米景気に変調!? 雇用は大丈夫か
2024/07/05 07:35
【ポイント】
・労働市場が軟化しつつある兆候あり
・雇用が増えなければ景気に急ブレーキも
・FOMCは労働市場のモニターを強化か
米FRBが景気に対して楽観的だった最大の理由は雇用が堅調だったことでしょう。ただ、足もとで景気に減速感が出ており、労働市場に関して懸念も垣間見えてきました。
デーリーSF(サンフランシスコ)連銀総裁は6月24日の講演で、「今後、労働市場が減速すれば、失業率が目立って上昇する局面に近づいてくるかもしれない」と述べて、警戒感を表しました。
6月11-12日のFOMCでも、労働市場の需給緩和の証左として、求人数の減少や求人倍率の低下、(有利な条件を求める)離職率の低下、経済的理由によるパートタイマ―の増加、失業率の緩やかな上昇などが指摘されました。そして、「物価」と「雇用」というFRBの2つの目標に関するリスクが均衡しつつあるなかで、「労働市場を注意深く監視する必要がある」との見方が示されました。
JOLTS(労働動態調査)によれば、全米の求人件数は22年春をピークに減少傾向にあります。求人倍率(=求人数÷失業者数)は今年5月時点で1.22倍。理論上は、条件が合えば失業者は全員が職を得ることが可能です。求人倍率はコロナ・ショック前のピークが1.24倍だったことを考えても、労働市場は引き続き堅調と言えるでしょう。ただ、誰もが簡単に職を見つけることができる状況ではなくなりつつあるのかもしれません。

失業保険新規申請者件数は、今年1月をボトムに徐々に増加傾向にあります。失業保険継続需給者数は、利上げが(いったん?)停止された昨年7月以降横ばいで推移していましたが、足もとで増加しています。失業期間が長期化しつつあること(≒職探しが難しいこと)を示しているのかもしれません。


7月3日時点で、アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、4-6月期GDPは前期比年率1.5%の予測。6月中旬の予測から大幅に下方シフトしています。これはFOMCが巡航速度と考えるペース(1.8%)を下回ります。とりわけ、個人消費が大幅に下方修正されました(GDP寄与度は1.9%から0.8%に低下)。個人消費の源泉である個人所得、それを主に支える雇用は変調をきたしつつあるのか。本日5日発表の6月雇用統計も重要な判断材料となりそうです。
・労働市場が軟化しつつある兆候あり
・雇用が増えなければ景気に急ブレーキも
・FOMCは労働市場のモニターを強化か
米FRBが景気に対して楽観的だった最大の理由は雇用が堅調だったことでしょう。ただ、足もとで景気に減速感が出ており、労働市場に関して懸念も垣間見えてきました。
デーリーSF(サンフランシスコ)連銀総裁は6月24日の講演で、「今後、労働市場が減速すれば、失業率が目立って上昇する局面に近づいてくるかもしれない」と述べて、警戒感を表しました。
6月11-12日のFOMCでも、労働市場の需給緩和の証左として、求人数の減少や求人倍率の低下、(有利な条件を求める)離職率の低下、経済的理由によるパートタイマ―の増加、失業率の緩やかな上昇などが指摘されました。そして、「物価」と「雇用」というFRBの2つの目標に関するリスクが均衡しつつあるなかで、「労働市場を注意深く監視する必要がある」との見方が示されました。
JOLTS(労働動態調査)によれば、全米の求人件数は22年春をピークに減少傾向にあります。求人倍率(=求人数÷失業者数)は今年5月時点で1.22倍。理論上は、条件が合えば失業者は全員が職を得ることが可能です。求人倍率はコロナ・ショック前のピークが1.24倍だったことを考えても、労働市場は引き続き堅調と言えるでしょう。ただ、誰もが簡単に職を見つけることができる状況ではなくなりつつあるのかもしれません。

失業保険新規申請者件数は、今年1月をボトムに徐々に増加傾向にあります。失業保険継続需給者数は、利上げが(いったん?)停止された昨年7月以降横ばいで推移していましたが、足もとで増加しています。失業期間が長期化しつつあること(≒職探しが難しいこと)を示しているのかもしれません。


7月3日時点で、アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、4-6月期GDPは前期比年率1.5%の予測。6月中旬の予測から大幅に下方シフトしています。これはFOMCが巡航速度と考えるペース(1.8%)を下回ります。とりわけ、個人消費が大幅に下方修正されました(GDP寄与度は1.9%から0.8%に低下)。個人消費の源泉である個人所得、それを主に支える雇用は変調をきたしつつあるのか。本日5日発表の6月雇用統計も重要な判断材料となりそうです。

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