増/月となり、6カ月ぶりの高い伸びでした。
※(ボーイングが含まれる)「輸送機器製造」は10月に前月から4.2万人減少し、11月に3.2万人増加しました。ハリケーンの影響については、とくに言及はされませんでした(前月の発表では、「ハリケーンの影響はあったものの、定量化できない」とされました。詳細は10月31日付け「雇用統計プレビュー+好調だった米GDP」の末尾「【補足】10月雇用統計の技術的プレビュー」をご覧ください)。

時間当たり賃金は前年比4.0%増で前月と同じで比較的堅調、引き続きインフレ率(10月PCEコアは前年比2.8%)を上回りました(=実質賃金の伸びはプラス)。また、<雇用者数×週平均労働時間×時間当たり賃金>で求められる総賃金指数は前年比5.1%増で、こちらも比較的堅調が続いています。


家計調査に基づく失業率は4.2%と前月から0.1%の上昇。23年4月の3.4%をボトムにしてジリジリと上昇が続いています。労働参加率<(雇用者数+失業者数)/生産年齢人口>は62.5%。労働参加率は昨年後半以降ほぼ横ばいで推移しており、ピークは62.8%です。コロナ・ショック後の回復(上昇)段階は終了したと判断できそうです。

・NFPが前月の反動で大きく増加した一方、失業率はジリ高
・次回FOMCについて、市場は0.25%利下げを8割超織り込む
・米ドル/円は149円台前半まで下落後に150円ちょうど近辺まで小反発
・カナダの失業率が大幅上昇してカナダドル安、豪ドルやNZドルが連れ安!?
米国の11月雇用統計は強弱まちまちの内容でした(後述)。ただ、市場は失業率の上昇に注目し、次回FOMCでの利下げ観測がやや高まりました。米ドル/円は1円超下落しましたが、その後に発表された12月ミシガン大学消費者マインド指数の改善やボウマンFRB理事の発言(※)を受けて下げ分のほぼ半値を取り戻す形となりました。
※ボウマン理事は、インフレ率は目標の2%を「不快なほど」上回っており、依然として上振れリスクは「顕著」だと述べました。そのうえで、利下げは慎重かつ漸進的に進めたいとの意向を表明しました。
6日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は17-18日のFOMCでの利下げを8割超織り込んでいます(雇用統計発表前の5日時点では約7割、直近で最も確率が低かったのが11月20日時点で約3割)。また、25年10月まで8回のFOMCで計0.25%×3.4回分の利下げが織り込まれています。次回FOMCで公表されるドットプロット(参加者の政策金利見通し)との比較は興味深いものとなりそうです。
なお、米国と同時に発表されたカナダの雇用統計を受けて、カナダドルが下落。雇用者数は5.05万人増と市場予想(2.5万人増)を上回ったものの、失業率が6.8%と前月の6.5%から大きく上昇し(市場予想は6.6%)、12月11日のBOC(カナダ中銀)の政策会合で0.50%の利下げが決定されるとの観測が強まりました。米ドル/カナダドルが上昇し(カナダドル安)、旧英連邦通貨である豪ドルやNZドルも対米ドルで連れ安となったようです(AUD/NZDは続落)。

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11月雇用統計では、事業所調査のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比22.7万人増と、市場予想(22.0万人増)とほぼ同じ。ハリケーンやボーイングのストの影響(※)があった10月(3.6万人増←改定前1.2万人増)から大幅に反発しました。9-10月分は計5.6万人上方修正。過去3カ月のNFP平均は17.3万人増/月となり、6カ月ぶりの高い伸びでした。
※(ボーイングが含まれる)「輸送機器製造」は10月に前月から4.2万人減少し、11月に3.2万人増加しました。ハリケーンの影響については、とくに言及はされませんでした(前月の発表では、「ハリケーンの影響はあったものの、定量化できない」とされました。詳細は10月31日付け「雇用統計プレビュー+好調だった米GDP」の末尾「【補足】10月雇用統計の技術的プレビュー」をご覧ください)。

時間当たり賃金は前年比4.0%増で前月と同じで比較的堅調、引き続きインフレ率(10月PCEコアは前年比2.8%)を上回りました(=実質賃金の伸びはプラス)。また、<雇用者数×週平均労働時間×時間当たり賃金>で求められる総賃金指数は前年比5.1%増で、こちらも比較的堅調が続いています。


家計調査に基づく失業率は4.2%と前月から0.1%の上昇。23年4月の3.4%をボトムにしてジリジリと上昇が続いています。労働参加率<(雇用者数+失業者数)/生産年齢人口>は62.5%。労働参加率は昨年後半以降ほぼ横ばいで推移しており、ピークは62.8%です。コロナ・ショック後の回復(上昇)段階は終了したと判断できそうです。


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