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メキシコ中銀は政策金利据え置き、利下げ観測後退か

2024/05/10 09:25

【ポイント】
・米経済指標で市場の米金融政策見通しが変化するか
・カナダの雇用統計でBOCの利下げ観測が強まるか
・メキシコ中銀の声明は利下げ観測を強める内容ではなさそう

(欧米市場レビュー)

9日の欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は155.400円近辺、米ドル/カナダドルは1.36736カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.07789ドル、豪ドル/米ドルは0.66158米ドルへと上昇しました。米国の先週分の新規失業保険申請件数が23.1万件と、市場予想よりも弱い結果だったことが、米ドルの重石となりました。

英ポンドは対ユーロで軟調。ユーロ/英ポンドは一時0.86154ポンドへと上昇しました。BOE(英中銀)は政策金利を5.25%に据え置くことを決定。政策金利の据え置きは市場予想通りだったものの、夏ごろまでの利下げが示唆されたことが、英ポンドの重石となりました。

※詳しくは、本日10日の『ファンダメ・ポイント』[BOE、6月会合での利下げの可能性高まる]をご覧ください。

BOM(メキシコ中銀)は政策金利を11.00%へと据え置くことを決定しました(*後述)。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の5月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が発表されます(日本時間23:00)。その結果が材料になりそうです。

ミシガン大学消費者信頼感指数の市場予想は76.0と、4月の77.2から低下するとみられています。ヘッドラインの数値の他に1年先と5年先のインフレ期待の結果にも注目です。4月のインフレ期待はそれぞれ、3.2%と3.0%でした(5月分の市場予想なし)。

今月に入ってから発表された米国の経済指標(ISMの製造業景況指数と非製造業景況指数、雇用統計)は、市場予想よりも弱めの結果でした。

市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)は9月に利下げを行うとの見方が有力です。ミシガン大学消費者信頼感指数が弱い結果になれば、FRBの利下げ観測が強まるとともに、米ドルが軟調に推移する可能性があります。

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カナダの4月雇用統計が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果にカナダドルが反応しそうです。

マックレム(BOC)総裁は1日に「利下げ(のタイミング)が近づいている」との認識を示しました。市場では、BOCは次回6月5日の政策会合で利下げを行うとの見方が有力です。

カナダの雇用統計の市場予想は、失業率が6.2%、就業者数が前月比2.00万人増です。市場予想よりも弱い結果になれば、BOCの6月の利下げ観測が一段と強まる可能性があります。その場合、カナダドル安材料になりそうです。

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英国の1-3月期のGDP(国内総生産)速報値が発表されます(日本時間15:00)。英国は23年7-9月期と10-12月期の2四半期連続でマイナス成長に陥りました。24年1-3月期のGDPの市場予想は前期比0.4%と、プラス成長に転じるとみられています。市場予想からかい離する結果になれば、英ポンドが反応しそうです。市場予想を下回る結果だった場合、英ポンドが軟調に推移して、ユーロ/英ポンドは上値を試す展開になる可能性があります。

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BOM(メキシコ中銀)は9日に政策会合を開き、政策金利を11.00%に据え置くことを決定しました。

政策金利を据え置くとの決定は、5人の政策メンバー全員一致でした。また、インフレ率見通しが上方修正されるなど、声明の内容は次回6月27日の会合での利下げ観測を強めるようなものではなさそうでした。メキシコペソにとってプラスと考えられます。
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BOMは声明で「ディスインフレのプロセスは続くと予想される」としつつも、「インフレのショックが消えるまでには、さらに時間がかかるとみられる」と指摘。インフレのショックがインフレ率に及ぼす影響は予想以上に長引くとの見通しなどを踏まえ、「金融政策は慎重に運営される必要がある」と説明しました。

声明は先行きの金融政策について「政策金利の調整について議論するためにインフレをめぐる環境を評価していく」と表明。「(景気)抑制的な金融政策スタンスがインフレ率に及ぼす影響も考慮する」としました。

BOMはインフレ率見通しを3月時点から修正。CPI(消費者物価指数)の総合指数とコア指数のいずれも、24年4-6月期~25年7-9月期までの見通しを3月時点から引き上げました。その結果、CPI上昇率が目標の3%に近づく時期の見通しは3月時点の「25年4-6月期」から「25年10-12月期」へと2四半期後ズレしました。また、「予測期間内のインフレ軌道のリスクバランスは、上向きに偏っている」との見方を示しました。

BOMのインフレ率見通し

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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