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米ドル堅調、米ドル/円は148円台へ上昇

2024/03/15 08:55

【ポイント】
・米経済指標でFRBの利下げ観測が一段と後退するか
・春闘の回答集計で日銀の政策修正観測が補強されるか

(欧米市場レビュー)

14日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は148.313円、米ドル/カナダドルは1.35364カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08791ドル、豪ドル/米ドルは0.65692米ドルへと下落しました。米国の2月PPI(生産者物価指数)と先週分の新規失業保険申請件数が市場予想よりも強い結果となり、それらが米ドルの支援材料となりました。PPIの結果は総合指数が1.6%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が2.0%、新規失業保険申請件数の結果は20.9万人。市場予想はそれぞれ、1.2%と1.9%、21.8万件でした。

本日15日の『ファンダメ・ポイント』は、[米PPI、「ラスト1マイル」が難しい!?]です。

米ドル/円については、「日銀は、18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利を解除する方向で調整に入った」との報道を受けて一時147.435円へと下落する場面がありましたが、下落は一時的でした。

デギンドスECB(欧州中銀)副総裁は「6月には利下げを決定するのに十分な情報を入手できる」と述べ、またクノット・オランダ中銀総裁は「(ECBの)利下げ開始は6月と考えている」と語り、6月6日のECB理事会での利下げを支持する姿勢を示しました(次回の理事会は4月11日)。デギンドス副総裁やクノット総裁の発言に対してユーロに大きな動きはみられませんでした。

(本日の相場見通し)

本日、米国の3月NY連銀製造業景況指数3月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)、2月鉱工業生産が発表されます。

市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・NY連銀製造業景況指数:マイナス7.0(マイナス2.4)
・鉱工業生産(前月比):0.0%(マイナス0.1%)
・ミシガン大学消費者信頼感指数:76.9(76.9)

ミシガン大学消費者信頼感指数では、ヘッドラインの数値だけでなく1年先と5年先のインフレ期待にも注目です(3月分の市場予想なし)。前月のインフレ期待は1年先が3.0%、5年先が2.9%でした。

今週発表された米国の2月のCPI(消費者物価指数)やPPI、新規失業保険申請件数が市場予想よりも強い結果だったことで、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退。CMEのFedWatchツールによれば、市場が織り込む利下げの確率は、次回3月19-20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が1%、4月30日-5月1日までで8%程度、6月11-12日までで60%程度。7日時点ではそれぞれ、4%、25%程度、75%程度でした。

本日発表されるNY連銀製造業景況指数やミシガン大学消費者信頼感指数、鉱工業生産が市場予想よりも強い結果になれば、利下げ観測はさらに後退する可能性があります。その場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上昇し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは下落しそうです。米ドル/カナダドルは引き続き1.36014カナダドル(2/28高値)が目先の上値メドです。

***

本日、連合(日本労働組合総連合会)が春闘の第1回回答集計を発表します(日本時間16時頃)。日銀は、マイナス金利の解除など金融政策修正の重要な判断材料として、春闘を注視する姿勢を示しています。最近の報道によって18-19日の日銀金融政策決定会合での政策修正は市場にある程度織り込まれたと考えられるものの、それでも回答集計の結果次第では材料になる可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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