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メキシコペソ:メキシコ議会の動向に注意

2024/09/03 09:04

【ポイント】
ISM製造業景況指数でFRBの利下げ観測が変化するか
・メキシコ議会下院が司法制度改革案の審議に入るとの報道

(欧米市場レビュー)

2日、欧米時間の外為市場では、が軟調に推移。一時、米ドル/円は147.141円、ユーロ/円は162.834円、豪ドル/円は99.797円へと上昇しました。ドイツやフランスの主要な株価指数や夜間取引で日経平均先物が堅調に推移するなかでリスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが、円の重石となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の8月ISM製造業景況指数が発表されます(日本時間23:00)。この結果に市場が反応しそうです。

ISM製造業景況指数の市場予想は47.5と、7月の46.8から改善するものの、業況判断の分かれ目である50を引き続き下回るとみられています。

CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む9月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げの確率は、0.25%幅が70%程度、0.50%幅が30%程度です。ISM製造業景況指数が市場予想を下回る結果になれば、0.50%幅の利下げ観測が強まるとともに、米ドルが軟調に推移しそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上昇すると考えられます。米ドル/カナダドルは、1.34351カナダドル(8/28安値)が目先の下値メドです。

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BOE(英中銀)は8月1日の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を5.25%から5.00%へと引き下げました。

市場では、BOEは11月の会合で追加利下げを行うとの観測があります(次回9月19日の会合については、政策金利は据え置かれるとの見方が有力)。

本日、ブリーデンBOE(英中銀)副総裁(金融安定担当)の発言機会があります。ブリーデン副総裁がBOEの追加利下げの時期についてのヒントを示せば、英ポンドが反応しそうです。

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メキシコのロペスオブラドール大統領は2月に18項目の憲法改正案を提案しました。その中に司法制度改革が含まれており、市場は“司法制度改革が実現すれば、司法の独立性が脅かされるのでは?”と懸念しています。

メキシコの議会下院が司法制度改革案の審議を3日に始めるとの報道があります。与党連合は下院において憲法の改正に必要な3分の2以上の議席を確保しているため、司法制度改革案は下院で可決される可能性が高そうです。下院で可決されれば、上院に送付されます。与党連合は上院では3分の2の議席に1議席足りません。

司法制度改革をめぐる懸念が足もとのメキシコペソ軟調の主な要因となっています。司法制度改革案が成立に向けて前進する場合、メキシコペソは下押しする可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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