ECBとTCMB、SARBの政策会合開催、米GDP発表
2024/01/25 09:15
【ポイント】
・ECB総裁は市場の利下げ観測を改めてけん制するか
・TCMBは利下げサイクルの終了を示唆するか
・総裁会見でSARBの金融政策見通しが変化するか
・BOCは利上げサイクルの終了を示唆
(欧米市場レビュー)
24日の欧米時間の外為市場では、米ドルが弱含み。米国の長期金利(10年物国債利回り)の低下が米ドルの重石となり、一時、米ドル/円は146.641円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.09269ドル、NZドル/米ドルは0.61431米ドルへと上昇しました。その後、米長期金利が上昇に転じると米ドルは反発し、米ドル/円は下げ幅を、ユーロ/米ドルやNZドル/米ドルは上げ幅を縮小しました。
BOC(カナダ中銀)は政策金利を5.00%に据え置くことを決定しました(*詳細は後述)。
(本日の相場見通し)
本日は、ECB(欧州中銀)やTCMB(トルコ中銀)、SARB(南アフリカ中銀)の政策会合が開かれます。これらの結果が材料になりそうです。
<ECB>日本時間22時15分に結果発表、22時45分から総裁が会見
ECBは23年10月と12月の2会合連続で政策金利を据え置いており、現在の政策金利(中銀預金金利)は4.00%です(定例買いオペの最低応札金利は4.50%)。
政策金利は今回も据え置かれると考えられます。その通りの結果になれば、ユーロに大きな反応はなさそうです。
ラガルドECB総裁の会見にも注目です。市場では、ECBは4月に利下げを行うとの観測があります(次回3月の会合も政策金利の据え置きを予想)。ラガルド総裁が利下げ観測を改めてけん制すれば、ユーロが堅調に推移して、ユーロ/円やユーロ/英ポンドは上値を試す展開になりそうです。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[ECB理事会の注目ポイント]です。
※ユーロ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/円、「160.000円」を意識する相場付き]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。
<TCMB>日本時間20時に結果発表
TCMBは前回23年12月まで7会合連続で利上げを実施。現在の政策金利は42.50%です。
本日の会合で政策金利はさらに引き上げられると市場は予想。利上げ幅は前回と同じく2.50%になるとの見方が大勢です(政策金利は45.00%へ)。
TCMBの声明にも注目です。TCMBは前回会合時の声明で、「金融引き締め(利上げ)サイクルを可能な限り早期に完了させる」とし、近く利上げを終了する意向を表明しました。トルコの12月CPI(消費者物価指数)は前年比64.77%と、かなり高い状況です。こうしたなかで声明が利上げサイクルの終了を示唆すれば、トルコリラ安圧力が加わる可能性があります。
<SARB>日本時間22時から総裁が会見、会合の結果は22時過ぎに発表
SARBは前回23年11月の会合まで3会合連続で政策金利を据え置いており、現在の政策金利は8.25%です。前回会合では、政策金利を据え置くとの決定は5人の政策メンバー全員一致でした。
本日の会合で政策金利は据え置かれると市場は予想しています。その通りの結果になれば、SARBの声明やクガニャゴ総裁の会見が材料になりそうです。
市場では、SARBは5月に利下げを行うとの観測があります(3月の会合も政策金利は据え置かれると予想)。声明やクガニャゴ総裁の会見を受けて、市場の金融政策見通しが変化するかどうかに注目です。市場の利下げ観測が後退する場合、南アフリカランドの支援材料になりそうです。
***
米国の10-12月期GDP(国内総生産)速報値が本日発表されます(日本時間22:30)。GDPの市場予想は前期比年率2.0%と、成長率は7-9月期の4.9%から減速するとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退しています。CMEのFedWatchツールによれば、市場が織り込む利下げの確率は、次回1月30-31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が1.6%、その次の3月が約4割です。17日時点の確率はそれぞれ、3.1%と5割強でした。
GDPが市場予想を上回る結果になれば、利下げ観測が一段と後退するとともに、米ドルが堅調に推移しそうです。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方で豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは下値を試す展開になると考えられます。
*******
BOC(カナダ中銀)は24日に政策会合を開き、政策金利を5.00%に据え置くことを決定。据え置きは4会合連続です。
BOCの声明やマックレム総裁の会見では、利上げサイクルの終了とともに次の一手が利下げになる可能性が示されました。
声明はカナダ経済について、「緩やかな供給過剰の状態にあるように見える」と指摘。前回23年12月会合時は「もはや需要超過の状態ではない」でした。
声明ではまた、これまでの「必要なら政策金利をさらに引き上げる用意がある」が削除されました。
マックレムBOC総裁は会合後の会見で、「新たな動向がインフレを押し上げれば、(追加)利上げが必要になる可能性はある」としつつも、「経済がおおむねBOCの見通しに沿って推移すれば、今後の議論は政策金利をどれくらいの期間、(現在の)5%に維持するかになる」と表明。「会合における議論の焦点は、“政策金利の水準が十分に(景気)抑制的かどうか”ということから、“政策金利を現在の水準にどれくらいの期間、維持する必要があるか”へと移っている」と述べました。
マックレム総裁は一方で、「(カナダの)インフレ率の鈍化は緩やかで、一様でない可能性が大きい」とし、「基調インフレの根強さを懸念している」と発言。基調インフレがどのように推移するかを確認する必要があり、「利下げを議論するのは時期尚早だ」と述べ、市場の早期の利下げ観測(4月との観測もあり)をけん制しました。
BOCの次回会合は3月6日です。それまでにカナダの12月雇用統計(2/9)や1月CPI(消費者物価指数。2/20)が発表されます。これらの結果を受けて、市場のBOCの金融政策見通しがどう変化するかに注目です。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。