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ECB理事会プレビュー:0.25%利下げへ⁉ 先行きの金融政策にどんなヒントが?

2024/10/16 07:13

【ポイント】
・ECBは17日の理事会で0.25%利下げを決定しそう
・声明文や総裁会見などで先行きの金融政策にどう言及するか
・市場は12月~25年9月の7回の会合で0.25%×5回分の利下げを織り込み

17日のECB理事会では0.25%の利下げがほぼ確実視されています。

ラガルド総裁は9月13日の会見で、10月の利下げの可能性に言及しつつも、「包括的な情報が入手できるのは12月会合だ」と述べ、10月据え置きを示唆。しかし、同総裁は9月30日に欧州議会で、「インフレ率が速やかに目標に回帰するとの自信を強めている。10月の会合でそれを考慮に入れる」と述べ、利下げへと舵を切りつつあることを示唆しました。

また、ビルロワドガロー・フランス中銀総裁は9日、「(10月の)利下げの可能性は極めて高い」と発言。8日にはECB内のタカ派の筆頭ともいえるナーゲル・ドイツ連銀総裁が「(6月と9月に続く)さらなる利下げの検討に前向きだ」と述べました。

ユーロ圏の9月CPI(速報値)は前年比1.8%と、コロナショック後の21年6月以来初めてECBが目標とする2%を下回りました。エネルギー・食品・アルコール飲料・タバコ製品を除くCPIコアは同2.7%とやや高めでしたが、ECBはFRBほどCPIコアを重視しない傾向があります。

ユーロ圏CPI

ユーロ圏PMIは24年に入って回復基調でしたが、ここ数カ月は軟化しています。製造業PMIとサービス業PMIを合成した総合指数は9月に48.9と7カ月ぶりに50を下回っており、そうした状況が続くなら景気の失速が懸念されます。

ユーロ圏PMI


重要なのは、12月の金融政策に関してどんなヒントが出されるか。声明文や総裁会見などのフォワードガイダンスに注目でしょう。15日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、17日の理事会での0.25%利下げを市場は97%の確率で織り込んでいます。同様に12月理事会での0.25%利下げは95%。また、今年12月から25年9月まで7回の会合で0.25%×5回分の利下げがほぼ100%織り込まれています。

ユーロ OIS

ECBから「インフレ目標の達成に一段と自信を深めたので、以前の想定より早期に政策金利を中立水準に誘導できる」などのメッセージが出てくれば、利下げ観測が一段と強まりユーロには下押し圧力が加わりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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