ゴールドが反発、原油は荒い動き 米金利上昇や中東情勢など材料交錯
2024/05/31 12:53
<金は反発、米金利上昇で上値に重さも>
今週(5/27─)の米ドル建て金先物は反発。2,300ドル台後半まで値を戻しています。中東情勢の緊迫化などから、安全資産とされる金に買いが強まりました。ただ、米金利も上昇しており、強弱材料が交錯する中、上値がやや重い展開となっています。
米ドル建て金先物価格の1週間予想レンジ:2,250─2,450ドル
円建て金先物価格の1週間予想レンジ:11,150─12,500円
*投機ポジションの変動で金価格も上下か
米商品先物取引委員会(CFTC)が24日に発表した5月21日終了週の非商業(投機)部門の金先物のポジションは、ネットで前週比2万5310枚増の22万9806枚のロング(買い越し)となりました。1枚あたり100トロイオンスなので、1トロイオンス=31.1035グラムで714.777トンとなります。
2週連続の増加となり、2022年4月19日終了週の23万9757枚(ロング)以来の高水準です。金先物価格は前週の22日、23日と大きく下落しましたが、高水準だった投機筋ポジションが一部巻き戻されたとの見方が出ています。今週に入り金先物価格はリバウンドしているものの、投機筋のポジションの推移を今後出てくるデータでチェックする必要がありそうです。

金価格はリバウンドしたとはいえ、米金利が上昇する中で、上値が重くなっています。今週は米国債入札の低調や、米連邦準備理事会(FRB)が29日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は4月初旬から5月中旬にかけて拡大を続けたとの認識を示したことなどが米金利上昇の材料となりました。
FRB高官からも利下げ転換に慎重な発言も続いています。米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は28日、FRBは利下げする前にインフレが著しく改善するのを待つべきとの考えを示しました。
長期的には、金は金利上昇に影響されない強いトレンドを維持していますが、短期的には金利動向や投機筋の動きなどに影響されるため、注意が必要です。
*米ドル建て金先物の日足(期間:2023/10/3~2024/5/30)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
<原油は上値重い、中東情勢緊張と景気鈍化懸念>
今週のWTI原油先物価格は上値の重い展開となりました。中東情勢が再び緊張してきたことで一時1バレル80ドルを超えましたが、景気鈍化による原油需要の鈍化も意識され週後半は売りが優勢となり70ドル台後半に戻しています。米在庫の動きもまちまちで、方向感にやや乏しい動きとなっています。
WTI原油先物価格の1週間予想レンジ:1バレル75─80ドル
*中東情勢は再び緊迫化、OPEC減産継続観測も
イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ最南部ラファに侵攻を続けており、28日にはイスラエル軍の戦車数台がラファ中心部に到達したと伝えられています。またラファのエジプト境界付近で27日、イスラエル軍とエジプト軍による銃撃戦があり、エジプト軍によると1人が死亡したとの一部報道もありました。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が6月2日に会合を開催します。燃料需要低迷で世界の原油在庫が4月まで増加したことを受け、市場では減産継続を決定するとの見方が多くなっています。
OPECが今月公表した暫定統計によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国の3月の原油在庫は27億9,000万バレルと、OPECプラスによる減産にもかかわらず、前月比2,000万バレル、前年同月比3,400万バレルそれぞれ増加しました。減産継続が決まれば市場予想通りではあるものの、一定の価格下支え効果は期待できるかもしれません。
米エネルギー情報局(EIA)が30日に発表した24日時点の週間石油在庫統計で、原油在庫は前週比415.6万バレル減少。市場予想以上の減少となりましたが、ガソリンや留出油の在庫は増加。レジャーシーズンを控えての需給タイト化期待は根強いですが、在庫の動きはまちまちとなっています。
*WTI原油先物の日足(期間:2023/10/5~2024/5/30)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
◆本レポートは、執筆者が信頼に値すると判断した情報に基づいて作成されたものです。あくまで情報提供が目的であり、投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。
◆本レポート内の予想やその他の見解は、出所を明記しているものを除き、執筆者個人のものであり、当社のものではありません。したがって、その内容等について当社は責任を負いかねます。また、当社はこれに関するお問い合わせにはお応えいたしかねますのでご了承ください。
◆相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
◆本レポートの内容は予告なく変更される場合があります。
◆本サイトに掲載された内容の著作権は、当社または執筆者(またはその提供元)に帰属します。したがって、無断で使用、複製、改変することを禁じます。
今週(5/27─)の米ドル建て金先物は反発。2,300ドル台後半まで値を戻しています。中東情勢の緊迫化などから、安全資産とされる金に買いが強まりました。ただ、米金利も上昇しており、強弱材料が交錯する中、上値がやや重い展開となっています。
米ドル建て金先物価格の1週間予想レンジ:2,250─2,450ドル
円建て金先物価格の1週間予想レンジ:11,150─12,500円
*投機ポジションの変動で金価格も上下か
米商品先物取引委員会(CFTC)が24日に発表した5月21日終了週の非商業(投機)部門の金先物のポジションは、ネットで前週比2万5310枚増の22万9806枚のロング(買い越し)となりました。1枚あたり100トロイオンスなので、1トロイオンス=31.1035グラムで714.777トンとなります。
2週連続の増加となり、2022年4月19日終了週の23万9757枚(ロング)以来の高水準です。金先物価格は前週の22日、23日と大きく下落しましたが、高水準だった投機筋ポジションが一部巻き戻されたとの見方が出ています。今週に入り金先物価格はリバウンドしているものの、投機筋のポジションの推移を今後出てくるデータでチェックする必要がありそうです。

金価格はリバウンドしたとはいえ、米金利が上昇する中で、上値が重くなっています。今週は米国債入札の低調や、米連邦準備理事会(FRB)が29日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は4月初旬から5月中旬にかけて拡大を続けたとの認識を示したことなどが米金利上昇の材料となりました。
FRB高官からも利下げ転換に慎重な発言も続いています。米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は28日、FRBは利下げする前にインフレが著しく改善するのを待つべきとの考えを示しました。
長期的には、金は金利上昇に影響されない強いトレンドを維持していますが、短期的には金利動向や投機筋の動きなどに影響されるため、注意が必要です。
*米ドル建て金先物の日足(期間:2023/10/3~2024/5/30)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
<原油は上値重い、中東情勢緊張と景気鈍化懸念>
今週のWTI原油先物価格は上値の重い展開となりました。中東情勢が再び緊張してきたことで一時1バレル80ドルを超えましたが、景気鈍化による原油需要の鈍化も意識され週後半は売りが優勢となり70ドル台後半に戻しています。米在庫の動きもまちまちで、方向感にやや乏しい動きとなっています。
WTI原油先物価格の1週間予想レンジ:1バレル75─80ドル
*中東情勢は再び緊迫化、OPEC減産継続観測も
イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ最南部ラファに侵攻を続けており、28日にはイスラエル軍の戦車数台がラファ中心部に到達したと伝えられています。またラファのエジプト境界付近で27日、イスラエル軍とエジプト軍による銃撃戦があり、エジプト軍によると1人が死亡したとの一部報道もありました。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が6月2日に会合を開催します。燃料需要低迷で世界の原油在庫が4月まで増加したことを受け、市場では減産継続を決定するとの見方が多くなっています。
OPECが今月公表した暫定統計によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国の3月の原油在庫は27億9,000万バレルと、OPECプラスによる減産にもかかわらず、前月比2,000万バレル、前年同月比3,400万バレルそれぞれ増加しました。減産継続が決まれば市場予想通りではあるものの、一定の価格下支え効果は期待できるかもしれません。
米エネルギー情報局(EIA)が30日に発表した24日時点の週間石油在庫統計で、原油在庫は前週比415.6万バレル減少。市場予想以上の減少となりましたが、ガソリンや留出油の在庫は増加。レジャーシーズンを控えての需給タイト化期待は根強いですが、在庫の動きはまちまちとなっています。
*WTI原油先物の日足(期間:2023/10/5~2024/5/30)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
◆本レポートは、執筆者が信頼に値すると判断した情報に基づいて作成されたものです。あくまで情報提供が目的であり、投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。
◆本レポート内の予想やその他の見解は、出所を明記しているものを除き、執筆者個人のものであり、当社のものではありません。したがって、その内容等について当社は責任を負いかねます。また、当社はこれに関するお問い合わせにはお応えいたしかねますのでご了承ください。
◆相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
◆本レポートの内容は予告なく変更される場合があります。
◆本サイトに掲載された内容の著作権は、当社または執筆者(またはその提供元)に帰属します。したがって、無断で使用、複製、改変することを禁じます。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。