ユーロ圏GDPやECB理事会メンバーの発言が材料になりそう
2024/01/30 09:08
【ポイント】
・NZ中銀のチーフエコノミストのタカ派的な発言でNZドルが堅調
・ユーロ圏やドイツ、フランスのGDPで景気をめぐる懸念が強まるか
・ECB理事会メンバーの発言で市場の金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
29日の欧米時間の外為市場では、ユーロが軟調に推移。ユーロ/英ポンドは一時0.85122ポンドへと下落し、23年8月23日以来、およそ5カ月ぶりの安値を記録。ユーロ/米ドルは1.07948ドル、ユーロ/円は159.348円へと下落する場面がありました。ECB(欧州中銀)理事会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁やセンテノ・ポルトガル中銀総裁の発言がユーロの重石となりました。カジミール銀総裁は「(ECBの)次の一手は利下げであり、(利下げは)手の届くところにある」との認識を示し、センテノ総裁は「(ユーロ圏の)1-3月期の賃金統計(5月に発表)を待つ必要はない」「ECB(欧州中銀)は、早めに利下げを開始すべきだ」と述べました。
NZドルは堅調。一時、NZドル/米ドルは0.61379米ドル、NZドル/円は90.444円へと上昇し、豪ドル/NZドルは1.07650NZドルへと下落しました。コンウェイRBNZ(NZ中銀)チーフエコノミストのタカ派的な発言がNZドルの支援材料となりました。
コンウェイ氏は「最近の(NZの)経済指標は、経済が減速してインフレ率が鈍化する中で、金融政策が機能していることを示唆している」としつつも、「インフレ率(*)を(RBNZの目標中央値の)2%に戻すには、まだやるべきことがある」「非貿易財のインフレ率は2%には程遠く、インフレとの戦いは道半ばだ」などと述べました。
コンウェイ氏はまた、「23年7-9月期のGDP(国内総生産)は(RBNZの)予想よりも弱く、過去の実績も下方改定されたが、改定の一部は統計手法の変更によるものであり、必ずしも経済の生産能力への圧力が以前の想定よりもはるかに低いことを意味するものではない」としました。NZの7-9月期GDPは前期比マイナス0.3%と、RBNZの11月時点の見通しであるプラス0.3%を下振れました。また、4-6月期のGDPはプラス0.9%からプラス0.5%へ下方改定されました。
(*)NZの23年10-12月期CPI(消費者物価指数)は前年比4.7%と、上昇率は7-9月期の5.6%から鈍化し、RBNZの11月時点の見通し(5.0%)を下振れました。一方で、サービス料金などを含んで国内のインフレ圧力を反映する非貿易財のCPIは前年比5.9%と、上昇率は7-9月期の6.3%から鈍化したものの、RBNZの11月時点の見通しである5.7%を上振れました。
(本日の相場見通し)
本日は、ユーロ圏やドイツ、フランスの23年10-12月期GDP速報値が発表されます。結果が発表される時間は、フランスが15時30分、ドイツが18時、ユーロ圏が19時です(いずれも日本時間)。
GDP速報値の市場予想は以下の通り。( )は7-9月期の実績(改定値)です。
・ユーロ圏(前期比):マイナス0.1%(マイナス0.1%)
・ドイツ(前期比):マイナス0.3%(マイナス0.1%)
・フランス(前期比):0.0%(マイナス0.1%)
GDPが市場予想を下回る結果になれば、ユーロ圏の景気をめぐる懸念が市場で強まる可能性があります。その場合、ユーロに対して下押し圧力が加わり、ユーロ/米ドルやユーロ/円、ユーロ/英ポンドが軟調に推移しそうです。
本日はまた、ECB(欧州中銀)理事会メンバーの発言機会が多くあります。レーンECB専務理事やナーゲル・ドイツ連銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、バスレ・スロベニア中銀総裁が講演する予定です。
市場では、ECBは4月に利下げを行うとの観測があります(次回3月7日の理事会は、政策金利の据え置きを予想)。レーン専務理事らがECBの金融政策の先行きについて新たなヒントを示せば、材料になりそうです。
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