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日銀審議委員の発言やOPECプラス会合に注目

2024/12/05 09:11

【ポイント】
・審議委員の発言によって日銀の12月利上げ観測が後退するか
OPECプラスは自主減産の延長を決定するか
CPIでスウェーデン中銀の利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

4日、欧米時間の外為市場では、が軟調に推移。一時、米ドル/円は151.181円、ユーロ/円は158.597円、英ポンド/円は191.463円、NZドル/円は88.194円へと上昇しました。日銀は18-19日の金融政策決定会合で政策金利を据え置く(利上げを見送る)可能性があるとの観測が、円の重石となりました。

パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「米経済は極めて良好な状態にある」との認識を示し、ムサレム・セントルイス連銀総裁は「今後のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを一時停止する可能性がある」と述べました。米ドル/円については、パウエル議長やムサレム総裁の発言も上昇要因となりました。

本日5日の『ファンダメ・ポイント』は[米景気は底堅い!? ISM、ADP、ベージュブック]
です。

豪ドルも軟調。豪ドル/米ドルは一時0.63913米ドルへと下落し、8月5日以来およそ4カ月ぶりの安値を記録。豪ドル/NZドルは1.09667NZドルへと下落する場面がありました。豪州の7-9月期GDP(国内総生産)が前期比0.3%、前年比0.8%と、いずれも市場予想(0.4%と1.1%)を下回ったことが、豪ドルに対する下押し圧力となりました。

※豪ドル/NZドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/NZドル、一旦の天井を形成か]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

(本日の相場見通し)

本日は、日銀の中村審議委員が広島県金融経済懇談会に出席します。中村委員は10時30分からの懇談会であいさつし、14時30分から会見する予定です。あいさつや会見での中村委員の発言が材料になる可能性があります。

中村委員は、3月のマイナス金利解除7月の利上げいずれも反対するなど、日銀の政策委員会メンバーの中でハト派とされます。中村委員が本日のあいさつや会見で追加利上げに慎重な姿勢を示せば、18-19日の政策会合における追加利上げ観測が一段と後退する可能性があります。その場合、が軟調に推移して米ドル/円やクロス円が上値を試す展開になりそうです。

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米国の新規失業保険申請件数(先週分)が本日発表されます(日本時間22:30)。市場予想の21.5万件からかい離する結果になれば、材料になる可能性があります。市場予想よりも強い結果の場合、次回17-18日のFOMCでの利下げ観測が後退するかもしれません。

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本日、OPEC(石油輸出国機構)の加盟国とロシアなど非加盟の主要産油国で構成するOPECプラス」が閣僚級会合を開きます。

OPECプラス会合では有志国による原油の自主減産の延長が決定されるとの観測が、市場にはあります。12月末までの自主減産の期限を25年3月末まで3カ月間延長するとの報道もあります。

OPECプラス会合の結果によって原油価格が大きく変動すれば、カナダドルノルウェークローネなどの資源国通貨が反応するかもしれません。原油安が進む場合、資源国通貨に対して下押し圧力が加わる可能性があります。

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スウェーデンの11月CPI(消費者物価指数)速報値が本日発表されます(日本時間16:00)。CPIの市場予想は前年比1.6%と、上昇率は11月の1.6%と同じになるとみられています。住宅ローン金利変動の影響を除外したCPIFの市場予想は同1.9%と、上昇率は11月の1.5%から高まるものの、スウェーデン中銀のインフレ目標である2%を引き続き下回るとみられています。

市場では、スウェーデン中銀は次回12月19日の政策会合で0.25%の利下げを行うとの見方が有力です。CPIが市場予想を下回る結果になれば、利下げ観測が強まるとともに、スウェーデンクローナの重石になりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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