米ISM製造業景況指数が材料になりそう
2024/06/03 09:03
【ポイント】
・米ISM製造業景況指数で市場の米金融政策見通しが変化するか
・米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局は介入するか
・南アフリカ総選挙でANCが過半数割れ、連立交渉へ
(欧米市場レビュー)
5月31日、欧米時間の外為市場では、ユーロが堅調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.08769ドル、ユーロ/円は170.686円、ユーロ/英ポンドは0.85354ポンドへと上昇しました。ユーロ圏の5月CPI(消費者物価指数)速報値が市場予想を上回ったことが、ユーロの支援材料となりました。CPIの結果は総合指数が前年比2.6%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたコア指数が同2.9%。市場予想はそれぞれ2.5%と2.7%でした。
米ドルは弱含み。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが米ドルの重石となり、米ドル/円は156.560円、米ドル/カナダドルは1.36191カナダドルへと下落し、英ポンド/米ドルは1.27606ドル、豪ドル/米ドルは0.66674米ドルへと上昇する場面がありました。米ドル/円はその後反発し、157.200円近辺へと戻しました。
(本日の相場見通し)
米国の5月ISM製造業景況指数が本日発表されます(日本時間23:00)。ISM製造業景況指数の市場予想は49.6と、業況判断の分かれ目である50は下回るものの、4月の49.2から改善するとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)の年内利下げは9月の1回だけとの見方が有力です。ISM製造業景況指数が市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が後退するとともに、米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇する可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になりそうです。
※市場のFRBの利下げ観測について詳しくは、1日の『ファンダメ・ポイント』[米PCEは弱め、ユーロ圏CPIは強め]をご覧ください。
米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応に注目です。鈴木財務相は5月31日、為替相場について「急激な変化は好ましくない」、「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが重要」、「行き過ぎた動きには適切に対応するという基本的な考えは何ら変わらない」、「引き続き動向をしっかりと注視し、万全の対応をとっていく」と述べました。
仮に為替介入(米ドル売り・円買い介入)が実施されれば、米ドル/円がいったん大きく下落しそうです。
財務省は5月31日、「4月26日~5月29日の外国為替平衡操作(為替介入)の実施状況」を発表。同期間に総額9兆7,885億円の介入を行ったこと明らかにしました。介入の具体的な実施日や売買した通貨などについては、4-6月期分が発表される8月上旬に判明します。
***
南アフリカの選挙管理委員会は2日、5月29日に実施された総選挙(定数400議席)の開票結果を発表。ANC(アフリカ民族会議)は159議席を獲得しました(得票率40.18%)。ANCは引き続き第1党となったものの、前回19年選挙の得票率57.5%・230議席から大幅に減らし、1994年に民主化されてから初めて過半数を割り込みました。
今後、連立政権の樹立に向けてANCと他の政党との交渉が行われる見通しです。連立交渉が難航するなどして同国政治の先行き不透明感が強まる場合、南アフリカランドには下押し圧力が加わる可能性があります。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。