米FRB議長の議会証言に注目! メキシコペソはCPIに反応か
2024/07/09 08:59
【ポイント】
・議会証言でFRBの政策スタンスの変化が示唆されるか
・CPIでメキシコ中銀の利下げ観測が後退するか
(欧米市場レビュー)
8日、欧米時間の外為市場では、英ポンドが強含み。英ポンド/円は一時206.599円へと上昇し、08年8月以来およそ16年ぶりの高値を記録。英ポンド/米ドルは1.28402ドルへと上昇し、ユーロ/英ポンドは0.84385ポンドへと下落する場面がありました。ハスケルBOE(英中銀)政策委員が「基調的なインフレ圧力が持続的に低下しているという確実性が高まるまで、政策金利を据え置くことが望ましい」と述べたことが、英ポンドの支援材料となりました。
7日に行われたフランス議会選挙の決選投票の結果を受けて東京時間に下落したユーロは、欧州時間に入ると反発しました。
※フランス議会選挙について詳しくは、本日9日の『ファンダメ・ポイント』[フランス議会選挙の総括:高まる政治不安]をご覧ください。
※ユーロ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/円、91年2月以来の高値を示現!足もと注目ポイントは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
(本日の相場見通し)
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が米上院銀行委員会で証言します(日本時間23:00)。議会証言におけるパウエル議長の発言に市場が反応しそうです。
FRBは「インフレが持続的に2%に向かっていると一層の確信を得るまでは、政策金利の引き下げが適切になるとは予想していない」とのスタンスです。パウエル議長は2日のECB(欧州中銀)フォーラムで「最近の米国の経済指標は、ディスインフレの軌道に戻りつつあることを示唆している」としつつも、「利下げを行う前に、インフレ率が2%に向かって持続的に鈍化するとの一層の確信を持ちたい」と述べました。
米国の6月ISM非製造業景況指数(7/3発表)や雇用統計(7/5発表)は軟調な結果でした。ISM非製造業景況指数は48.8と、5月の53.8から低下し、20年5月以来4年1カ月ぶりの低水準を記録。雇用統計で失業率は4.1%と、5月の4.0%から上昇(悪化)し、21年11月以来の高い水準となりました。
米経済指標の軟調な結果が続くなかで、パウエル議長の議会証言ではFRBの金融政策スタンスに変化がみられるかどうかに注目です。政策スタンスに変化がなければ、FRBの利下げ観測が市場で後退するとともに、米ドルが堅調に推移しそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上昇し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下落すると考えられます。
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メキシコの6月CPI(消費者物価指数)が発表されます(日本時間21:00)。CPIの動向はBOM(メキシコ中銀)の金融政策に大きな影響を与えるため注目です。
BOMは3月に利下げを実施した後、5月・6月と2会合連続で政策金利を据え置きました。前回6月会合時の声明では「ディスインフレのプロセスは続く」との見方が示され、「インフレをめぐる環境により、政策金利の調整(=追加利下げ)について議論できる可能性がある」とされました。市場では、次回8月8日の会合で追加利下げが行われるとの観測もあります。
CPIの市場予想は、総合指数が前年比4.84%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同4.15%です。上昇率はいずれも、BOMのインフレ目標である3%(2~4%が許容レンジ)を引き続き上回るとみられています。CPIが市場予想を上回る結果になれば、BOMの利下げ観測が市場で後退する可能性があり、その場合にはメキシコペソが堅調に推移しそうです。
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