米ドルは堅調、英ポンドは上昇後に息切れ!?
2024/05/23 06:37
【ポイント】
・FOMC議事録はタカ派的で、米ドル/円は一時156.788円へ
・英ポンド/円は英CPI発表後に199.499円をつけるも、その後は揉み合い
・本日はドイツ・ユーロ圏PMIやTCMB政策会合に注目
(欧米市場レビュー)
22日の欧米時間の外為市場では、米ドル、英ポンドが堅調でした。米ドル/円は、アジア時間からジリジリと値を上げていましたが、日本時間23日午前3時に公表されたFOMC議事録がタカ派的だったことで一段高に。英国の4月CPIが市場予想ほど改善しなかったことでBOE(英中銀)の利下げ観測が後退して(後述)、英ポンド/円は上昇。その後、スナク英首相が7月4日総選挙を発表したこともあって揉み合いになりました。
■本日23日付けファンダメ・ポイント「FOMC議事録:タカ派的内容で米金利、米ドルに上昇圧力」をご覧ください。
南アフリカランドは軟調。4月CPIが市場予想を下回ったことが背景。CPIは総合が前年比5.2%、市場予想と前月(ともに5.3%)を下回りました。コアが前年比4.6%、市場予想(4.7%)、前月(4.9%)をいずれも下回りました。CPI総合はまだ高めですが、コアはSARB(南ア中銀)のインフレ目標(3-6%)の中間値(4.5%)に接近しました。
なお、22日アジア時間にRBNZ(NZ中銀)の政策会合を受けて急落した豪ドル/NZドルは、いったん半値戻しを達成しましたが、その後にアジア時間の安値近辺まで下落しました。
(本日の相場見通し)
本日の主な経済指標は・・・
・ドイツ購買担当者景気指数(製造業およびサービス業PMI)5月分
・ユーロ圏購買担当者景気指数(製造業およびサービス業PMI)5月分
・米購買担当者景気指数(製造業およびサービス業PMI)5月分
(→米国のPMIは市場が注目するISM指数に比べてマイナー)
・TCMB(トルコ中銀)政策会合
・米新規失業保険申請件数
ラガルドECB総裁は21日のTVインタビューで、6月の理事会での利下げを強く示唆しました。ラガルド総裁は、「インフレをコントロール下に置いていることに本当に自信を持っている」、「25年、26年のインフレ見通しは2%目標ぴったりではないにしても、それに大変近い」と述べました。そして、「今後のデータで自信のレベルが再確認できれば、(6月6日理事会での利下げには)強い可能性がある」と明言しました。ラガルド総裁のコメントはほぼ理事会のコンセンサスでしょう。6月利下げが既定路線になっており、それを覆すサプライズがなければ、粛々と実行されそうです。
BOE(英中銀)の利下げ観測が後退しているため、ユーロ/米ドルやユーロ/英ポンドには下押し圧力が加わり易いかもしれません。とりわけ、ユーロ/英ポンドは過去18カ月の変動レンジの下限ともいえる0.85000ポンドを下回るか、要注意でしょう。
*******
TCMBは2会合連続で政策金利を50.00%に据え置きそうです。トルコの実質金利(政策金利-CPI)は引き続き大幅なマイナスですが、4月会合での声明で「24年後半にはディスインフレ(インフレの鈍化)が確立される」との見方を示しており、利上げサイクルは終了した可能性があります。今後は必要に応じて、準備預金や銀行規制など政策金利以外の金融引き締めツールを用いるのではないかとの見方もあります。
*******
英国の4月CPIは総合が前年比2.3%と、前月(3.2%)から伸びが鈍化したものの、市場予想(2.1%)を上回りました。エネルギー・食料・酒・タバコを除くコアは前年比3.9%と、前月(4.2%)を下回ったものの、市場予想(3.6%)を上回りました。エネルギー価格制度の影響で4月のCPIは大幅に鈍化するとベイリーBOE(英中銀)総裁は自信をみせていただけに、市場の期待が大きすぎたのかもしれません。

22日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場の利下げ観測は後退し、6月の利下げを1割ちょっと(CPI発表前は5割強)、8月の利下げを五分五分(同、確実視)、9月までの利下げを8割程度(同、2回目の利下げを4割弱)とみています。
スナク英首相は7月4日に総選挙を実施すると表明。14年間政権を担ってきたスナク首相の保守党はスターマー氏の労働党に支持率で20%近いリードを許しており、総選挙では大いに苦戦しそう。労働党優勢はすでにかなり織り込まれており、市場への影響は限定的です。ただ、総選挙が大方の予想より前倒しとなったため(実施期限は25年1月)、選挙をカバーする2-3カ月先の英ポンドのインプライド・ボラティリティ(予想変動率)は上昇しています。
・FOMC議事録はタカ派的で、米ドル/円は一時156.788円へ
・英ポンド/円は英CPI発表後に199.499円をつけるも、その後は揉み合い
・本日はドイツ・ユーロ圏PMIやTCMB政策会合に注目
(欧米市場レビュー)
22日の欧米時間の外為市場では、米ドル、英ポンドが堅調でした。米ドル/円は、アジア時間からジリジリと値を上げていましたが、日本時間23日午前3時に公表されたFOMC議事録がタカ派的だったことで一段高に。英国の4月CPIが市場予想ほど改善しなかったことでBOE(英中銀)の利下げ観測が後退して(後述)、英ポンド/円は上昇。その後、スナク英首相が7月4日総選挙を発表したこともあって揉み合いになりました。
■本日23日付けファンダメ・ポイント「FOMC議事録:タカ派的内容で米金利、米ドルに上昇圧力」をご覧ください。
南アフリカランドは軟調。4月CPIが市場予想を下回ったことが背景。CPIは総合が前年比5.2%、市場予想と前月(ともに5.3%)を下回りました。コアが前年比4.6%、市場予想(4.7%)、前月(4.9%)をいずれも下回りました。CPI総合はまだ高めですが、コアはSARB(南ア中銀)のインフレ目標(3-6%)の中間値(4.5%)に接近しました。
なお、22日アジア時間にRBNZ(NZ中銀)の政策会合を受けて急落した豪ドル/NZドルは、いったん半値戻しを達成しましたが、その後にアジア時間の安値近辺まで下落しました。
(本日の相場見通し)
本日の主な経済指標は・・・
・ドイツ購買担当者景気指数(製造業およびサービス業PMI)5月分
・ユーロ圏購買担当者景気指数(製造業およびサービス業PMI)5月分
・米購買担当者景気指数(製造業およびサービス業PMI)5月分
(→米国のPMIは市場が注目するISM指数に比べてマイナー)
・TCMB(トルコ中銀)政策会合
・米新規失業保険申請件数
ラガルドECB総裁は21日のTVインタビューで、6月の理事会での利下げを強く示唆しました。ラガルド総裁は、「インフレをコントロール下に置いていることに本当に自信を持っている」、「25年、26年のインフレ見通しは2%目標ぴったりではないにしても、それに大変近い」と述べました。そして、「今後のデータで自信のレベルが再確認できれば、(6月6日理事会での利下げには)強い可能性がある」と明言しました。ラガルド総裁のコメントはほぼ理事会のコンセンサスでしょう。6月利下げが既定路線になっており、それを覆すサプライズがなければ、粛々と実行されそうです。
BOE(英中銀)の利下げ観測が後退しているため、ユーロ/米ドルやユーロ/英ポンドには下押し圧力が加わり易いかもしれません。とりわけ、ユーロ/英ポンドは過去18カ月の変動レンジの下限ともいえる0.85000ポンドを下回るか、要注意でしょう。
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TCMBは2会合連続で政策金利を50.00%に据え置きそうです。トルコの実質金利(政策金利-CPI)は引き続き大幅なマイナスですが、4月会合での声明で「24年後半にはディスインフレ(インフレの鈍化)が確立される」との見方を示しており、利上げサイクルは終了した可能性があります。今後は必要に応じて、準備預金や銀行規制など政策金利以外の金融引き締めツールを用いるのではないかとの見方もあります。
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英国の4月CPIは総合が前年比2.3%と、前月(3.2%)から伸びが鈍化したものの、市場予想(2.1%)を上回りました。エネルギー・食料・酒・タバコを除くコアは前年比3.9%と、前月(4.2%)を下回ったものの、市場予想(3.6%)を上回りました。エネルギー価格制度の影響で4月のCPIは大幅に鈍化するとベイリーBOE(英中銀)総裁は自信をみせていただけに、市場の期待が大きすぎたのかもしれません。

22日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場の利下げ観測は後退し、6月の利下げを1割ちょっと(CPI発表前は5割強)、8月の利下げを五分五分(同、確実視)、9月までの利下げを8割程度(同、2回目の利下げを4割弱)とみています。
スナク英首相は7月4日に総選挙を実施すると表明。14年間政権を担ってきたスナク首相の保守党はスターマー氏の労働党に支持率で20%近いリードを許しており、総選挙では大いに苦戦しそう。労働党優勢はすでにかなり織り込まれており、市場への影響は限定的です。ただ、総選挙が大方の予想より前倒しとなったため(実施期限は25年1月)、選挙をカバーする2-3カ月先の英ポンドのインプライド・ボラティリティ(予想変動率)は上昇しています。
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