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ゴールド最高値更新、原油はリバウンド継続 FOMC後に荒い値動きも

2024/09/20 10:59

<金は上昇基調維持、FRB議長会見後に一時軟化も>
今週(9/16─)の米ドル建て金先物は荒い値動きとなりました。18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.50%の大幅利下げが決定された後、一時2,627ドルを付けて取引時間中の過去最高値を更新。パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の会見を受けて、今後の利下げペースは緩やかになるとの見方が浮上したことで、米金利が一時上昇し、金も最高値圏から反落しましたが、金利低下期待も根強く足元は再び上昇に転じています。

米ドル建て金先物価格の1週間予想レンジ:2,500─2,650ドル
円建て金先物価格の1週間予想レンジ:11,300─12,300円

*FOMC後、金は米金利に連動
FOMC後の金先物相場は、米金利に連動する形で上下しました。米金利は、FOMCの結果発表直後に低下したものの徐々に反転上昇。金利の付かない金にとっては、逆風と言わないまでも追い風が止まったことで、一時は最高値圏から反落しました。

米金利上昇の要因の1つは利益確定売りです。大幅利下げを見越して米国債を買っていた向きが、いったん売った可能性があるとみられています。米金利はFOMCに向けて低下していたことから、短期筋がいったんポジションを手仕舞ったのかもしれません。

パウエルFRB議長の会見が、利益確定売りが強まるきっかけになりました。同議長は、米景気について「良い状態」と楽観的な認識を示し、今回の利下げ幅について「これが新たなペースと見るべきではない」と発言。これにより、今後の利下げペースが緩やかになるとの見方が強まり、米債の利益確定売りに拍車をかけたようです。

ただ、19日の海外市場では今回の大幅利下げや今後の利下げ継続期待を素直に好感する動きに戻っており、米金利は低下に転じ金も再び上昇基調を強めています。インフレ再加速に対する懸念が台頭するかなどを注意してみておく必要がありそうですが、米金利が低下傾向を続けるなら、金には追い風が吹く展開になりそうです。

*米ドル建て金先物の日足(期間:2023/11/29~2024/9/19)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線
米ドル建て金先物の日足チャート
(出所:TradingView)


<原油は70ドルの大台回復>
今週のWTI原油先物価格はリバウンドが継続しました。前週10日に付けた1年4カ月ぶりの安値65ドルから反転上昇し70ドルの大台を回復。中国の景気減速に対する懸念が強く、原油の需要減退や供給過剰懸念が依然として重石ですが、強まる地政学リスクやFRBの利下げ期待などが上昇要因となっています。

WTI原油先物価格の1週間予想レンジ:1バレル67─74ドル

*高まる地政学リスク
レバノンで17日、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの戦闘員らが利用しているポケットベルのような通信機器の爆発が相次ぎ多数の死傷者が出たと伝えられています。18日にも同じような爆発があり、ヒズボラは対立するイスラエルによる攻撃だとみているようです。

一方、これらは、ヒズボラを支援するイランやその代理勢力への警告メッセージとの見方もあり、報復攻撃の応酬合戦や多面的な紛争拡大に発展していくのか緊張感が高まっています。

そのイランでは、改革派のペゼシュキアン大統領が7月に就任しました。保守強硬派のライシ前政権と異なり、米欧との距離を縮めて核合意の再建を目指す意向を示していますが、地政学リスクが足元で高まっている中では、米欧による制裁解除へのハードルは高いかもしれません。

米エネルギー情報局(EIA)が18日に発表した13日時点の週間石油在庫統計で、原油在庫は前週比163万バレルの減少。2週ぶりの減少となりました。ガソリン在庫は6.94万バレル、留出油も12.5万バレルと、ともに小幅な増加になりましたが、全体的には需給悪化懸念がやや和らぎました。

*WTI原油先物の日足(期間:2023/11/28~2024/9/19)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線
WTI原油先物の日足チャート
(出所:TradingView)


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伊賀大記(イガダイキ)

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