米ドル/円と日米長期金利差の相関は継続中
2024/11/29 07:35
【ポイント】
・米ドル/円と日米長期金利差は9月以降に強い相関
・米長期金利は、クリスマス商戦、FRB、財政政策に注目
・日本の長期金利は、日銀の動きに注目
11月に入って、米ドル/円が上へ「往って来い」となるなか、日米長期金利(10年物国債利回り)差との相関関係が続いています。両者は5-6月の期間に一時的に逆相関になりましたが、7月以降は再び正の相関に戻り、とりわけ9月以降は強い正の相関になっています。

大統領選挙でのトランプ氏勝利を受けて、インフレ高進や財政赤字拡大の懸念から米長期金利が上昇した場面では、米ドル/円はあまり付いて行きませんでした。ただ、その後に日本の長期金利が上昇したこともあって、日米長期金利差が米ドル/円と整合的な水準まで縮小しました(図中、薄緑〇)。
また、米財務長官候補にベッセント氏が指名された直後には、インフレや財政赤字の懸念後退から米長期金利は低下し、日米長期金利差は縮小しました。当初、米ドル/円の反応は鈍かったようですが、足もとでは日米長期金利差の動きにやや遅れる形で、米ドル/円が下落しています(図中、薄橙〇)。
■米ドル/円のテクニカル分析は、本日の「米ドル/円、『150円』を意識する相場付き」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

今後も、米ドル/円に関して、日米長期金利差が重要なカギを握るかもしれません。米景気の底堅さや利下げ観測の後退を受けて米長期金利は再び上昇基調に転じるか。ブラックフライデーやサイバーマンデーの消費者動向、12月の雇用統計などを受けて12月17-18日のFOMCでの利下げ観測が一段と後退するか。一方で、日銀は12月に追加利上げに踏み切るか。そのための地ならしを行うか。25年に入っても利上げ継続の意向が示されるか、などに注目でしょう。
日米長期金利に関する当面の主な材料:
11月29日 ブラックフライデー
12月 2日 サイバーマンデー
12月 6日 米雇用統計(11月分):ハリケーンやストライキの反動!?
12月11日 米CPI(11月分):10月PCEは上振れ
12月18日 米FOMC結果判明+パウエル議長会見 0.25%利下げ??
12月19日 日銀の金融政策決定会合+植田総裁会見 利上げ??
12月20日 日本全国CPI(11月分)
米25年度暫定予算失効:シャットダウンのリスクあり
※米感謝祭の週末の消費動向については、クレジットカードの利用額、ショッピングモールの客足などの断片情報はすぐに入手できそうです。ただ、包括的なデータ(小売売上高など)が発表されるころには市場の関心は別のものにシフトしている傾向があります。また、予定されたイベントとは別にトランプ陣営からサプライズでメッセージが発信されて、直接的に、あるいは株価の変動などを通して間接的に長期金利に影響が及ぶかもしれません。
・米ドル/円と日米長期金利差は9月以降に強い相関
・米長期金利は、クリスマス商戦、FRB、財政政策に注目
・日本の長期金利は、日銀の動きに注目
11月に入って、米ドル/円が上へ「往って来い」となるなか、日米長期金利(10年物国債利回り)差との相関関係が続いています。両者は5-6月の期間に一時的に逆相関になりましたが、7月以降は再び正の相関に戻り、とりわけ9月以降は強い正の相関になっています。

大統領選挙でのトランプ氏勝利を受けて、インフレ高進や財政赤字拡大の懸念から米長期金利が上昇した場面では、米ドル/円はあまり付いて行きませんでした。ただ、その後に日本の長期金利が上昇したこともあって、日米長期金利差が米ドル/円と整合的な水準まで縮小しました(図中、薄緑〇)。
また、米財務長官候補にベッセント氏が指名された直後には、インフレや財政赤字の懸念後退から米長期金利は低下し、日米長期金利差は縮小しました。当初、米ドル/円の反応は鈍かったようですが、足もとでは日米長期金利差の動きにやや遅れる形で、米ドル/円が下落しています(図中、薄橙〇)。
■米ドル/円のテクニカル分析は、本日の「米ドル/円、『150円』を意識する相場付き」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

今後も、米ドル/円に関して、日米長期金利差が重要なカギを握るかもしれません。米景気の底堅さや利下げ観測の後退を受けて米長期金利は再び上昇基調に転じるか。ブラックフライデーやサイバーマンデーの消費者動向、12月の雇用統計などを受けて12月17-18日のFOMCでの利下げ観測が一段と後退するか。一方で、日銀は12月に追加利上げに踏み切るか。そのための地ならしを行うか。25年に入っても利上げ継続の意向が示されるか、などに注目でしょう。
日米長期金利に関する当面の主な材料:
11月29日 ブラックフライデー
12月 2日 サイバーマンデー
12月 6日 米雇用統計(11月分):ハリケーンやストライキの反動!?
12月11日 米CPI(11月分):10月PCEは上振れ
12月18日 米FOMC結果判明+パウエル議長会見 0.25%利下げ??
12月19日 日銀の金融政策決定会合+植田総裁会見 利上げ??
12月20日 日本全国CPI(11月分)
米25年度暫定予算失効:シャットダウンのリスクあり
※米感謝祭の週末の消費動向については、クレジットカードの利用額、ショッピングモールの客足などの断片情報はすぐに入手できそうです。ただ、包括的なデータ(小売売上高など)が発表されるころには市場の関心は別のものにシフトしている傾向があります。また、予定されたイベントとは別にトランプ陣営からサプライズでメッセージが発信されて、直接的に、あるいは株価の変動などを通して間接的に長期金利に影響が及ぶかもしれません。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
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