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BOE、6月会合での利下げの可能性高まる

2024/05/10 07:13

【ポイント】
・BOEの会合は据え置きを決定も、9人の委員のうち2人が利下げを支持
・ベイリー総裁は、インフレの持続性が従来の想定ほど強くないと指摘
・市場は5割超の確率で6月利下げを織り込み、8月までの利下げを確実視

BOE(英中銀)が夏ごろまでの利下げを示唆したことで、英ポンド/米ドルは一時1.24444ドルまで下落しました。ただ、その後に発表された米国の新規失業保険申請件数が市場予想を上回ったことで、米利下げ観測が強まって米ドルが下落。英ポンド/米ドルは1.25213ドルまで反発しました。英ポンド/円は194.057円まで下落後に、一時194.759円まで反発しました。

9日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む6月20日のMPCでの利下げ確率は約6割。8月1日のMPCまでの利下げが確実視されています。市場のメインシナリオ(確率5割超)は、「BOEは今年6月、9月、25年2月に0.25%ずつの利下げ」です。ただし、6月と9月の利下げ確率は5割をわずかに超えるだけなので、少しの材料で予想が後ろズレする可能性があります。

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BOEは9日のMPC(金融政策委員会)で6会合連続での政策金利5.25%の据え置きを決定しました。票決は7対2。前回より1人増えて2人の委員が利下げを支持しました。6月か8月のMPCでさらに3人以上が利下げを支持すれば、(ベイリー総裁の意向とは関係なく)利下げが決定されます。

声明文では、「インフレ率は向こう2、3カ月のうちに2%の目標近くまで下がるだろう」と指摘。公表された見通しでは、インフレ率の低下はエネルギー料金の低下が主因だが、年後半の反発は従来予想より緩やかになるとされました。インフレのリスクとして、「地政学的要因」が指摘されました。

ベイリー総裁は記者会見で、数カ月以内に利下げが必要になる公算が大きいとし、「(6月の)可能性を排除しないが、既定路線でもない」と述べました。また、さらに先を見据えて「現在の市場が織り込んでいる以上の金融緩和が必要になる可能性」を指摘しました。

ベイリー総裁はBloombergとのインタビューで、「インフレの持続性について、MPCの従来の想定ほど強くないことを示す証拠がある」とも語ったようです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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