南アフリカ中銀会合では2人が利下げ支持、インフレ見通し下方修正
2024/07/19 09:25
【ポイント】
・カナダ小売売上高でBOCの追加利下げ観測が強まるか
・SARBは9月に利下げする可能性も
(欧米市場レビュー)
18日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は157.363円、米ドル/カナダドルは1.37139カナダドルへと上昇し、英ポンド/米ドルは1.29411ドル、豪ドル/米ドルは0.66960米ドルへと下落しました。米国の7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や6月景気先行指標総合指数が市場予想に比べて強い結果だったことや、米長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。フィラデルフィア連銀製造業景気指数の結果は13.9(市場予想2.9)、景気先行指標総合指数の結果は前月比マイナス0.2%(同マイナス0.3%)でした。
ECB(欧州中銀)は理事会を開き、金融政策の現状維持を決定。中銀預金金利を3.75%に据え置きました(定例買いオペの最低応札金利も4.25%に据え置き)。
ECBは声明で「2%の物価目標を達成するために、必要なだけ長く十分に抑制的な政策金利を維持する」と改めて表明。ラガルドECB総裁は会見で、次回9月の理事会でどうするかは「何も決まっていない」と述べました。
※ECB理事会の結果については、本日19日の『ファンダメ・ポイント』[ECB理事会:9月は未定、年内利下げは1回のみ??]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
SARB(南アフリカ中銀)は政策金利を8.25%に据え置くことを決定しました(詳細は後述)。
(本日の相場見通し)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月に利下げを行うとの見方が大勢。9月を含めて24年末までに3回利下げが行われるとの観測があります。
CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込むFRBが利下げする確率は、次回7月30-31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で5%程度、9月17-18日までで98%程度です。また、9月を含めて24年末までに3回利下げが行われる確率は50%強織り込まれています。
本日は、ウィリアムズNY連銀総裁やボスティック・アトランタ連銀総裁の発言機会があります。ウィリアムズ総裁らの発言によって市場の利下げ観測が一段と強まれば米ドルが軟調に推移して、米ドル/円は下落し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上昇しそうです。
カナダの5月小売売上高が本日発表されます(日本時間21:30)。カナダドルはその結果に反応する可能性があります。
BOC(カナダ中銀)は前回6月5日の政策会合で0.25%の利下げを実施しました。市場では、次回7月24日の会合で追加利下げが行われるとの観測があります。
小売売上高の市場予想は前月比マイナス0.6%、自動車を除いた売上高は同マイナス0.5%です。市場予想と比べて弱い結果になれば、次回会合での追加利下げ観測が強まる可能性があり、その場合にはカナダドル安材料になりそうです。
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SARB(南アフリカ中銀)は政策金利を8.25%に据え置くことを決定しました。政策金利の据え置きは7会合連続です。
SARBの声明やクガニャゴ総裁の会見では、「インフレ見通しは改善しているものの、リスクバランスは上振れ傾向にある」、「サービスインフレは目標中間値(4.5%)を引き続き不快なほど上回っている」などの認識が示されました。
もっとも、今回の会合では利下げを支持するメンバーもいて(※1)、インフレ見通しは下方修正されました(※2)。SARBの金融政策スタンスはハト派方向へとシフトしつつあるようです。
(※1)会合では6人の政策メンバーのうち2人が0.25%利下げすることを支持しました。政策金利の据え置きが全員一致にならなかったのは、23年9月以来です(この時は2人が0.25%利上げすることを支持)。声明によると、会合ではインフレ率(CPI上昇率)を4.5%(SARBの目標中間値)に安定させるためには、景気抑制的な政策が引き続き適切だとの認識で政策メンバーは合意しました。ただし、一部のメンバーは抑制の度合いを緩和できるほどインフレ見通しは改善したとの見解を示しました。
(※2)SARBのインフレ見通しは以下の通り。( )は5月時点の見通しです。
<総合CPI上昇率>
・24年:4.9%(5.1%)
・25年:4.4%(4.5%)
<コアCPI上昇率>
・24年:4.6%(4.7%)
・25年:4.4%(4.6%)
南アフリカの5月のCPIは前年比5.2%と、上昇率は4月と同じとなり、SARBの目標中間値である4.5%を引き続き上回りました。SARBの次回会合(9/19)までにCPIは3回発表されます(6月分が7/24、7月分が8/21、8月分が9/18)。CPI上昇率の鈍化が続く場合、SARBは次回会合で利下げに踏み切るかもしれません。
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