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パウエル議長の講演とサービスインフレ

2024/04/04 07:52

【ポイント】
・パウエル議長は年内利下げの可能性を認めつつ、利下げを急がない意向
・ISM非製造業仕入価格指数は4年ぶりの低水準
・雇用統計等でインフレ圧力の低下が確認されるか

米国の3月ISM非製造業景況指数は51.4と、15カ月連続で非製造業(サービス業)の拡大を示したものの、2月(52.6)から低下しました。同仕入価格指数は53.4と2月(58.6)から大きく低下、コロナショックのあった20年3月以来の水準に低下しました。1日発表の3月製造業仕入価格指数が22年7月以来の水準に上昇してインフレ懸念を高めていただけに、非製造業仕入価格指数の低下は市場に安心感を与えたようです。

■2日付け「米物価上昇圧力が再燃!?」をご参照ください。

ISM仕入価格指数

もっとも、非製造業仕入価格指数は今年1-2月に上昇していただけに、その反動が出た可能性もあり、3月単月のデータでは判断が難しいところでしょう。

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パウエルFRB議長はスタンフォード大学で「経済見通し」について講演。年内に利下げの可能性が高いとしつつも、景気が底堅いために時間的余裕があり、インフレ鈍化に確信が持てるまで利下げを急がないとの意向を表明しました。1-2月のCPIが上振れたことについて、パウエル議長は「一過性」以上のものだとは言えないと述べました。3月の非製造業仕入価格指数の低下が示唆したインフレ圧力の低下が今後のデータで裏付けられるか、大いに注目でしょう。

なお、パウエル議長の講演に対する市場の反応は限定的でした。3日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込むFOMC利下げ(0.25%)の確率は、5月1日で7%、6月12日までで65%、7月31日までで106%です。雇用統計などで利下げ観測が後退すれば、市場のメインシナリオ(確率50%超)が「6月利下げ開始」から「7月以降の利下げ開始」に変化するかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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