トルコリラ/円が史上最安値を更新、一段と下落も
2024/03/11 09:12
【ポイント】
・日銀がマイナス金利を解除するなどの観測から円が堅調
・日銀の金融政策をめぐる報道には注意が必要
・トルコ中銀の利上げは不十分との見方からトルコリラ安圧力
・トルコ中銀に利上げを催促する動き(さらなるリラ売り)になる可能性も
(欧米市場レビュー)
8日の欧米時間の外為市場では、円が全面高の展開。一時、米ドル/円は146.431円、ユーロ/円は160.526円、豪ドル/円は97.237円、NZドル/円は90.686円へと下落。米ドル/円は2月2日以来、ユーロ/円は2月12日以来の安値をつけました。「日銀は3月18-19日の金融政策決定会合でのマイナス金利解除に傾く政策委員が増えている」、「日銀はYCC(イールドカーブ・コントロール。長短金利操作)を撤廃し、国債の買い入れ規模を示す新たな量的金融政策の枠組みを検討している」と報じられました。これを受けて、18-19日の日銀会合での金融政策修正観測が市場で強まり、円高圧力となりました。
※本日11日の『ファンダメ・ポイント』は、[来週、日銀はマイナス金利解除やYCC撤廃に踏み切るか]です。
(本日の相場見通し)
市場では、日銀が18-19日の会合で金融政策を修正する(マイナス金利の解除など)との観測が強まっています。目先は、円高圧力が加わりやすい地合いになると考えられ、米ドル/円やクロス円は上値が重い展開になりそうです。
日銀の金融政策をめぐる報道には引き続き注意が必要です。金融政策修正の観測が一段と強まる場合、円高圧力はさらに強まる可能性があります。米ドル/円は200日移動平均線(3/11時点で146.195円)が下値メドです。
※ユーロ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/円、方向性模索の時間帯!]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。
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トルコリラ安が進行しています。トルコリラは8日、対米ドルや対円で史上最安値を更新しました(トルコリラ/円は一時4.561円へと下落)。
トルコでは、23年6月に財務相やTCMB(トルコ中銀)総裁が交代し、経済・金融政策を転換。それまでに行われていたトルコリラに対する支援策が解除されたり緩和されたりしていることで、トルコリラ安圧力が加わりやすい地合いが続いていました。
足もとでトルコリラ安圧力は一段と強まっています。その主な要因として、TCMBの利上げはインフレの抑制に不十分と市場が見ていることが挙げられます。
TCMBは23年6月から24年1月まで合計36.50%の利上げを行った後、前回2月の会合では政策金利を45.00%に据え置きました。一方で、トルコではインフレ圧力が強まっており、2月のCPI(消費者物価指数)は前年比67.07%と、前月の64.86%から上昇率が加速し、22年11月以来1年3カ月ぶりの高い伸びを記録しました。トルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)は、大幅なマイナスです(マイナス22.07%)。
TCMBは3月21日に政策会合を開きます。トルコの地方選が31日に行われるため、TCMBが利上げをするのは簡単ではなさそうです。市場では4月25日の会合で利上げするとの観測があります(3月21日は政策金利の据え置きを予想)。
TCMBは今後利上げへと動くのかどうかに注目です。市場では、TCMBに利上げを催促する動き(さらなるトルコリラ売り)になる可能性があります。
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