トランプ次期大統領の投稿でメキシコペソが堅調
2024/11/29 09:25
【ポイント】
・東京都区部CPIで日銀の利上げ観測が強まる可能性あり
・ユーロ圏CPIでECBの利下げ観測が強まるか
・カナダGDPで市場のBOC金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
28日、欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は151.942円、ユーロ/円は160.278円、豪ドル/円は98.685円、NZドル/円は89.449円へと上昇しました。欧州株が堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが、円の重石となりました。米株式市場は感謝祭で休場でした。
メキシコペソは対米ドルや対円で堅調。メキシコペソ/円は一時7.494円へと上昇しました。トランプ米次期大統領のSNSでの投稿がメキシコペソの支援材料となりました(*詳細は後述)。
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RBNZ(NZ中銀)は27日の政策会合で0.50%の利下げを行うことを決定しました。RBNZのシルク総裁補は28日のインタビューで「次回2月の政策会合では、0.25%か0.50%の利下げが検討されるだろう」と述べました。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回会合での利下げ確率は、0.25%幅が7割程度、0.50%幅が3割程度です。次回会合までに、NZの7-9月期GDP(12/19)、10-12月期CPI(25/1/22)、10-12月期雇用統計(同2/5)、1-3月期インフレ期待(同2/13)が発表されます。これらの結果が次回25年2月19日の会合における重要な政策判断材料になりそうです。
(本日の相場見通し)
日本時間午前8時30分に、11月の東京都区部CPIが発表されました。東京都区部CPI(生鮮食品を除く)の結果は前年比2.2%と、上昇率は10月の1.8%から高まり、市場予想の2.1%を上振れました。
市場では、日銀が次回12月18-19日の会合で利上げを行うとの観測があります。東京都区部CPIの結果を受けて利上げ観測が市場で強まるかもしれません。日銀の利上げ観測が強まる場合、円が強含んで米ドル/円やクロス円(ユーロ/円など)は軟調に推移する可能性があります。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[米ドル/円と日米長期金利差の相関は継続中]です。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、「150円」を意識する相場付き]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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本日は、ユーロ圏の11月CPI(消費者物価指数)が発表されます(日本時間19:00)。この結果にユーロが反応する可能性があります。
CPIの市場予想は前年比2.3%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたCPIコアが同2.8%です。市場では、ECB(欧州中銀)は12月12日の理事会で0.25%の利下げを行うとの見方が有力です。ユーロ圏のCPIが市場予想を下回る結果になれば、利下げ観測が強まるとともに、ユーロに対して下押し圧力が加わる可能性があります。ユーロ/英ポンドは、0.82588ポンド(11/11安値)が目先の下値メドです。
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カナダの7-9月期GDP(国内総生産)が本日発表されます(日本時間22:30)。GDPの市場予想は前期比年率1.0%と、成長率は4-6月期の同2.1%から鈍化するとみられています。
BOC(カナダ中銀)は6月・7月・9月・10月と4会合連続で利下げを実施。前回10月会合時のBOC声明では、「経済がおおむね(BOCの)予想通りに展開すれば、政策金利はさらに引き下げられると予想している」と追加利下げが示唆されました。
市場ではBOCは次回12月11日の会合で利下げを行うと予想されており、利下げ幅に関しては0.25%になるとの見方が有力です。本日発表されるGDPが市場予想を下回る結果になれば、より大幅な0.50%の利下げ観測が強まりそうです。その場合にはカナダドル安圧力が加わる可能性があります。
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トランプ米次期大統領は27日(日本時間28日午前)SNSに、メキシコのシェインバウム大統領と会談して「メキシコ経由での(米国への)移民流入を止め、米国の南部国境を事実上閉鎖することで合意した」と投稿しました。トランプ次期大統領は違法薬物や不法移民の米国への流入などを理由に、“就任後ただちにメキシコやカナダから輸入する全ての製品に25%の関税を課す”との考えを示しています。トランプ次期大統領のSNSへの投稿によって対メキシコ関税への懸念が後退し、28日のメキシコペソ堅調の要因になりました。
ただし、シェインバウム大統領はSNSに「メキシコの立場は国境を閉鎖するのでなく、政府間や両国民に橋を架けることだ」と投稿。トランプ次期大統領とシェインバウム大統領とは認識の違いがあるようです。
メキシコペソに関しては引き続きトランプ次期大統領の発言に注意が必要です。
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