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米FOMC議事録:利下げに向けて前進!?

2024/07/04 07:42

【ポイント】
・FOMC議事録はハト派的内容
・景気鈍化やインフレ落ち着きの兆候を指摘
・4日は独立記念日、5日雇用統計に要注意!

米FOMC議事録(6/11-12開催)は、ハト派的な内容。景気の鈍化やインフレの落ち着きに向かっているとの判断が示されました。

米ドル/円は、議事録公表前のISM非製造業指数の軟調(後述)を受けて、長期金利(10年物国債利回り)の低下とともに大幅に下落した後に反発。議事録の公表後も強含みました。ただ、当該FOMC以降に発表された経済指標は弱いものが増えており、5日の雇用統計などで利下げ観測が一段と強まれば、米ドル/円に下押し圧力が加わるかもしれません。4日は独立記念日のため、株式・債券は休場。3日も短縮取引のため、議事録公表時に株式・債券の取引は終了していました。

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6月11-12日開催のFOMCでは、「インフレが持続的に2%に向かっていると一層の確信を得るまでは、政策金利の引き下げが適切になるとは予想していない」とのフォワードガイダンス(先行きの政策に関する示唆)が維持されました。また、参加者の政策金利予想を集計した「ドット・プロット」の中央値は年内1回の利下げを示しました。

■6月13日付け「米利下げ観測はCPIで高まり、FOMCでやや後退!?」をご参照ください。

ただ、議事録では、今後の政策は「データ次第」と強調しつつも、景気減速や労働市場軟化の兆候、インフレ圧力の低下などが指摘されており、利下げの開始が接近していると感じさせる部分も散見されました。

具体的には・・・
4月PCE(個人消費支出)コアデフレーターが前月比で小幅の上昇にとどまり、FOMC直前に発表された5月CPIがさらなるインフレ鈍化を示すなど、幅広い物価指標がインフレ状況の改善を示したと指摘。

名目賃金の伸び鈍化や、様々な小売業者が値引きをしていること、企業の価格転嫁力が低下していることなども指摘されました。

労働市場についても、失業率の緩やかな上昇求人倍率の低下、(有利な条件を求めた)転職率の低下など、労働力の需給が緩和していることを指摘。また、雇用と物価という2つの目標に関するリスクが均衡しつつあるなかで、労働市場の状況は注意深く監視する必要があるとの指摘もありました。これはインフレ抑制に注力するだけでなく、雇用(景気)にも配慮すべきだという意味でしょう。

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6月ISM非製造業指数は48.8と、市場予想(52.7)や前月(53.8)を大きく下回り、20年5月以来の低水準。同指数が50を割り込んだのはコロナ・ショック以降では今年4月に続いて3回目です。ISM(全米供給管理協会)によれば、6月の水準が続けば、GDP成長率0.0%と整合的とのこと。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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