豪ドルやNZドルは軟調に推移するか
2024/10/14 09:03
【ポイント】
・中国財政相の会見では景気刺激策の規模は示されず、市場は失望する可能性あり
・ウォラー理事の講演で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
11日、欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は149.237円、ユーロ/円は163.350円、豪ドル/円は100.717円、NZドル/円は91.167円へと上昇しました。欧米の主要な株価指数が堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが、円の重石となりました。米株式市場ではダウが前日比409.74ドル高(0.97%)の42,863.86ドル、S&P500が34.98ポイント高(0.61%)の5,815.03で取引を終了。いずれも史上最高値をつけました。
※本日14日の『ファンダメ・ポイント』は[【株価指数】主要株価指数は引き続き好調、NYダウやS&P500は高値を更新]です。
カナダの9月雇用統計は、失業率が6.5%、雇用者数が前月比4.67%増と、市場予想(6.7%と2.70万人増)よりも強い結果でした。雇用統計の結果を受けてカナダドルが買われて、米ドル/カナダドルは1.37231カナダドルへと下落し、カナダドル/円は108.543円へと上昇する場面がありました。
その後、BOC(カナダ中銀)が公表した四半期調査の結果を受けてカナダドルは反落。米ドル/カナダドルは下げ幅を、カナダドル/円は上げ幅を縮小しました。BOCの四半期調査では、今後2年間でインフレ率が3%(BOCの目標上限)を上回ると予想した国内企業が前回調査の41%から15%へと減少したなどとされました。
(本日の相場見通し)
中国の藍仏安財政相は12日に記者会見し、景気を下支えするため新たな景気刺激策を発表。国債の発行を大幅に増やして、これによって確保した資金を「国有銀行への資本注入(それによって銀行の健全性を高める)」、「不動産市場への支援」、「低所得者への補助金支給」などに充てるとしました。
ただ、藍仏安財政相の会見で新たな景気刺激策の規模は示されませんでした。事前に市場では大規模な(2~3兆元?)景気刺激策が打ち出されるのでは?との期待があったため、失望感が市場に広がる可能性があります。その場合、豪州やNZは中国を最大の輸出先とすることもあり、豪ドルやNZドルに対して下押し圧力が加わるかもしれません。
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本日、FRB(米連邦準備制度理事会理事)のウォラー理事が経済見通しについて講演します。
ウォラー理事は9月20日に「今後2回の会合でそれぞれ0.25%利下げすることが想定できる」との認識を示しつつ、「労働市場が悪化しインフレのデータが急速に軟化すれば、より速いペースで行動する可能性がある」、「インフレのデータが反転すれば、利下げを一時休止することもあり得る」などと述べました。
ウォラー理事の講演では、FRBの金融政策の先行きについて新たなヒントが示されるかどうかに注目です。
市場では、FRBは次回11月6日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うとの見方が有力です。CMEのFedWatchツールによると、11日時点で市場が織り込む11月FOMCの確率は、0.25%の利下げが89.5%、据え置きが10.5%です。
ウォラー理事の講演で利下げ観測が市場で強まる場合、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上値を試す展開になりそうです。
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本日は日本・米国・カナダが祝日のため、外為市場では参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きなどが出てきた場合には値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。なお、米株式市場は通常通り取引されます(米債券市場は休場)。
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