トルコ中銀は利上げ、メキシコ中銀は利下げを決定!
2024/03/22 09:27
【ポイント】
・トルコ中銀はインフレ抑制への決意や中銀の独立性を示した!?
・メキシコ中銀は次回5月会合で政策金利を据え置く可能性も
(欧米市場レビュー)
21日の欧米時間の外為市場では、英ポンドが軟調に推移。一時、英ポンド/米ドルは1.26515ドル、英ポンド/円は191.836円へと下落し、ユーロ/英ポンドは0.85775ポンドへと上昇しました。BOE(英中銀)は政策金利を5.25%に据え置くことを決定しました。前回会合では2人のメンバーが利上げを支持しましたが、今回の会合では2人とも据え置きに転じ、そのことが英ポンドに対する下押し圧力となりました。
※BOEの政策会合については、本日22日の『ファンダメ・ポイント』[BOEはハト派的据え置き!? 英ポンド/円は15年8月以来の高値から反落]にて解説していますので、ご覧ください。
米ドルは堅調。一時、米ドル/円は151.742円、米ドル/カナダドルは1.35371カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08534ドル、豪ドル/米ドルは0.65607米ドルへと下落しました。米国の3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数や2月中古住宅販売件数、先週分の新規失業保険申請件数が市場予想よりも良好な結果だったことが、米ドルの支援材料となりました。
フィラデルフィア連銀製造業景況指数などの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・フィラデルフィア連銀製造業景況指数:3.2(マイナス2.3)
・中古住宅販売件数(年率換算):438万件(394万件)
・新規失業保険申請件数:21.0万件(21.5万件)
(本日の相場見通し)
本日は米国の主要な経済指標の発表はなく、米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向が材料になりそうです。米長期金利が上昇する場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わり、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。
米ドル/円については、円安に対する本邦当局の反応にも注目です。鈴木財務相は21日、為替相場について「高い緊張感を持って動きを注視していく」、「為替は安定的に推移することが望ましい」などと述べました。鈴木財務相や神田財務官の発言によって為替介入(米ドル売り・円買い介入)への警戒感が市場で強まる場合、米ドル/円はいったん下落する可能性があります。
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TCMB(トルコ中銀)は21日に政策会合を開き、5.00%の利上げを行うことを決定。政策金利を45.00%から50.00%へと引き上げました。利上げは1月以来2会合ぶりです。
TCMBは声明で、利上げを実施する理由を「インフレ見通しが悪化したため」と説明。「月次のインフレ率の基調が大幅かつ持続的に鈍化し、インフレ期待が予測範囲に収束するまで、金融引き締めスタンスを維持する」とし、「インフレ率の大幅かつ持続的な悪化が予想される場合、(さらに)政策を引き締める」と表明。必要なら追加利上げを行うとの姿勢を示しました。
トルコの2月のCPI(消費者物価指数)は前年比67.07%と、1月の64.86%から上昇率が加速して、22年11月以来1年3カ月ぶりの高い伸びとなりました。
インフレ圧力が強まっていることから、今回の会合前の段階で市場ではTCMBはいずれ利上げを行うとの観測がありました。ただ、トルコでは31日に地方選が実施されるため、利上げのタイミングは地方選直前の3月ではなく、早くて4月との見方が有力でした。
市場の予想に反してTCMBは今回の会合で利上げに踏み切りました。そのことは、TCMBのインフレの抑制に向けての強い決意とともに、TCMBの政府からの独立性が保たれていることを示すものと言えそうです。
TCMBの利上げ発表後、トルコリラは対円や対米ドルでいったん反発しました。
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BOM(メキシコ中銀)は21日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を11.25%から11.00%へと引き下げました。利下げの決定は4対1で、決定に反対した1人は据え置きを支持しました。
メキシコではインフレ率が鈍化傾向にあり、そのことが利下げ実施の主な要因と考えられます。2月CPI(消費者物価)は、総合指数が前年比4.40%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同4.64%でした。上昇率はBOMのインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を引き続き上回ったものの、総合指数は1月の4.88%から、コア指数は1月の4.76%から鈍化しました。コア指数の上昇率が鈍化したのは13カ月連続です。
BOMは声明で、「ディスインフレのプロセスは継続するとみられる」としつつ、「予測期間内のインフレの軌道のリスクバランスは依然として上向きに偏っている」との見方を示しました。声明はまた、「金融政策を慎重に運営し続けることを必要とする課題やリスクが残っている」と指摘。「次回以降の政策会合では、入手可能な情報に基づいて決定を下す」とし、先行きの金融政策に関するガイダンス(指針)は示されませんでした。次回5月9日の会合で政策金利は据え置かれる可能性もありそうです。前回2月の会合時は、「次回(3月)以降の会合では、入手可能な情報次第で政策金利の調整を検討する」とし、利下げする可能性を示していました。
今回の会合では利下げが行われたものの、BOMの政策金利の水準が主要国の中銀と比べて高い状況に大きな変化はありません。BOMと主要国中銀との政策金利の差が支援材料となり、メキシコペソは引き続き堅調に推移すると考えられます。
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