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ECBは6月に利下げ開始か パウエル証言が米ドルの重石に

2024/03/08 07:32

【ポイント】
・ECBはインフレ見通しを下方修正、25年に2%目標達成
・ラガルド総裁は6月の利下げに前向きの姿勢!?
・パウエル議長、「(利下げに自信を持てるのは)そんなに遠くない」

ECBは7日の理事会で金融政策の現状維持を4会合連続で決定。ECBの物価見通しは下方修正され、ラガルド総裁は6月の利下げに前向きな姿勢を示しました。ユーロ/米ドルは理事会後にいったん下落したものの、その後はパウエル議長の議会証言や弱めの雇用統計への期待もあって反発しました。

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ユーロ圏のCPI(消費者物価指数)は総合が今年1月に前年比2.8%、エネルギー・食品・アルコール飲料・タバコ製品を除くコアは同3.3%でした。エネルギー価格の変動によって総合はややブレているものの、コアは比較的順調に鈍化してきました。

ユーロ圏のCPI

ECBは理事会後に公表した予測で、24-25年のインフレ見通しを下方修正。25年のインフレ率は2.0%と物価目標を達成し、同年7-9月期には2%を下回ると予測しました。

ECB経済物価見通し



ラガルド総裁は、現時点で利下げに踏み切るだけの十分な確信はないと述べました。そのうえで、最も重視している賃金に言及し、「もっとデータが必要だ。4月(の理事会)ではもう少し多くのデータが、そして6月(の理事会)ではさらに多くのデータが判明するだろう」と語りました。

また、ラガルド総裁は「今回の会合で利下げは議論しなかった」とする一方で、「ECBの景気抑制的な姿勢を縮小する議論を始めた」と明かしました。


パウエル証言、「そんなに遠くない」
パウエルFRB議長は7日、前日の下院金融サービス委員会に続いて上院銀行委員会で金融政策について証言しました。証言内容はほぼ同じでしたが、上院議員の質問に答える形で、「インフレが安定的に2%に向かっていると一層の確信が持てるのを待っている」、「確信が持てれば利下げを開始するのが適切になるだろう。そして、それはそんなに遠くない」と述べました。これを受けて、市場は6月までの利下げを100%近く織り込みました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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