米経済情勢、PCEが示唆すること
2024/10/01 08:31
【ポイント】
・PCEデフレーターは2%に接近もペースはやや遅く
・金融政策をみるうえで、所得や消費のデータも重要に
・7-9月期GDPは堅調が見込まれる
9月27日に発表された米国の8月PCE(個人消費支出)デフレーターは、総合が前年比2.2%と前月(2.5%)から減速する一方で、食料とエネルギーを除くコアは同2.7%と前月(2.6%)から小幅に加速しました。

米国のインフレ率はFRBの目標である2%に順調に接近しているようですが、PCEコアでみればその改善がやや鈍っているようにも見えます。FRBが注視しているPCEコアサービス(住居費を除く)は8月に前年比3.3%と高め。過去3カ月は同様の伸びが続きました。

パウエルFRB議長は30日にNABE(全米企業エコノミスト協会)の年次会合で講演。議長は今年残り2回のFOMCでそれぞれ利下げする可能性に言及しつつも、「FOMCは利下げを急がない」、政策金利を「時間をかけて」中立水準に誘導するなどとややタカ派的な発言をしました。インフレ率の一段の鈍化を見極めたいのかもしれません。
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市場はFRBが重視するインフレ指標であるPCEデフレーターに注目してきました。ただ、PCEデフレーターは個人(家計部門)の所得や消費に関する広範なデータのごく一部です(下表)。FRBが物価重視から、物価と景気の両にらみ、あるいは景気重視へとシフトするなかで、デフレーター以外の所得や消費に関するデータにも注目すべきでしょう。

8月の個人所得は前月比0.2%と前月(0.3%)から伸びが鈍化しました。雇用に関連する労働報酬は0.5%と堅調に増加しましたが、事業所得や資産所得がマイナスになったことが大きかったようです。
8月の個人消費は前月比0.2%と前月(0.5%)から伸びが鈍化。インフレ分を除いた実質ベースでは前月比0.1%と前月(0.4%)から鈍化しました(※)。
※名目の個人消費から実質の個人消費を算出するのに用いられるのがPCEデフレーターです。月次の実質個人消費3カ月分でGDPの個人消費となります。
もっとも、足もとの実質個人消費は比較的堅調です。9月が8月から横ばいとしても、7-9月期の個人消費は前期比年率2.9%になる計算で、4-6月期(2.8%)と遜色ありません。個人消費は同期のGDPを2%程度押し上げる(=寄与度)計算です。
・PCEデフレーターは2%に接近もペースはやや遅く
・金融政策をみるうえで、所得や消費のデータも重要に
・7-9月期GDPは堅調が見込まれる
9月27日に発表された米国の8月PCE(個人消費支出)デフレーターは、総合が前年比2.2%と前月(2.5%)から減速する一方で、食料とエネルギーを除くコアは同2.7%と前月(2.6%)から小幅に加速しました。

米国のインフレ率はFRBの目標である2%に順調に接近しているようですが、PCEコアでみればその改善がやや鈍っているようにも見えます。FRBが注視しているPCEコアサービス(住居費を除く)は8月に前年比3.3%と高め。過去3カ月は同様の伸びが続きました。

パウエルFRB議長は30日にNABE(全米企業エコノミスト協会)の年次会合で講演。議長は今年残り2回のFOMCでそれぞれ利下げする可能性に言及しつつも、「FOMCは利下げを急がない」、政策金利を「時間をかけて」中立水準に誘導するなどとややタカ派的な発言をしました。インフレ率の一段の鈍化を見極めたいのかもしれません。
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市場はFRBが重視するインフレ指標であるPCEデフレーターに注目してきました。ただ、PCEデフレーターは個人(家計部門)の所得や消費に関する広範なデータのごく一部です(下表)。FRBが物価重視から、物価と景気の両にらみ、あるいは景気重視へとシフトするなかで、デフレーター以外の所得や消費に関するデータにも注目すべきでしょう。

8月の個人所得は前月比0.2%と前月(0.3%)から伸びが鈍化しました。雇用に関連する労働報酬は0.5%と堅調に増加しましたが、事業所得や資産所得がマイナスになったことが大きかったようです。
8月の個人消費は前月比0.2%と前月(0.5%)から伸びが鈍化。インフレ分を除いた実質ベースでは前月比0.1%と前月(0.4%)から鈍化しました(※)。
※名目の個人消費から実質の個人消費を算出するのに用いられるのがPCEデフレーターです。月次の実質個人消費3カ月分でGDPの個人消費となります。
もっとも、足もとの実質個人消費は比較的堅調です。9月が8月から横ばいとしても、7-9月期の個人消費は前期比年率2.9%になる計算で、4-6月期(2.8%)と遜色ありません。個人消費は同期のGDPを2%程度押し上げる(=寄与度)計算です。

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