米国とカナダの雇用統計に注目!
2024/03/08 08:51
【ポイント】
・雇用統計でFRBとBOCの利下げ観測が強まるか
・NY連銀総裁は米金融政策の先行きについての手がかりを提供するか
(欧米市場レビュー)
7日の欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は147.548円、米ドル/カナダドルは1.34539カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.09438ドル、豪ドル/米ドルは0.66190米ドル、NZドル/米ドルは0.61703米ドルへと上昇。米ドル/円は2月2日以来の安値をつけ、ユーロ/米ドルと豪ドル/米ドルは1月16日以来の高値を記録しました。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が上院銀行委員会で議会証言を行い、その内容がハト派的と市場は受け止めたようです。パウエル議長は議会証言で利下げに関して「(米国の)インフレ率が持続的に2%に向かっていると一層の確信が得られるのを待っている」と述べ、「確信が得られるのは、そう遠くない」と語りました。米ドル/円については、日銀が3月18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利を解除するとの観測も下押し圧力となりました。
ECB(欧州中銀)は理事会を開き、政策金利を据え置くことを決定しました。据え置きは4会合連続です。
※パウエル議長の議会証言やECB理事会については、本日8日の『ファンダメ・ポイント』[ECBは6月に利下げ開始か パウエル証言が米ドルの重石に]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の2月雇用統計が発表されます(日本時間22:30)。その結果が材料になりそうです。
雇用統計の市場予想は、以下の通り。( )は前回の結果です。
・非農業部門雇用者数(前月比):20.0万人増(35.3万人増)
・失業率:3.7%(3.7%)
・平均時給(前月比):0.3%(0.6%)
・平均時給(前年比):4.4%(4.5%)
市場では、FRBは6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うとの見方が有力です(3月19-20日と4月30日-5月1日のFOMCについては、政策金利の据え置きを予想)。
雇用統計が市場予想よりも弱い結果になれば、利下げ観測が強まるとともに、米ドルが軟調に推移しそう。米ドル/円は2月1日安値の145.884円に向かって下落し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下落すると考えられます。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、もう一段の下押しとなるか]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。
ウィリアムズNY連銀総裁の発言機会が本日あります。ウィリアムズ総裁は2月29日、「現在の見通しでは、(FRBは)追加利上げを行う必要はない」、「今年中に利下げが行われると予想しているが、急ぐ必要はない」などと述べました。ウィリアムズ総裁がFRBの金融政策の先行きについて新たな手掛かりを提供すれば、材料になりそうです。
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米国と同じ22時30分には、カナダの2月雇用統計も発表されます。カナダドル/円や米ドル/カナダドルは、その結果に反応する可能性があります。
カナダの雇用統計の市場予想は、雇用者数が前月比2.00万人増、失業率が5.8%です。雇用者数の増加ペースは前月の3.00万人から鈍化し、失業率は前月の5.7%から悪化するとみられています。
市場では、BOCは6月5日の政策会合で利下げを行うとの見方が有力です(次回4月10日の会合については、政策金利の据え置きを予想)。カナダの雇用統計が市場予想よりも弱い結果になれば、利下げ観測が強まるとともに、カナダドル安圧力が加わる可能性があります。
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