マネースクエア マーケット情報

パウエルFRB議長の議会証言:利下げににじり寄る!?

2024/07/10 07:41

【ポイント】
・パウエル議長は利下げにはさらなる確信が必要と発言
・ただし、労働市場軟化への懸念も表明
・目先的には11日発表の6月CPIも材料に

パウエルFRB議長の議会証言はややハト派的でした。ただ、一部で利下げに前向きな発言を期待していたためか、議会証言を受けて長期金利(10年物国債利回り)はいったん上昇した後に、証言前の水準に戻りました。一方、米ドル/円は上昇後に反落しましたが、証言前の水準を上回って推移しました。

米長期金利

OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む9月利下げの確率はやや低下。一方で、年内の追加利下げの確率は小幅上昇して85%に。さらに、25年1月までの3回目の利下げの確率は56%と、やや上昇しました。

目先的には、11日発表の6月CPIがインフレのさらなる鈍化を示すかどうかに要注目でしょう。なお、パウエル議長は10日に下院金融サービス委員会でも証言する予定です。


*******
パウエル議長は9日、上院銀行委員会で金融政策について証言。利下げを決定するためには「(インフレが2%に向かっているという)さらなる確信が必要」との立場を改めて強調しました。ただし、パウエル議長は、FRBの2つの目標である「物価の安定」と「雇用の最大化」についてリスクは均衡しつつあると指摘。これまで以上に労働市場に目配りすることを示唆しました。

FOMCの現在のスタンスは以下の部分に表れているように思われます。
「今年第1四半期(1-3月)に入手したデータは、一層の確信をサポートするものではなかった。しかしながら、最近のインフレ関連指標は(目標に向けての)一段の前進を示した。さらなる良いデータが、インフレが持続的に2%に向かっているとの我々の自信を強化することになるだろう」

労働市場については、多くの指標がコロナ以前に戻っていることを示しており、「強いが、過熱してはいない」と指摘。その根拠として、雇用の増加は25-54歳の労働参加率の上昇と移民の力強い増加を伴っていると説明しました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ