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カナダドル:カナダCPIに注目!

2024/05/21 09:11

【ポイント】
・カナダCPIBOCの利下げ観測が強まるかどうか
RBA議事録で豪金融政策について新たな手掛かりが提供されるか

(欧米市場レビュー)

20日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は156.255円、米ドル/カナダドルは1.3631カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08488ドル、豪ドル/米ドルは0.66616米ドルへと下落しました。バーFRB(米連邦準備制度理事会)副議長など複数のFOMC(米連邦公開市場委員会)参加者が早期の利下げに慎重な姿勢を示したことや、米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇が、米ドルの支援材料となりました。

バー副議長は「(米国の)1~3月期のインフレに関するデータは失望的であり、利下げに向けて必要な確信をもたらしてはくれなかった」、「金融引き締め政策が効果を発揮し続けるには、もう少し時間が必要だ」と発言。ジェファーソン副議長は「4月のCPI(消費者物価指数)の結果は喜ばしいが、インフレ率が2%の目標回帰に向けて持続可能な軌道に戻ったかどうかを判断するには時期尚早だ」との認識を示しました。

ボスティック・アトランタ連銀総裁は「インフレ率が目標の2%に戻る軌道に乗っていると確信するまでには、しばらく時間がかかる」と述べました。メスター・クリーブランド連銀総裁は「インフレが持続的に2%に向かうかどうかを判断するには、インフレの軌道についてより多くの証拠を集める必要がある」、「1-3月期に物価情勢をめぐる進展が停滞したことを踏まえると、インフレリスクは上向きに傾いている」と語りました。

(本日の相場見通し)

本日は、ウォラーFRB理事ウィリアムズNY連銀総裁バーキン・リッチモンド連銀総裁などの発言機会があります。20日のバー副議長などに続いてウォラー理事らも早期の利下げに慎重な姿勢を示せば、市場ではFRBの利下げ観測が後退するとともに、米ドルが堅調に推移しそう。ドル/円は上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開が想定されます。

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[FRBは9月に利下げできるのか]です。

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カナダの4月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果にカナダドルが反応する可能性があります。

CPI(総合指数)の市場予想は前年比2.7%と、上昇率は3月の2.9%から鈍化するものの、BOCのインフレ目標レンジ(1~3%)の中間値である2%を引き続き上回るとみられています。BOCはまた、コアインフレ指標としてCPIのトリム平均値と加重中央値を注視しており、それらの結果にも注目です。3月のトリム平均値は前年比3.1%、加重中央値は同2.8%でした(4月分の市場予想なし)。

市場では、BOCは次回6月5日の政策会合で利下げを行うとの観測もあります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む6月会合での利下げの確率は約4割(据え置きは約6割)です。

CPIが弱い結果になれば、BOCの利下げ観測が強まるともに、カナダドル安材料となりそうです。米ドル/カナダドルは堅調に推移し、一方でカナダドル/円は軟調に推移すると考えられます。

カナダのCPI(前年比)

カナダのCPI(前年比)

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RBA(豪中銀)議事録が本日公表されます(日本時間10:30)。政策金利を4.35%に据え置くことを決定した5月6-7日の政策会合の議事録です。

政策会合時の声明では、金融政策の先行きについて「何も決定しておらず、何も排除していない」と表明されました。ブロックRBA総裁は会合後の会見で、会合では利上げの選択肢も議論したことを明らかにしつつも「インフレ率を目標に戻すうえで、(現在の政策)金利は適切な水準だ」と指摘。「必ずしも再び引き締め(追加利上げ)が必要になるとは考えていない」などと述べました。

本日公表される議事録で、RBAの金融政策の先行きについて声明やブロック総裁の会見以上の手掛かりが提供されれば、豪ドルが反応する可能性があります。

※豪ドル/NZドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/NZドル、レンジワークが継続しそう]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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