金融不安!? NYCB株が再び急落!
2024/02/07 08:13
【ポイント】
・NYCBの株価が再び急落し、97年以来の水準に
・イエレン財務長官が商業不動産に懸念を表明
・商業不動産融資は地銀/小規模銀行でウェイトが高い
・広範な金融不安に発展しないか注意は必要
6日、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の株価が再び急落し(下落率は22%)、97年以来の安値を付けました。23年7月の高値からの下落率は70%に達しました。50行の地銀株で構成されるKBW地方銀行株指数は前日比1.4%下落。

NYダウは141ドル上昇。米長期金利(10年物国債利回り)は小幅低下し、米ドルはほぼ全面安となりました。
NYCBは先週、昨年10-12月期決算で巨額の貸倒引当金を計上し、株価が急落していました。6日は、NYCBのリスク管理責任者が辞任していたとの報道や、イエレン財務長官の議会証言が材料となったようです。
イエレン財務長官は下院金融サービス委員会で証言し、金利の上昇やリモートワークに伴うオフィス空室率の上昇などの要因を指摘して商業不動産に懸念を示しました。そして、銀行監督局が問題を注視しているとも述べました。
NYCBにはシグネチャー銀行の買収に伴う規模拡大によって厳格な規制の対象になったという特殊事情があります。ただし、商業不動産の市況悪化は今後も金融機関、とりわけ商業不動産ローンのウェイトの高い地銀の経営悪化につながりそうです。広範な金融不安に発展しないか、引き続き注意は必要でしょう。
*******
商業不動産融資の現状について、確認しておきましょう。
商業不動産の市況を示す適切な指標は見つけられませんでした。セントルイス連銀がIMFのデータとして提供している「商業不動産価格」があります。これによれば、商業不動産の価格が大幅に下落しているようには見えません。ただし、最新データは23年7月分なので、その後の状況は不明です。

他方、不動産調査会社Green Streetによれば、全米主要都市のオフィス・スペースの価値は22年4-6月期から23年7-9月期にかけて4割~6割下落しました。また、いくつかの都市では空室率が20%を超えているとのこと。IMFよりこちらのデータがより実態に近いのかもしれません。

商業不動産融資のウェイトは地銀/小規模銀行で大きいようです。FRB資料によれば、大規模銀行(資産規模上位25行)の総資産に占める商業不動産融資の比率は6.5%。これに対して小規模銀行(上位25行を除く)では同比率が30.2%。

また、KBW地方銀行株指数を構成する50行の融資総額は1.07兆ドルで、そのうち31%の3,312億ドルが商業不動産関連だとのことです。
なお、Bloombergによれば、NYCBの総融資846.2億ドルのうち約1割に当たる85.3億ドルが商業不動産融資。市場の一部でNYCBの次のターゲットとされるバレー・ナショナル・バンコープ(VLY)は、総融資総融資502.1億ドルのうち6割近い282.4億ドルが商業不動産融資とのこと。VLYの株価は6日までの5営業日で22%下落しています。
・NYCBの株価が再び急落し、97年以来の水準に
・イエレン財務長官が商業不動産に懸念を表明
・商業不動産融資は地銀/小規模銀行でウェイトが高い
・広範な金融不安に発展しないか注意は必要
6日、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の株価が再び急落し(下落率は22%)、97年以来の安値を付けました。23年7月の高値からの下落率は70%に達しました。50行の地銀株で構成されるKBW地方銀行株指数は前日比1.4%下落。

NYダウは141ドル上昇。米長期金利(10年物国債利回り)は小幅低下し、米ドルはほぼ全面安となりました。
NYCBは先週、昨年10-12月期決算で巨額の貸倒引当金を計上し、株価が急落していました。6日は、NYCBのリスク管理責任者が辞任していたとの報道や、イエレン財務長官の議会証言が材料となったようです。
イエレン財務長官は下院金融サービス委員会で証言し、金利の上昇やリモートワークに伴うオフィス空室率の上昇などの要因を指摘して商業不動産に懸念を示しました。そして、銀行監督局が問題を注視しているとも述べました。
NYCBにはシグネチャー銀行の買収に伴う規模拡大によって厳格な規制の対象になったという特殊事情があります。ただし、商業不動産の市況悪化は今後も金融機関、とりわけ商業不動産ローンのウェイトの高い地銀の経営悪化につながりそうです。広範な金融不安に発展しないか、引き続き注意は必要でしょう。
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商業不動産融資の現状について、確認しておきましょう。
商業不動産の市況を示す適切な指標は見つけられませんでした。セントルイス連銀がIMFのデータとして提供している「商業不動産価格」があります。これによれば、商業不動産の価格が大幅に下落しているようには見えません。ただし、最新データは23年7月分なので、その後の状況は不明です。

他方、不動産調査会社Green Streetによれば、全米主要都市のオフィス・スペースの価値は22年4-6月期から23年7-9月期にかけて4割~6割下落しました。また、いくつかの都市では空室率が20%を超えているとのこと。IMFよりこちらのデータがより実態に近いのかもしれません。

商業不動産融資のウェイトは地銀/小規模銀行で大きいようです。FRB資料によれば、大規模銀行(資産規模上位25行)の総資産に占める商業不動産融資の比率は6.5%。これに対して小規模銀行(上位25行を除く)では同比率が30.2%。

また、KBW地方銀行株指数を構成する50行の融資総額は1.07兆ドルで、そのうち31%の3,312億ドルが商業不動産関連だとのことです。
なお、Bloombergによれば、NYCBの総融資846.2億ドルのうち約1割に当たる85.3億ドルが商業不動産融資。市場の一部でNYCBの次のターゲットとされるバレー・ナショナル・バンコープ(VLY)は、総融資総融資502.1億ドルのうち6割近い282.4億ドルが商業不動産融資とのこと。VLYの株価は6日までの5営業日で22%下落しています。
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