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米雇用統計で米ドル堅調、米ドル高はさらに進むか

2024/02/05 09:03

【ポイント】
・米雇用統計の強い結果を受けてFRBの利下げ観測が後退
・米ISM非製造業景況指数の結果次第では利下げ観測が一段と後退しそう
・トルコ中銀の総裁交代によって金融政策が転換する可能性は低そう

(欧米市場レビュー)

2日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は148.549円、米ドル/カナダドルは1.34708カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.07791ドル、豪ドル/米ドルは0.64998米ドル、NZドル/米ドルは0.60548米ドルへと下落。豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルは2カ月半ぶりの安値をつけました。米国の1月雇用統計の強い結果が、米ドルの支援材料となりました。

※米雇用統計については、3日の『ファンダメ・ポイント』[米雇用統計、NFP大幅増で利下げは5月!?]にて解説していますので、ご覧ください。

(本日の相場見通し)

米国の1月雇用統計の強い結果を受けて、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の早期の利下げ観測が後退しました。CMEのFedWatchツールによれば、市場が織り込む次回3月19-20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げの確率は、2日時点で20%。1月26日時点では5割弱ありました。

本日は、米国の1月ISM非製造業景況指数が発表されます(日本時間24:00)。ISM非製造業景況指数の市場予想は52.0と、前月の50.6から上昇するとみられています。50が非製造業業況判断の分かれ目です。市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が一段と後退するとともに、米ドルが堅調に推移すると考えられます。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。米ドル/の上値メドとして、149.943(23/11/20高値)が挙げられます。

***

エルカンTCMB(トルコ中銀)総裁が2日に辞任すると表明しました。金融政策と直接関係のないプライベートな理由とのことです。エルカン氏は23年6月に総裁に就任し、インフレの抑制に向けて積極的な利上げを実施。就任時に8.50%だった政策金利は45.00%まで引き上げられました。

エルカン氏の後任には、カラハン氏が任命されました。カラハン氏は、NY連銀でエコノミストを務めた経験があり、23年7月28日からTCMBの副総裁でした。

シムシェキ財務相とユルマズ副大統領の発言やカラハン新総裁の声明をみると、総裁が交代することによってTCMBの金融政策が転換する可能性は低そうです。エルカン氏の辞任は、トルコリラにとってそれほどマイナスにはならないかもしれません。

2日に、シムシェキ財務相は「(トルコの)経済計画は中断することなく継続する」と述べ、ユルマズ副大統領も「中期経済計画は引き続き断固として継続される」と語りました。

カラハン新総裁は4日に声明を出し、「(TCMBの)最優先事項は物価の安定であり、ディスインフレを確実にする取り組みを続ける」と強調。「(トルコの)インフレ率が目標と一定する水準に鈍化するまで、引き締め的な金融政策を維持する決意だ」とし、「インフレ見通しが悪化した場合には行動する用意がある」と表明しました。

TCMBは8日に四半期に1度のインフレ報告を公表し、カラハン新総裁が会見する予定です。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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