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ECBとSARBは政策金利の据え置き、TCMBは利上げを決定

2024/01/26 09:16

【ポイント】
TCMB(トルコ中銀)は利上げサイクルを終了する意向を表明
SARB(南アフリカ中銀)総裁は市場の利下げ観測をけん制
・米PCEデフレーターでFRBの利下げ観測が後退するか

(欧米市場レビュー)

25日の欧米時間の外為市場では、ユーロが軟調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.08213ドル、ユーロ/円は159.692円、ユーロ/英ポンドは0.85199ポンドへと下落し、ユーロ/英ポンドは23年8月23日以来、およそ5カ月ぶりの安値をつけました。ラガルドECB(欧州中銀)総裁が理事会後の会見で、「利下げを議論するのは時期尚早」としつつ、「賃金の伸びは鈍化しており、方向性としては良好」「経済成長に対するリスクは依然として下方に傾いている」などと述べたことが、ユーロに対する下押し圧力となりました。

本日26日の『ファンダメ・ポイント』は、[ECBは夏に利下げ!?]です。

米ドルは堅調。米国の23年10-12月期のGDP(国内総生産)が前期比年率3.3%と、市場予想の2.0%を上回ったことが米ドルの支援材料となり、一時、米ドル/円は147.876円へと上昇し、英ポンド/米ドルは1.26821ドル、NZドル/米ドルは0.60947米ドルへと下落しました。ただその後、米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下すると、米ドルは反落し、米ドル/円は上げ幅を、英ポンド/米ドルやNZドル/米ドルは下げ幅を縮小しました。

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TCMB(トルコ中銀)は政策会合を開き、2.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を42.50%から45.00%へと引き上げました。利上げは8会合連続です。

TCMBの声明では、23年6月に開始した利上げサイクルを終了する意向が表明されました。

声明は、「金融引き締めの効果が遅れて出ることを考慮し、(今回の利上げで)ディスインフレの軌道を確立するために必要な金融引き締めは達成された」と表明。そのうえで、「月次のインフレ率の基調に大幅な鈍化がみられ、またインフレ期待が予測範囲に収束するまで、政策金利は現行水準(45.00%)に維持される」とし、政策金利を当面据え置く方針を示しました。

ただし、「インフレ見通しに対する顕著かつ持続的なリスクが顕在化すれば、金融政策スタンスを再評価する」ともしました。

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SARB(南アフリカ中銀)は、政策金利を8.25%に据え置くことを決定。据え置きは4会合連続で、据え置くとの決定は5人の政策メンバー全員一致でした。

クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、「現在の政策金利の水準は、(景気)抑制的であり、またインフレ見通しとインフレ期待の上昇に対応する必要性と一致している」との見方を示しました。

市場では、5月に利下げが行われるとの見方もあります。クガニャゴ総裁は会見で、「インフレ見通しに対するリスクは依然として上向きだ」と指摘。「インフレ率(※)がSARBの(3~6%の)目標レンジの中間値(4.5%)に向けて鈍化していることを示す明確なトレンドは見られていない」とし、「インフレ率が目標(レンジの中間値)に向けて持続的に鈍化しない限り、政策変更(利下げ)は予想していない」と強調。市場の利下げ観測をけん制しました。

(※)南アフリカの23年12月CPI(消費者物価指数)は前年比5.1%と、上昇率は前月の5.5%から鈍化し、SARBの目標レンジ内に7カ月連続で収まりました。ただし、目標レンジ中間値の4.5%は依然として上回っています。

(本日の相場見通し)

米国の23年12月PCE(個人消費支出)デフレーターが本日発表されます(日本時間22:30)。物価の動向は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に大きく影響を与えるため、注目です。

PCEデフレーターの市場予想は、総合指数が前年比2.6%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同3.0%です。総合指数の上昇率は前月と同じになるとみられる一方、コア指数の上昇率は前月の3.2%から鈍化するとみられています。市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が後退するとともに、米ドルが堅調に推移すると考えられます。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上昇し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下落しそうです。米ドル/は、148.763(1/19高値)が目先の上値メドです。

パネッタ・イタリア中銀総裁やシムカス・リトアニア中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁が講演する予定です。パネッタ総裁らECB理事会メンバーが、ECBの金融政策の先行きについて新たなヒントを示せば、ユーロが反応しそうです。ECBの早期の利下げ観測が市場で強まる場合、ユーロが軟調に推移する可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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