円が軟調、対米ドルで約38年ぶり・対ユーロで最高値
2024/07/04 09:15
【ポイント】
・主要国の株価が堅調に推移すれば、円安がさらに進む可能性も
・本邦当局は為替介入に踏み切るか
・米祝日で流動性が低下、値動きの増幅に注意
(欧米市場レビュー)
3日、欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。ユーロ/円は一時174.499円へと上昇し、1999年にユーロが導入されて以降の最高値を記録。米ドル/円は161.938円、豪ドル/円は108.447円、NZドル/円は98.700円へと一時上昇し、それぞれ86年12月以来、91年5月以来、86年6月以来の高値をつけました。
日銀と他の主要中銀との政策金利差が着目されて円安圧力が加わりやすい地合いのなか、欧州の主要株価指数が堅調に推移したこと(リスクオンの動き)が、さらなる円安圧力となりました。米ドル/円に関しては、米国の経済指標が総じて弱い結果だったことで160.761円へと下落する場面がありましたが、その後反発して161円台後半へと上昇しました(米経済指標の結果については後述)。
米ドルも軟調。一時、米ドル/カナダドルは1.36165カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.08115ドル、英ポンド/米ドルは1.27717ドル、豪ドル/米ドルは0.67289米ドルへと上昇しました。米国の経済指標が総じて弱い結果だったことが、米ドルの重石となりました。ISM非製造業景況指数は業況判断の分かれ目である50を下回り、20年5月以来4年1カ月ぶりの低水準でした。
米経済指標の結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・ISM非製造業景況指数(6月):48.8(52.5)
・ADP雇用統計(6月):前月比15.0万人増(16.0万人増)
・新規失業保険申請件数(先週分):23.8万件(23.5万件)
FOMC議事録が公表されました。政策金利の据え置きを決定した6月11-12日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録です。本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMC議事録:利下げに向けて前進!?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
(本日の相場見通し)
本日は、日本・米国・ユーロ圏の主要な経済指標の発表はなく、主要国の株価動向が材料になりそうです(米国の株式市場と債券市場は独立記念日で休場)。株価が堅調に推移すれば、リスクオン(リスク選好)の動きが強まるとともに、円安圧力が加わる可能性があります。その場合、米ドル/円やユーロ/円などは上値を試す展開になりそうです。
鈴木財務相は2日、「政府の為替に対する考え方は変わらない」と述べ、必要があれば対応するとの姿勢を示しました。「為替相場を注視している」、「市場の動きを注意深く見守っていく」とも述べました。“円安”をけん制するトーンが強まっているようには感じられませんが、対米ドルで円安が進行するなかで本邦当局が為替介入(米ドル売り・円買い介入)に踏み切るか注目です。
本日は米国が祝日のため、外為市場では参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には、値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。
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本日、英国では総選挙(下院。定数650議席)の投開票が行われます。事前の世論調査の支持率は野党・労働党が与党・保守党を大きくリードしており、14年ぶりに政権が交代すると予想されています。投票の締め切り時間は午後10時(日本時間5日午前6時)。投票締め切り後に発表される出口調査の結果などに英ポンドが反応する可能性があります。
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