ECBは利下げか、トルコ中銀は据え置き!?
2024/10/17 08:44
【ポイント】
・ECB総裁会見で次回12月の理事会に関してヒントが示されるか
・トルコ中銀の金融引き締めスタンスが弱まるか
・米経済指標でFRBの利下げ観測が後退するか
(欧米市場レビュー)
16日、欧米時間の外為市場では、英ポンドが軟調に推移。一時、英ポンド/米ドルは1.29756ドル、英ポンド/円は193.680円へと下落し、ユーロ/英ポンドは0.83751ポンドへと上昇しました。英国の9月CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回る結果だったことを受け、BOE(英中銀)の利下げ観測が強まったことが、英ポンド安圧力となりました。CPIの結果は、総合指数が前年比1.7%、エネルギー・食料品・タバコを除いたコア指数が同3.2%。市場予想はそれぞれ1.9%と3.4%でした。
メキシコペソも軟調。対米ドルでおよそ1カ月ぶりの安値を記録し、対円(メキシコペソ/円)では一時7.459円へと下落しました。米国のトランプ前大統領はこれまでメキシコからの輸入車に100%の関税を課すと述べていました。それが最近は、200%以上の関税を課す可能性に言及しており、そのことがメキシコペソに対する下押し圧力となりました。
(本日の相場見通し)
本日は、ECB(欧州中銀)理事会が開かれます。理事会の結果は日本時間21時15分に発表され、ラガルドECB総裁が21時45分から会見します。
ECBは6月と9月の理事会で利下げを実施しました。政策金利は現在、ECBが最も重視している下限の中銀預金金利が3.50%、残りの2つ、主要リファイナンス金利が3.65%、限界貸出金利が3.90%です。
ユーロ圏の9月CPI(消費者物価指数)速報値は前年比1.8%と、8月改定値の2.2%から上昇率が鈍化し、ECBが目標とする2%を下回りました。また、ラガルドECB総裁は9月30日に「インフレ率が速やかに目標に回帰するとの自信を強めている。10月の会合でそれを考慮に入れる」と述べました。市場では、本日の理事会で0.25%の追加利下げが行われると予想されています。
理事会後に行われるラガルド総裁の会見にも注目です。会見では次回12月理事会の金融政策に関してどのようなヒントが示されるかが焦点になりそうです。ラガルド総裁の会見がECBは12月も利下げするとの観測を強める内容になれば、ユーロが軟調に推移すると考えられます。
※16日の『ファンダメ・ポイント』は、[ECB理事会プレビュー:0.25%利下げへ⁉ 先行きの金融政策にどんなヒントが?]です。
※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、ECB理事会&ラガルド総裁会見が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
***
本日、米国の小売売上高(9月分)や新規失業保険申請件数(先週分)、フィラデルフィア連銀製造業景気指数(10月分)が発表されます(いずれも日本時間21:30)。
市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・小売売上高:前月比0.3%(0.1%)
・小売売上高(自動車を除く):前月比0.1%(0.1%)
・新規失業保険申請件数:26.0万件(25.8万件)
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数:3.0(1.7)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回11月6-7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うとの見方が大勢。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む11月FOMCの確率は、0.25%の利下げが91.4%、据え置きが8.6%です(日本時間08:13時点)。
小売売上高などがおおむね強い結果になれば、市場では利下げ観測が後退する可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方で英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。
***
TCMB(トルコ中銀)が政策会合を本日開きます。会合の結果は日本時間20時に発表され、この結果にトルコリラが反応する可能性があります。
TCMBは3月に利上げを実施した後、前回9月の会合まで6回連続で政策金利を50.00%に据え置きました。
TCMBのこれまでの積極的な利上げの影響もあり、トルコのインフレ率は鈍化しています。24年5月に前年比75.45%に達したCPI(消費者物価指数)上昇率は9月には49.38%へと鈍化し、TCMBの政策金利を下回りました。
市場では、本日の会合で政策金利は据え置かれると予想されています。
その通りの結果になれば、TCMBの声明に注目。声明では、インフレ率の鈍化が続くなかでTCMBの金融引き締めスタンスが弱まるのかどうかが焦点になりそうです。前回9月会合時の声明では、「インフレリスクに引き続き細心の注意を払う」、「毎月のインフレ(率)の基調的なトレンドが大幅かつ持続的に低下し、インフレ期待が予測範囲に収束するまで、金融引き締めスタンスを維持する」、「インフレの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合には金融政策手段を効果的に使用する」とされました。
市場では、TCMBは早ければ12月に利下げを行うとの観測があります。TCMBの声明が市場の利下げ観測を後退させる内容になれば、トルコリラにとってプラスになりそうです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。